2016年12月16日金曜日

私たちのゼミを紹介します!
~奥山ゼミが北欧ゼミ研修で学んだこと~

2016.8 デンマークの保育園見学(奥山ゼミ研修)


みなさんこんにちは。
前回のブログに続き、今回も奥山ゼミ海外研修特集をお伝えします!

【大学ホームページへ】【学問のミカタ】奥山ゼミの北欧ゼミ研修

今回はゼミ生の小林君と前野君に、学生目線で<旅行記>と<所感>をまとめてもらいました!



「奥山ゼミは海外に行くなんていいなぁ」

と思う学生の皆さん、

大学には海外ゼミ研修の費用補助制度がありますよ。多くの皆さんに海外で学んでほしいという「東経大の理念」がここにもありますね。

【大学ホームページへ】国際交流課<海外ゼミ研修>ページへ

【大学ホームページへ】海を越えて現地で学ぶ~海外ゼミ研修成果報告会


奥山ゼミは、今回は北欧だったので、一人当たりの大学からの補助費は7万円だと思います。それを除いても自己負担はおおよそ30万円とか。しかし奥山ゼミは【満場一致】で研修を決定したとのこと。

「どうやって貯めたの?」と聞いたところ、
「決定したのが春先だったので、その後バイトしたり、親に借りたり、今までの貯金から出したりいろいろです!」とのことでした。

素敵な写真とともに旅行記を送ってくれた小林君、前野君、本当にありがとう。
ではでは、皆さんどうぞ~。

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奥山ゼミの小林、前野です。奥山ゼミは、「豊かな社会の高齢者福祉はどうあるべきか?」をテーマとしています。他国では見られないほど、日本では急激な高齢化が進み、要介護高齢者が大幅に増加しています。ゼミの目標は、現場での高齢者の生活はもちろん、日本政府や自治体が取り組む政策などについて研究し、今後の日本における高齢者福祉はどうあるべきかを提言することです。今年はさらに『福祉国家』として有名なデンマークへ海外研修に行き、デンマークの高齢者がどのような生活を送り、どのような福祉サービスを受けているのかを調べてきました。そして、帰国後に大学で開催された「海外ゼミ研修成果報告会(1013日)」では、日本の特別養護老人ホーム(特養)と比較しながら、その成果を発表しました。


今回のブログでは発表したスライドや写真を使い、研究成果も含めた私たちの【デンマーク旅行記】としてご報告いたします。


研修期間は829日から98日の約10日間でした。デンマークにした理由は、北欧でも最も進んでいるといわれる福祉国家の姿をこの目で確かめたいと思ったからです。さらに高齢者の生活だけでなく、デンマーク人の人間一生の生活を通して、日本の福祉社会を検討する機会を持ちたいと考えたからです。そのため、保育園から小・中学生、認知症のケアセンターに至るまで、さまざまな施設や機関を垣間見ることができました。
(参加人数:ゼミ生11名・引率教員2名 計13名)
<コペンハーゲン市庁舎横にあるアンデルセン像前での記念写真>

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<デンマークの位置と調査地ロスキレ市の位置>

私たちが訪れた都市は、コペンハーゲンから西へ約30キロ離れたロスキレ市です。コペンハーゲンからは列車で約20分、人口約8万人のデンマークでも古い都市です。ユネスコの世界文化遺産に登録されたロスキレ大聖堂があります。

<ユネスコ世界文化遺産であるロスキレ大聖堂の全景>

今回は日本とデンマークを比較するため、事前調査として、6月に23区内にある特別養護老人ホームの2か所を訪問しました。その比較研究成果を10月の海外ゼミ研修報告会で発表いたしました。

ここからは、デンマークでの<滞在記>をご紹介します。

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1日目> 到着、ホテル到着
成田国際空港からスカンジナビア航空984便に搭乗し、11時間という長いフライトを終えて、無事にデンマークのコペンハーゲン国際空港へ到着しました。
そして、デンマーク在住の澤渡夏代ブラントさんに出迎えていただきました。澤渡さんには現地コーディネーターとして、私たちの研修計画を組んでくれたほか、施設見学の際には私たちに同行し、通訳業務も行っていただきました。海外研修出発前から帰国に至るまで大変お世話になりました。


<コペンハーゲン国際空港に到着>
<現地でお世話になった澤渡夏代ブラントさん(右)、左はご主人>
そして空港からバスに乗り、今回の調査地であるロスキレ市に入り、ホテルへ到着しました。現地で初めての食事には、みんなが興味津々でした。
<最初の宿泊先であるダンホステル>
<デンマーク到着後、初めての食事>

