2014年6月26日木曜日

「オフィスアワー」を活用して教員と話してみよう!など、最近の話題。



2014.6.18 成績優秀者表彰式

みなさんさんこんにちは。

「最近現法さん記事書いていないんじゃないですか?」

と学生さんに言われました。そうかな・・・?決して楽をしてるわけじゃないんです。

言い訳は置いておき、今回は担当して、いくつか話題を取り上げてみました。

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壱:そろそろ定期試験ですね。

 気づけば来週で6月も終わり、7月の初旬から臨時試験が始まります。
そしていよいよ「前期末試験」が始まります。試験期間は7月23日(水)~31日(木)です。

 1年生のみなさんは、「テストってどんな感じなんだろう・・・」と戦々恐々としているのでは。

 もう少しすると、「TKUポータル」の画面に「試験時間割」というボタンが出るので、それを押すと、自分が受けなければならない試験の日程のみが表示されます。それを指定された時間に受けるだけです。

TKUポータル画面

 【試験時間割】を開くとこういう画面になります



 注意としては、定期試験の時間は通常の授業時間と違うということです。例えば1限は通常は9:00からですが、定期試験の1限は9:25からです。間違えないでくださいね。

 あと、授業内試験だと学生証が不要の場合がありますが、期末試験は必ず学生証が必要です。忘れてしまうと300円支払って受験許可証を発行する必要がありますので要注意です。

 
 「臨時試験」は、TKUポータル「授業情報」で確認することができます。

定期試験が終わると、終わった人から夏休みが始まります。夏休み中の9月1日(月)に成績発表が行われます。TKUポータルで必ず成績を確認してくださいね。

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弐:「法学検定ベーシック講座」の申し込みが来週の月曜までです。

 「法学検定ベーシック講座」の申し込みが6月30日(月)までです。2年生から「法プロフェッショナルプログラムに入ろう!」と思っている学生は、是非この講座を受講して、試験に合格してください。
法プロについては過去の記事を読んでください。その中で亀山さんも下山くんも書いていますが、

少しでも

「勉強したい」
「もっと私は頑張れるはず」

と思う学生は、所属することをお勧めします。きっと道が開けるはずです。

【過去の記事へ】「法プロがあるから頑張れる!」輝く現代法学部生~第1回~亀山さん
【過去の記事へ】「みんなで立ち向かえばいいんだ」輝く現代法学部生~第3回~下山くん

また、資格試験に合格すると、単位認定を受けることができますよ。是非チャレンジしてみてください。


【東経大CSCのページへ】法学検定ベーシック

申込方法はこちら。(CSCのページへ飛びます)

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参:オフィスアワーの活用を。


「オフィスアワー」とは何ぞや?という人に説明しますと、先生が「自分はこの時間はここにいますよ、何かあったらぜひ来てくださいね」と公表している時間です。

先生によってはメールアドレスや電話番号まで公表している場合があります。「不定期」と記載している先生もいます。

その情報がどこに載っているのかというと、「TKUポータル」です。
5月15日の「お知らせ」を見てください。ほとんどの現法の先生が公表しています。

「授業のここが分からない」というのはもちろんですが、
「法科大学院に進学したい」「公務員になりたい」「家族のことで・・・」「友人関係で・・・・」
いろいろ悩んでいることがあると思います。、第3者の意見を聞いてみることはすごく重要です。オフィスアワーを活用してみてください。

また、もうすぐ定期試験ですし、分からないことなどがあればぜひ利用してください。
 



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四:成績優秀者表彰式

6月18日に、成績優秀者表彰式が行われました。2年生25名、3年生18名を表彰しました。

大会議室で、一人一人に礒野学部長が賞状を手渡します。現法の先生のほとんどが出席して、みんなでお祝いします。

さて、「どうしたら表彰されるか」ですが、

2年生は、1年生の時のGPAで表彰を行います。
3年生は、ちょっと計算式が複雑なので省きますが、現代法学部の専門科目の成績評価の比重が高くなっています。
4年生は、卒業式の日に表彰します。上記2つの方法の平均値プラス、卒論を書いているか、ゼミで頑張ったか、などの項目を含めて、表彰対象者を選びます。

来年は表彰されるぞ!と頑張ってください。


今年のお弁当はこんな感じでした。来年は一緒に食べましょう。


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五:ちょっとした幸せごと。(3年生以上対象)

 昨年、成城大学に移られた、松田浩先生がご結婚されたそうです。おめでとうございます。左手薬指に指輪がキラリ。先生幸せ太りをしたそうです。また、先生は現法ブログの愛読者とのことです。


松田浩先生(真ん中)
懐かしの羽生先生もいます。
経営の先生と。

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いかがでしたか?
ちょっと手抜き感がある???ご容赦を。

夏休みまであと1カ月、体調を崩さないように頑張ってくださいね。

ではまた次回!

2014年6月20日金曜日

「刑法」ってどう学んでいけばいいの?
~若手教員 中村悠人先生に聞く~


中村 悠人 先生

みなさんこんにちは。

みなさんは、『現代法学部の若手教員』というと、だれが浮かびますか?

