2016年4月28日木曜日

【学問のミカタ】住民と市民 -「春」に寄せて-

 みなさんこんにちは。
 新学期も始まって新しい生活にも慣れましたか? 今週末からはゴールデンウィークですね☆
 有意義に過ごしましょう!

 今年度現代法学部の第1回目【学問のミカタ】は学部長の羽貝正美先生が寄稿してくれました。
 春をテーマに住民と市民について書いていただきました!
 ではどうぞ!!

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     住民と市民 -「春」に寄せて-       羽貝 正美



 
 
 
日本人にとって、「春」と言えば、桜とお花見。この季節には、夏、秋、冬とは異なる特別に感慨深いものがあるかもしれません。とくに4月は、入園式、入学式、入社式と、様々な場でセレモニーが挙行され、学校では新入生、会社や役所では新入社員や新規採用職員を迎えてすべてが新たに始まる1年の節目でもあります。3月下旬の卒業式を終えてすぐに迎えることになるこの節目は、一人ひとりの立場に立てば、長い一生のなかでもかなり重要な節目であり、それだけにその後も長く記憶に残り、アルバムの写真や動画とともに、折々に思い起こされる場面も多いのではないでしょうか。皆さんにもそれぞれに思い出があることと思います。

この季節になると必ず思い起こされることのひとつが、タイトルの「住民」と「市民」という言葉です。行政にとって、4月は新しい財政年度がスタートする月。財政といえば税収が気になるでしょうし、税収といえば、「住民票をもち、住民税を納めてくれる住民の数がどう変化しつつあるか」が気にならない自治体はないでしょう。税収と健全な財政は、私たちの生活を支え豊かにするための多様な公共サービスの必須の条件です。


昨年は5年に一度の国勢調査の年でした。
 
東日本大震災の被災地、とくに沿岸部では人口減少を懸念する自治体が少なくありませんが、「住民票を有する住民(定住人口)が増えてほしい、あるいは住民票を持たずとも様々なイベントに参加したり、できればリピーターとして街を訪ねてくれる人々(交流人口)が増えてほしい」という願いは、被災地であるか否かにかかわらず、すべての自治体に共通するものだと思います。もともと他自治体の出身で、現在は、国分寺市に立地する東京経済大学の学生である皆さんの中にも、きっと、住民である人も、そうでない人もいることでしょう。
 
 

では「住民」と「市民」はどう異なるのでしょうか。
 
「住民」は法律(地方自治法や住民基本台帳法など)に要件が定められていますから、どういう人を指すのか、どんな権利義務があるのか、といった理解にはそれほど悩むことはないと思います。
 
でも「市民」はなかなかやっかいです。「○○市」といった「市制」を施行している自治体が「市民のみなさん」と呼びかけることもありますが、この場合、「市民」イコール「住民」ではないことが多いと理解した方がよさそうです。
 
ちなみに、国分寺市自治基本条例は第2条で、「(1) 住民 市の区域内に住む者をいいます。 (2) 市民 前号に掲げる者又は市内で働く者、学ぶ者若しくは公益的な活動を行う個人をいいます。」と定めています。
 
在勤・在学、その地域で活動している人々も「市民」というカテゴリーに入るということですね。とすれば、本学に学ぶ学生の皆さんも、住民票の有無にかかわらず、れっきとした「国分寺市民」であるということです。このように考えたことがありますか。

将来、「住民」として暮らすことになるかどうかは未定であっても、「市民」として「今、学んでいる場所、地域、自治体」にさまざまな形でかかわるということは、自分自身にとっても大きな意味をもつことだと思います。
 
様々な情報に触れ、小さなきっかけを大事に主体的に動いてみましょう。良い春のスタートになることを願っています。

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  羽貝 先生ありがとうございました。

ではまた次回!