2日目> 一般事情レクチャー、総合保育園訪問
 午前中はホテルで、澤渡さんからデンマークの一般事情についてのレクチャーを受けました。
 午後は、ホテルから徒歩15分ほどにある聖ヨルゲンセンスビグ総合保育園を訪問し、園児たちと一緒に遊んだり、園長からデンマークにおける保育園の在り方などについてお話を伺いました。
<園児たちと英語でコミュニケーションをとる奥山先生>

園児をおんぶする島根くん
園児たちとサッカーやブランコ

その後、ユネスコ世界文化遺産であるロスキレ大聖堂を訪れました。建物内は、歴代のデンマーク国王の眠る棺が安置されているほか、石像やデンマーク王室で愛用された数々の歴史あるものが展示されていました。
<建物内は世界遺産ならではのつくり>

<歴代国王の棺>

3日目> プライエム、補助器具センター訪問
 午前中は、プライエム(特別養護老人ホーム)とプライボーリ(高齢者住宅)を併設したベアナドッテゴーデンを訪問しました。

 とくにプライエムでは、入居者の方とダンスをして触れあったり、実際の居室をみせてもらうこともできました。また、昼食は施設スタッフの方に作っていただいたオープンサンドウィッチとアップルケーキをいただきました。

<同行した元院生の藤田さんが入居者とダンス>

  その後、バスに乗りロスキレ市の運営する補助器具センターを訪問しました。ここでは市に住む利用者からの依頼があれば、車いすなどの補助器具を無料で貸し出しています。多くの補助器具はリサイクル率が高く、長期的に活用されています


<補助器具センターで職員の方から器具についての説明>

4日目> 認知症ケアセンター訪問、自由行動
 午前中は、小規模認知症ケアセンターOASENを訪問しました。ここでは、入居者自身の下したことに対して施設スタッフはNoと言わず、なるべくその意思を尊重するということです。

 そして午後は自由行動でした。

この日の夕食は日本食と決めていたので、食材を調達するためスーパーに立ち寄りました。宿泊先であるダンホステルのキッチンをお借りして、買ってきたソーセージを焼いたり、日本から持ち込んだパックご飯やインスタントの味噌汁のほか缶詰などをいただきました。
<準備から片付けまで自分たちで>


5日目> 国民学校訪問、コペンハーゲンへ移動

 午前中は、国民学校を訪問しました。また、実際に授業を見学させていただき日本の学校との雰囲気の違いを実感しました。昼食はオープンサンドウィッチを用意していただきました。

<グループ学習をする生徒たち>

<電子黒板を使っての授業>
昼食後、首都コペンハーゲンへバスで移動しました。ロスキレ市とは違い、にぎやかな雰囲気でした。この日から、コペンハーゲンのホテルに宿泊です。
<歴史ある建物に囲まれたコペンハーゲンの湖>

<多くの人が訪れるコペンハーゲン市庁舎の夜景>

6日目> 自由行動、澤渡さん宅での打ち上げ・反省
 夕方までは、各自自由行動でした。

夕方には全員で澤渡さん宅へ向かい、夕食をご馳走していただきました。この日がデンマーク最終日だったので、6日間を通しての反省をしました。
<リトルマーメイドの銅像には観光客が殺到>

澤渡さん宅で久しぶりの和食を堪能
7日目> デンマークからスウェーデンへ
 私たちはこの日から、デンマークからさらに足を伸ばし、スウェーデンへ移動しました。スウェーデンは、デンマークよりも寒さが厳しく9月にも関わらず白い息が出るほどでした。

 首都であるストックホルムのホテルに宿泊し、デンマークとは違った雰囲気を味わいました。
<ストックホルム市庁舎展望台からの絶景>

<ストックホルムの街並み>
8日目> ストックホルム市庁舎見学、自由行動

この日は、毎年12月に行われるノーベル賞授賞式後の晩餐会が開かれるストックホルム市庁舎を見学しました。目の前にはメーラレン湖が流れ、観光名所として多くの人が訪れていました。
<ストックホルム市庁舎で記念撮影>
9日目> 高齢者ケアハウス訪問

 この日は早起きし朝食を摂った後、列車に揺られること1時間30分、リンショーピンに到着し高齢者ケアハウスAlerisを訪問しました。この施設では入居者が出来ることは自分で行うことで、残存能力の活用へとつなげていくという方針だそうです。
<入居者たちの共同スペース>