今回は、現法で2番目に若い、中村 悠人先生にインタビューしてみました。

中村先生は、1年生2期科目「刑事法基礎」や、2年生~科目「刑法」を担当されています。そこで、まずは「刑法の学び方」について聞いてみようと思いました。

また、先生は東経大に来て1年ちょっとですので、まだ「謎」な部分が多いと思います。ご自身の「進路をどのように考えたか」「休日の過ごし方」などについてもあわせて聞いてみました。

ではどうぞ。

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1:先生はなぜ大学の教員になったのですか?先生が刑法の教員になった「きっかけ」があれば教えてください。 

 私が大学の教員、より正確には研究者を目指したのは、「よくわからん」ことが多かったからです。
 
 それで色々と調べていくうちに面白くなり、研究者を志望するようになりました。もっとも、最初から刑法を研究しようと決めていたわけではなく、法学部に入学した当初は司法試験か公務員を目指そうと考えていました。それが、法律系の討論サークル(インカレで法律討論会を行っていた)に入り、先輩や友人、後輩と議論をしていくなかで、法学をもっと学びたいと考えるようになりました。
 
 そんな折、先の法律討論会で刑法の問題が出題されたのですが、なかなか難しい問題でして(薬害エイズ事件を元にした事例)、今思うと問題の本質をきちんと理解できなかった。それで、興味を持って刑法のゼミに進んだのが最初です。そこで、刑法は、論理性、体系性と具体的帰結の妥当性を確保することが求められるのだということがわかり、研究をしてみたいと思うようになり、今に至ります。
 

2:「刑法」について興味が持てません。何か興味が持てる方法はありませんか?

 やや一般論的になりますが、興味が持てないという場合、学んでいない食わず嫌いの場合と、やったけれども良くわからない場合のどちらなのかによって、対応は変わると思います。
 
 食わず嫌いの場合、きっかけはいろいろあるのですが、ふとしたことから(単位を取得するための「勉強」であっても)興味を持つことがあるので、まずは触れてみることが重要となるように思います。
 
 他方、触れてみて良くわからなかったという場合、わからないということで興味をなくしてしまったのであれば、もう少し続けてみることをおすすめします。
 
 それというのも、刑法は一つの部分だけを切り取ってもよくわからないものでして、他の部分との繋がり、様々な問題との関係を理解してはじめて色々とわかってきて、体系的なものとして面白くなってくるからです。どうしても「勉強」ですと長く続かないものですから、自主的な「学習」を目指してください。
 

3:「刑法」の効率の良い勉強方法を教えてください。

他のことにも共通していると思いますが、「急がば回れ」が一番効率の良い学習方法です。
 
特に、刑法の場合、犯罪体系を意識してはじめて見えてくるというものが多々ありますので、一通り教科書を読み講義を聴いて、もう一度読み直す、講義のノートで復習するという過程がとても大事になってきます。その意味では、すぐに芽が出るタイプのものではなく、こつこつやっていたらあるときに繋がりがわかって理解できるようになる、というものです。この点では、語学に少し似ているかもしれません。
 

4:先生が今一番注目している事件があれば教えてください。

 具体的な事件というわけではありませんが、現在は本来の研究テーマである刑事制裁論を研究しつつ、行刑と社会的援助の問題、また、司法と福祉の横断的な検討にも関心があります。

 
5:先生はご出身が静岡で、大学が関西、東経大の教員になられて初めて東京に出てこられたと思いますが、東京生活はどうですか?休日は何をされているのですか?

 東京の生活も1年ちょっとたち、慣れてはきました。ただ、電車等での人の多さと歩くスピードの遅さは難儀しますね。

 休日は、研究者には土日も研究会や学会、シンポジウム等があるので休みではないので、主に平日の時間がある日に作るのですが、なかなか丸一日休むことはないです。できれば、旅行に行ったりしたいですね。


6:東経大現代法学部の学生に最後に何か一言お願いします。

 自戒の念もこめてということになりますが、周りの人が言うからというのではなく、自分で考えて答えを出してください。
 
 そのためには、まず、周りの意見を鵜呑みにすることをやめ、自分の意見や他人の意見ときちんと向かい合うということが必要になります。そして、自分と異なる考え方をもっている人と、感情的にならずに冷静に議論をすることが重要です。
 
 どうしてその意見に至ったのかをきちんと知れば、反対に自分の考え方の良い部分と悪い部分の両方が見えてくるものです。そうしたなかで、自分の意見が本当に正しいのかを常に疑いつつも、自分なりの考えをきちんと表明できるようになってください。
 
 
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いかがでしたか?
先生って忙しいんですね。

学生のみなさんと年齢が近め(?)ということで、親近感を持って読んでもらえたのでは。分からないことがあったら、是非中村先生を訪ねてくださいね。






ではまた次回!