<外には入居者がくつろぐことのできるスペースも>


10日目> 帰国

 スウェーデンのアーランダ空港からデンマークのコペンハーゲン国際空港へ戻り、そこからスカンジナビア航空983便に搭乗し、成田空港へ無事に到着しました。

<最後に>
 今回の海外研修で、日本とは異なった社会体制の国々をこの目でみることができたのは、現地でお世話になった澤渡さんをはじめ、今回訪問した各施設スタッフなど、多くの方々の支えがあったからこそだと実感しています。
そして、航空券の手配、ホテルの予約などから現地へ引率していただいた奥山先生には、心から感謝しています。本当にありがとうございました。
デンマークやスウェーデンといった「福祉国家」の先進国を訪れることができたのは、私たちにとって一生の思い出であり宝物になると確信しました。

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小林君、前野君ありがとうございました!

お礼にひとつ。
現法さんは海外ゼミ研修の様子を先生の研究室でお茶を飲みながら聞き、すごく感動してしまい先生を通じてブログの寄稿を依頼しました。
その時に「先生大変だっただろうな」と思い、冗談まじりに「アテンド料がほしいところですね」と言ってみました。そうしたら先生が、

「学生が見学して何かを得てくれるのが一番のアテンド料ですよ、大変だったけどそれがあれば他には何も要りませんよ~」

っておっしゃっていました。

今年度で定年退職(70才)を迎えられる奥山先生。すごく寂しいですね。最後の最後まで研究と教育を頑張ってくださいました。残りの数ヶ月もよろしくお願いいたします。

他のゼミも是非、学期はじめには「海外ゼミ研修」を検討してみてください。

ではまた次回!

2016年12月9日金曜日

【学問のミカタ】奥山ゼミの北欧ゼミ研修

ノーベル賞受賞式後の舞踏会会場を見学し写真を撮る奥山ゼミ


皆さんこんにちは。

気づけば12月。今年もあと3週間で終わりです。

今年はどんな年でしたか?
楽しかったこと、辛かったこと、いろいろあると思います。

現法さんは、今年は怪我をして入院手術し、リハビリ療養のため長く離脱したので、なんだかよく分からない年になってしまいました。一番悲しかったのは、3月の卒業式で、卒業する皆さんに会えなかったことです。
しかし後遺症は少し残りましたが、どうにか復帰することが出来ました。学生の皆さんには心配をおかけしすみませんでした。色紙の寄せ書きをもらったり、励ましていただいたことがとても嬉しかったです。ありがとうございました。

来年の目標なんかも立てながら2017年を迎えましょう。

ちなみに冬期休暇開始は12月25日(日)からですので、24日(土)に授業がある人は頑張って出ましょうね。
2017年の授業開始日は1月5日(木)です。お忘れなく!

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さて、今回は【学問のミカタ】テーマは【ノーベル賞】です。

今年も日本人の研究者が受賞したのは記憶に新しいところですね。同じ日本人としてとても誇らしいです。いよいよ12月10日(日本時間では12月11日)にノーベル賞授賞式です。ホームページでは中継も行われるとか。現地のストックホルムやオスロでは、12月6日から既に「ノーベルウィーク」が始まり、受賞者の講演会や催し物が開催されているようです。

【外部ホームページへ】Nobelprize.org(英語です)


今回、現代法学部の奥山正司ゼミ(福祉法プログラム)が、海外ゼミ研修でデンマーク・スウェーデンに行き、北欧の福祉について学んできました。そのときにノーベル賞授賞式が行われるストックホルムで会場を見学してきたとのこと。

奥山ゼミの海外ゼミ研修報告は【次回のブログ】で、小林君と前野君が報告してくれることになっています。お楽しみに!

今回は【学問のミカタ】で奥山先生に、ノーベル賞について寄稿いただきました。ではどうぞ。


【過去のホームページへ】私たちのゼミ合宿を紹介します!~奥山ゼミin山形県大蔵村3泊5日
【過去のホームページへ】【学問のミカタ】安全にお持ちを食べる~老人ホームでの取り組み~


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年のことですが、あっという間に12月に入り、今年も余すところ数少なくなってきました。師走(しわす)12月)ということばは、年の瀬に向かって慌(あわただ)しさが増していくことを言い表していますが、この時期になると何となくあわただしくなってくるのは不思議な感じがします。奥山ゼミは、今年8月末から9月にかけ、北欧のデンマークを中心に、高齢者福祉の現場をいろいろと見学し、スウェーデンにも足をのばして見分を広めてきました。その際、スウェーデンの首都ストックホルムにも滞在し、ノーベル賞の授賞式が催される市庁舎にも立ち寄ってきました。

下、ノーベル賞の由来と開催されるストックホルムの市庁舎及び今年の受賞者である大隅良典先生についても述べることにしたいと思います。

ーベル賞は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベル(Alfred Nobel)の遺言によって、彼の命日に当たる19011210日から開催されている世界的な賞になっています。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学の「5分野+1分野」で顕著な功績を残した人物に贈られています。 経済学賞だけはノーベルの遺言にはなく、スウェーデン国立銀行の設立300周年祝賀の一環としてノーベルの死後70年後にあたる1968年に設立されたものであるということです。ノーベル財団は、経済賞だけは「ノーベル賞ではない」としているようですが、一般的には、ノーベル賞の一部門として認識している人が多いようです。2016年は、ノーベル生理学・医学賞に、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に授与されることが決まりました。大隅さんはこの28年間、一貫して細胞の「自食作用(オートファジー)」という現象の研究に取り組んできたようです。体内を新鮮で健康な状態に保つために、細胞の中に球形の膜が現れて、不要なものや、古くなったものなどを包み込んで分解していく仕組みです。細胞内のたんぱく質がターゲットになることが多いため、「たんぱく質のリサイクル機構」とも言われています。細菌から植物、昆虫、魚、人間まで、ほとんどすべての生物に共通するシステムで、このオートファジーが働かなくなると生物は死んでしまうということです。授賞式は、毎年、5つの賞についてはスウェーデンの首都ストックホルムで開催され、平和賞だけがノルウェーの首都・オスロで行われています。

 庁舎は、ストックホルム中央駅から徒歩で78分ほどのところにあり、スウェーデンで3番目に大きい湖のメーラレン湖に面して建っています。


学ツアー(英語)のリーフレットによると、ストックホルム市庁舎は、スウェーデン人建築家ラグナル・オストベリ(Ragnar Ostberg)の設計によって、191123年の間に建築され、ナショナルロマンチックスタイルで構成されたスウェーデンの最も顕著な建物のひとつであるということです。イタリアのルネッサンス様式の宮殿からインスピレーションを受け、中庭とブルーホールという二つの広場から成る市庁舎を建築したようです。北欧中世風のデザインで、宮殿を思わせるたたずまいです。106mの塔、赤レンガの質感、ゴシック風の窓、ビザンチンスタイルの輝かしい金色の飾り、さまざまな様式を取り入れながら、見事に調和がとれています。ノーベル賞受賞祝賀会が開かれるブルーホールの晩餐会には王室ファミリーや受賞者とその家族など、1300人もの人がこのホールに集うそうです。赤いレンガの部屋なのにブルーホール(青の広間)と呼ばれるのは、当初はレンガの表面を青く塗る計画だったのが、赤いレンガの柔らかい色合いが意外に素敵だったので、計画を変更をしたのだそうです。赤レンガの壁面表面を突いて凹凸を残す「敲(たたき)仕上げ」という手法によって柔らかい風合いの視覚効果と共に柔らかい音響効果も得られるとのことで、高い窓からホールに降り注ぐ自然光もなかなかの効果です。これだけ広いホールなのに中央部分に柱が1本もありません。日本では考えられないことですが、北欧は地盤が固く地震も無いので大丈夫なんだそうです。ブルーホールから緩やかな階段を2階へ上ると、市議会議場です。ストックホルム市会議員の数は101名、現在の男女比率は5150でほぼ半々だそうです。女性の活躍している様子が垣間みられます。議場を見下ろすバルコニーは約200席の傍聴席です。議場の天井は船底のような造りになっていて、これをバイキングルネッサンス様式というそうです。ここは鏡の間でレセプションルームとしても使われます。窓からはメーラレン湖やその向こうの旧市街が美しく見渡せます。

ーベル賞授賞式に関連して、ブルーホールともう一つ有名なのが、受賞パーティーの舞踏会会場となる黄金の間です。1900万枚もの金箔が貼られ、ほかに陶器・ガラスも貼られた眩いばかりの豪華絢爛たるモザイクの壁面です。正面には「メーラレン()の女王」と呼ばれる女性が描かれています。両側の壁面にはスウェーデン1千年の歴史が描かれているとのことです。この部屋を出たところのテラスはブルーホールの吹き抜け部分と接しています。メーラレンの女王を中心に、向かって左側には西の国々の寓意、右側には東の国々の寓意が描かれています。 



去の歴代日本人ノーベル賞受賞者は、2016年時点で25名もいます。日本人ノーベル賞受賞者で、最年少は湯川秀樹さんの42歳。次いで田中耕一さんの43歳です。また、賞別の受賞人数は、物理学賞 11名 化学賞 7名、生理学・医学賞 4名、文学賞 2名、平和賞 1名、経済学賞 0名 です。

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奥山先生ありがとうございました。
ではまた次回、奥山ゼミの海外旅行記をお楽しみに!

2016年12月2日金曜日

【学問のミカタ】表現の自由~自分の表現がどのように伝わるか考えよう~

2016.11.24 大学風景

皆さんこんにちは。

前回のブログで、「学内の紅葉をアップしようかな」なんて書きましたが、先週はもう「雪」でしたね。大学内はこんな景色でした。↑↓

2016.11.24 朝10時ごろの大学

写りがよくなくてすみません




翌日はすっきり晴れたので、「空の色」と「雪の色」と「紅葉」がとてもきれいでしたね。
2016.11.25大学風景


更にこの日は、国分寺駅ビルがリニューアルオープンの日でした。
2016.11.25 10時からのオープンに向けテープカット
コンコースを降りたところまで並ぶ大行列でした。

北口も2018年開業に向けて再開発工事が進んでいますし、これからの国分寺には楽しみがたくさんありますね。




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さて、今日は【学問のミカタ】、テーマは「言葉」です。
現代法学部は中村悠人先生が「表現の自由」からアプローチしてくれました。

最近中村先生の授業を撮影していないので、下の先生の写真は2014年に担当した「裁判傍聴演習」です。先生から「実は痩せたんですよ~」とは聞いていましたが…本当に痩せられましたね。研究だけではなく沢山の委員会を担当され、更に学生一人ひとりに対する熱心な指導が印象的です。

ではどうぞ~。


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2014.7 裁判傍聴演習授業
現代法学ブログ
                                  中村悠人

全学部コラボ企画「学問のミカタ」、11月のテーマは「言葉」です。

法学をかじったことがある人はもちろん、かじったことのない人も、表現の自由という用語を聞いたことがあると思います。憲法第21条第1項で保障されている表現の自由とは、個人が外部に向かって、その思想、信条、主張、意思、感情などを表現する一切の自由を意味します。表現をする方法はいろいろありますが、言葉で伝えることが多く用いられています。

 この表現の自由は、民主主義社会の基礎となる重要な権利ですが、表現方法によっては表現を受け取る人を傷つけることもあります。侮蔑的な表現を用いて傷つけることもあれば、相手のプライバシーを暴くことで傷つけることもあります。そして、言葉等の表現によって相手を傷つけたとき、一定の場合にその行為が犯罪となることがあります。例えば、侮辱罪や名誉毀損罪がそれです。
 今回は、この犯罪について少し見ていきましょう。

 相手に対して侮蔑的な表現を用いる場合、ときとしてそれは侮辱罪という犯罪になることがあります。刑法第231条は、

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

と規定しています。侮辱とは、人格の尊厳に対する侮蔑的・軽蔑的表現を言います。口頭によるものだけでなく、インターネット上の掲示板などに書き込んだ場合も対象になります(後述の名誉毀損罪でもそうです)。そもそも、侮辱行為は、自分と相手が対等・平等な関係であり、相互に認め合っている関係であることを否定するものと言えます。この侮辱行為を、他人に対して公然と、つまり不特定または多数人が認識できる状態で行った場合には、侮辱罪となり得るのです。(なお、刑法第64条により、侮辱罪の共犯は処罰されません。)

 他方、刑法では名誉毀損罪という犯罪も規定されています。刑法第2301項は、

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

と規定しています。社会的評価を下落させるに足りる具体的な事実を、公然と示すことによって、他人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪です。摘示される事実は真実のものでもよいとされます。そして、一般には、不特定または多数人に認識可能な状態になれば成立するとされ、現実に社会的評価が下落させられたことの証明は不要だとされています。

 名誉毀損罪にいう「人の名誉」や、侮辱罪の「人」に法人が含まれるとの理解が多いです。なお、自然人に限ったとしても、法人やその他の団体を名宛人とする名誉毀損行為や侮辱行為の場合、これらの団体の構成員の名誉を毀損するものと認められる場合は、これらの罪の成立を認めることはあり得ます。もっとも、関西人といった漠然とした集団は含まれないとされています。この点で、いわゆるヘイトスピーチにおいて、特定の個人ではなく、集団に対して名誉毀損行為や侮辱行為が行われた場合に、名誉毀損罪や侮辱罪が成立するかが問題とされています。

 さらに、公然とは、不特定または多数人が認識できる状態をいうと述べましたが、特定少数人に事実を摘示した場合でも、その中に新聞記者などがいてそれを新聞記事とすることで不特定または多数人に伝播していく可能性のあることを理由に、公然性を認めた裁判例があります。現代社会では、メディアの発達により情報の伝播がより容易となっていますから、例えば特定のLINEのグループやTwitterの鍵つきのアカウントで名誉毀損行為や侮辱行為が行われた場合にどうなるかも、考えていく必要があります。

2015.12.16 ゼミ研究報告会 中村ゼミ発表
 ところで、名誉毀損罪は、前述の通り、摘示される事実が真実でも成立し得ます。もっとも、例えば、ある公務員が賄賂を収受しているといったような事実のように、公共の利害に関する事実であれば、真実を明らかにすることが世論の形成と政治的意思決定のために必要となることもあります。そこで、刑法は第230条の21項は、

前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

としています。公共の利害に関する事実を、公益を図る目的で摘示した場合は、それが真実であるとの証明があれば、名誉毀損罪としては処罰されないとしているのです。この規定は、表現の自由の保障と個人の名誉ないしプライバシーの保護との調和を図ったものと解されています。
もっとも、「罰しない」の意味は、犯罪が成立していないから罰しないのか、それとも犯罪が成立しているけれども(政策的な理由で)罰しないのかについては争いがあります。(例えば、表現の自由の行使として、適法な行為である(違法性阻却)と考えれば、犯罪は成立していないから罰しないことになります。)

以上は、真実であるとの証明に成功した場合ですが、真実であることの証明に失敗してしまった場合や真実であると誤信していた場合はどうなるのでしょうか。
この点で、裁判所は、被告人が確実な資料・根拠に基づいて事実の真実性を信じている場合には、真実だと信じたことに相当の理由があるとして、たとえ真実性が証明できなくても名誉毀損罪の故意は否定されるべきだとしたものがあります(最大判昭和44625日刑集237975頁)。これに対して、確実な資料・根拠に基づいて真実であると信じた場合は、表現の自由の正当な行使であるから、刑法第230条の2(の違法性阻却事由)には該当しないとしても、刑法第35条によって適法となるという見解もあります。


 さて、簡単に、侮辱罪や名誉毀損罪を見てきました。刑法に少し興味が出てきましたか?売り言葉に買い言葉で、ついついひどい言葉遣いをしてしまうこともあります。自分の表現がどのように伝わるかを考えていきたいものです。自戒の念も込めて。


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中村先生ありがとうございました。

いかがでしたか。「自由」って言ってもそんなに何でもいいわけじゃないんだよ、ってところですかね。自戒の念も込めて言葉には責任を持たなければなりませんね。

ではまた次回!

2016年11月4日金曜日

【学問のミカタ】 秋 -風景に人の思いや社会の関わりを感ずる季節-

2016.11.5.6開催
東京経済大学国際シンポジウム
自治しうる<主体>と<場>を問いなおす


みなさんこんにちは。ずいぶん寒くなりましたね。
大学内の木々が少しずつ色づいてきました。
もう少ししたら写真でも撮ってアップしようかな。今年もあと2ヶ月です。

さて、ちょっと遅くなりましたが、今日は【学問のミカタ】テーマは【秋】
今回は学部長の羽貝正美先生が寄稿してくれました。
「秋」の魅力の背景には、様々な人の<思い>や<関わり>がある、それは行政だったり、住んでいる人だったりと様々で、私たちはそれを感じたり考えたりしながら楽しくすごすことができる。素敵ですね。

羽貝先生は今とってもお忙しい・・・なんと、今週末に東経大で国際シンポジウムが開催されるのですが、その準備がピークを迎えています。日本の地方自治だけではなく、フランスやドイツの市長さんも来日して報告してくださるそうです。頑張ってください!

【東経大ホームページへ】【11/5(土)・6(日)】自治しうる〈主体〉と〈場〉を問いなおす― 基礎自治体のサスティナビリティとローカル・ガバナンスに関する国際シンポジウム―

シンポジウムパンフレットはこちら


ではでは皆さんどうぞ~
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秋はにぎやかで楽しい季節でもあり、静かな季節でもあり。

前者の例で言えば、人によって待ちどうしく感じられるイベントもさまざまでしょう。各地で催される、普段は遠くに暮らす若者も地元に帰ってくる秋祭り(伝統行事)もあれば、昨今では若者が仮装を楽しむハロウィーンもあります。

他方で、秋はといえば、毎年恒例の「読書週間」(11月)というイメージにつながります。誰しも、すぐに「読書の秋」の言葉が頭をよぎるほどに、「秋は読書」のイメージが浸透しているのかもしれません。「燈下(とうか)稍(ようや)く親しむ可(べ)く」といった中国の詩の一節が引き合いに出されることもありますね。読書の途中、「続きは明日に」という気持ちになかなかなれず、夜が更けるのも忘れて、とうとう朝まで1冊を読み通したといった体験をお持ちの人もいることでしょう。個人的には、二十歳のころ、猫好きだった友人に紹介されたR・ハインラインのSF小説『夏への扉』もそのように一気に読んだ作品のひとつでした。それぞれに忘れがたい読書体験がおありと思います。

羽貝 正美ゼミ ゼミ風景
とはいえ、秋は本の魅力を思い起こす季節というだけではないようです。もちろん、11月第三木曜解禁のボジョレ・ヌーボーではありませんが、「秋は五臓六腑に染み渡る」という、秋の味覚を愛でる食いしん坊の親友の言葉にも大いに共感します。けれども、そうした楽しみとともに、秋になると、街の姿、自然の表情がくっきりと見えて、一つひとつの街の要素が人の感性にさまざまに訴える季節が到来したと感じたことはありませんか。
山や寺社の見事な紅葉も魅力的ですが、街中の街路樹はもちろん、公園の木々や芝生、花壇、砂場で声をあげて遊ぶ子供たちの姿、そして小さな路地を飾る樹木・草花の鉢、また澄んだ水の流れる水路も実に趣のあるものです。そうした魅力にあふれた、個人の私的なものではない、公的な場や空間の中に身をおいた時、そこに言葉には表現できないようなやすらぎ、安心感、心地よさを感じたことがあるのではないでしょうか。広場やオープンカフェにおかれ、私たちがお茶やコーヒーを飲んだりしてくつろぐ場所は、「公的空間のなかの豊かな私的空間」だと教わったことがあります。そのままそこに座って、目の前の風景や道行く人の姿を感じながら、ずっとぼんやりしていたいと思った体験をもつ人は案外多いのではないでしょうか。
 
一言でいえば、風景、景観、身近な環境。私たちが普段あまり意識しないものの中に、実に魅力的なものがあるということです。でも、もっと大きなポイントは、そうした形あるものの背景に、様々な人の思いや関わりがあるという点にあります。具体的には行政や住民・地域の関わりがあるということです。逆に言えば、わたしたちが魅力を感じない場や空間には、そうした関わりが欠落していたり、適切ではなかったり、という背景がありそうです。感性とともに理性をもって、地域の在り方や住民・地域と行政との関わり方をみていきたいものです。

「読書の秋」。そして時に楽しくにぎやかで、時に静かな秋。一冊の本を読むように、身の周りの風景・景観に目を向けてみてください。形あるものに形のないものの関わりがある。空間の中に社会が透けてみえてくると思います。


なお、115日(土)・6日(日)に本学「大倉喜八郎進一層館」にて、国際シンポジウム「自治しうる主体と場を問いなおす」がひらかれます。このシンポジウムも、こうした問題意識から企画されました。関心をもった方はぜひどうぞ。




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羽貝 正美先生、ありがとうございました!
ではまた次回!

2016年10月6日木曜日

「夏休みは実家で漁の手伝い!」  輝く現代法学部生!~第4回~久保くん

2015.12.16 ゼミ研究報告会で研究成果報告を行う久保くん

みなさんこんにちは。

第二学期も始まりました。
皆さんの元気な姿を見ることができ、とても嬉しく思います。

今週「特別区に合格しました」と報告に来てくれた女子学生さんがいました!おめでとうございます。
いろいろお話を聞いたところ、内定までの道のりには様々な困難があり、それを必死に乗り越えたことが伝わってきて、話を聞きながら感動してしまいました。

皆さんも聞いてみたいだろうな、と思い、12月21日に開催する「ゼミ研究報告会」で
報告してもらうことになりました。「就職活動とゼミ」のところで報告してもらいます。
今年から「公務員志望者支援プログラム」が始まっています。とても参考になりますので、是非聞きにきてください。

【大学ホームページへ】公務員志望者支援プログラム


後期も頑張りましょうね!

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さて、夏休みも終りました。
「皆さんはどんな夏休みを過ごしたのかな?」と思い、久保くんに聞いてみたところ、「実家で定置網漁のお手伝いをしていました!」とのこと。「定置網って??」と、海無し県出身の現法さんは分からなかったので、久保くんにレポートしてもらいました。

久保くんは、礒野 弥生先生のゼミで環境問題について勉強していました。

昨年は「日本の水資源を守るための企業の取り組み」について、ゼミ研究報告会で報告してくれました。とても分かりやすかったです。だいぶ勉強したんだろうなと思う内容でした。


ではでは、海の男の世界へ、皆さんどうぞ~


【過去のブログ記事へ】「法プロがあるから頑張れる!」輝く現代法学部生!~第1回~亀山さん
【過去のブログ記事へ】「2年生からサークルも頑張る!」輝く現代法学部生!~第2回~森田くん
【過去のブログ記事へ】「みんなで立ち向かえばいいんだ」輝く現代法学部生!~第3回~下山くん

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はじめまして!
このたび、ブログを書かせていただきます現代法学部4年久保賢哉です。

皆さん後期の授業にも慣れましたか??
そして、約2か月ある夏休みは皆さんそれぞれ有意義に過ごしましたか??

私の4年間の夏休みは、すべて実家の釧路町で盛んに行われていて家業でもある鮭の定置網漁船に乗りお手伝いをさせていただいておりました。

釧路町ってどこにあるのか?と疑問に感じた方のために


広大な北海道の東側に位置するところに釧路町はあります!!!


皆さんから見ると漁業とは過酷な仕事のように感じていられるかと思いますが、皆さんの想像通りの過酷な仕事です。笑

起床は朝の2時です!3時過ぎに乗組員全員が船に集まり夜明けよりも早く出航します。網を沈めている現場までたどり着くと、乗組員一丸となって網を引っ張り上げます。

普段のこの時期は、網の中の鮭が暴れていて重たく、船の中にある生け簀はいっぱいとなりますが、今年は連続して発生した台風の影響もあり海水は山からの土砂を含み濁ってしまいました。魚も寄り付かなくなってしまったため、例年の漁獲高をはるかに下回っています。



こんな海は4年間で初めての出来事でした。
父をはじめ乗組員の方々も落胆の顔色を隠し切れません。



ちなみにこの定置網ですがどのようにして海の中に沈んでいるかといいますと、、、

このような砂袋をいくつも装着し網を沈めているのです。

網はとても巨大で強固なものです。

写真は、皆さんが普段水族館などで見るマンボウです。
いつも皆さんが見るマンボウよりはるかに大きいサイズが掛かったとしても、漁師さん達の作った網は簡単には破れません。この程度の大きさのものは頻繁に掛かります。



あまりにも巨大なものは、船に装備されているクレーンを用いて海から引っ張り上げます。皆さんはあまりご存じではないかもしれませんがマンボウの腸、いわゆるホルモンは脂身が少なくとてもヘルシーです。味も肉のホルモンと変わらないくらい美味しいんですよ!もし、機会がありましたら是非ご賞味ください!

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網の話に戻りますが、鮭の定置網は全長500mほどあります。

漁師の皆さんは、少しでも大漁になるように、写真のような網を朱色に染めることにより鮭をはじめとする魚が網に入りやすいように誘導する、などの工夫こらしています。




網の手入れなども含め、終業時刻は午後4時半頃になります。先述したように、とても過酷です。過酷ですが私は父が舵を持つこの船に乗り、かけがえのない時間を父と過ごすことができたと感じております。なかなか面と向かっては言えませんが貴重な体験が出来て感謝しています。そして、私のような大学生を受け入れてくださった乗組員の皆様にもお礼を言いたいと思います。

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久保くん、ありがとうございました!

久保くんは、礒野ゼミのゼミ長としても活躍し、皆を引っ張っていましたね。昨年は、【現代法学部ゼミ研究報告会】の実行委員長で大活躍でした。就職も無事に公務員に内定したとのことでおめでとうございます。

久保くんの頑張り屋の性格は、北海道の大自然と、お父さんの姿が育んだのだろうなと思います。これからも頑張ってくださいね。

ではまた次回!