2014年6月11日水曜日

「高齢期の福祉向上をめざして」 
~福祉、西下彰俊先生にインタビュー~


西下 彰俊ゼミ 新規生歓迎コンパ
 
みなさんこんにちは。
 
今日は、ブログ初登場、西下 彰俊先生にインタビューしてきました。
 
西下先生は、1年生の時に「福祉論」の授業でお世話になった学生は多いのではないでしょうか?先生はスウェーデン、韓国の福祉について研究されています。また、学生と一緒に東北でのボランティアにも熱心に活動されている先生です。西下ゼミは「卒業研究」を書く学生が多いことでも有名です。ではどうぞ。
 
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現法さん:西下先生先生は、スウェーデンや韓国に行かれたり、学内GPで仙台にボランティアに行かれたり毎年精力的に活動されていますが、こうした活動はご専門に関連しているのでしょうか。あ、少し失礼な聞き方になったかもしれませんが。。。
 
西下先生:まあ、そうですね。確かに、動き回っていますね。一見すると、何か相互の関連がなく、バラバラにやっているように見えるかもしれませんね。でも、一本の<糸>でつながっているんですよ。
 
現法さん:柱でなく、糸ですか。
 
西下先生:柱と言いたいところですが、一応控えめに糸としておきましょう。
 
現法さん:どんな柱ですか?糸ですか?
 
西下先生:一言で言えば、「高齢の福祉向上」です。高齢ではなく、高齢です
 
現法さん:高齢期ですか?
 
西下先生:そうなんです。ここが重要です。アンダーライン引いてください。
 
現法さん:先生、それ、口癖ですね。久しぶりに聞きましたよ。
 
西下先生:そうそう、癖になっていますね。高齢というと他人事に感じてしまいますが、我々もやがて迎える「高齢」です。他人事ではなく、「自分事」としてとらえてほしいので、この概念にこだわっています。
 
現法さん:その高齢期の福祉向上と、ご活動の関連について、もう少し説明していただけますか。
 
西下先生:はい、はい。説明しますよ。スウェーデンについては、16年ほど研究していますが、世界の代表的な福祉国家としてのスウェーデンが高齢期の福祉向上、とりわけ介護の質向上に対してどのような国家戦略を構築し実行しているか、基礎自治体であるコミューンが、それぞれに独自色を打ち出しながら介護の質向上に腐心しているかを調査研究しています。研究方法にも、私なりの「色」を出しています。
 
現法さん:ですか。分かりやすく説明していただけますでしょうか。
 
西下先生:はい、はい。説明しますよ。どの社会でもそうですが、介護政策としてうまく成功している部分もあれば、そうでない部分を必ず持っています。スウェーデンというと、何でもうまくいっている国と日本人は勝手に持ち上げてしまいますが、それは間違いですね。スウェーデンの介護政策にも問題点が少なからずあります。私の表現で言えば、「光と影の両面」から、対象国を研究分析していることになります。
 
現法さん:韓国はどうですか。
 
西下先生:7年ほど研究しています。日本の介護保険制度を2008年に導入していますが、
     まだまだ問題点が多いですね。ただ、不思議なことに、認知症ケアに限定すると、日本より進んでいる部分もあったりするので、韓国は興味深いです。
 
現法さん:スウェーデンや韓国は分かりましたが、仙台での活動はいかがでしょうか。
 
西下先生:仙台では、夏休みに、ゼミ生や他学部一般学生と一緒に、仮設住宅の高齢者の皆さんを訪問しバーベキュ-をやったり、流しそうめん、かき氷で交流したりしていました。夜には、集会所でカラオケ大会をしていました。私は、こうした活動をコミュニケーション型ボランティアと呼んでいます。翌日には、退去して空き家になったところの雑草を刈っていました。環境整備型ボランティアと言えますね。こうしたボランティア活動と並行して、入居者の方にアンケート調査を行い、仮設住宅での生活状況や今後入居される「復興公営住宅」への思いについて回答していただきました。こうした調査も、被災地における高齢期の福祉向上という私の研究テーマにつながっています。
 
現法さん:この夏休みも仙台にいらっしゃるのですか。
 
西下先生:去年と一昨年は、学内GPに採択され、大学からの補助金を得てしっかり活動してきました。その様子は、報告書にまとめています。今年も、学内GPの募集があると思い込んで(思い込むのが、私の特徴ですが)、昨年の応募フォーマットに新しい企画について書き込んでいたのですが、どうもこの制度、廃止になったようですね。この全国的に見てもユニークな制度は、また復活させてほしいですね。で、今回は補助金はゼロなのですが、顔馴染となった仮設住宅に、ぼぼ全員のゼミ生と卒論ゼミ生(ゼミOBOG)有志を連れて8月下旬に行ってきます。
 
現法さん:さて、ここからが本題なのですが。
 
西下先生:えーーー!いままでのは、前振り?
 
現法さん:先生は、現代法学部ですよね。先生のご研究と、「法律」との関連はお有りなのでしょうか。
 
西下先生:もちろん、ありありなんだけど。あのねー、実は、卓球部の練習時間に入っているので、今日はこれで終わっていいですかね。
 
現法さん:卓球ですか。そういえば先生今年から「卓球部」の部長に就任されていましたね。2部昇格おめでとうございます!では、来週続きをうかがってもいいですか。
 
西下先生:来週はちょっと…。来月なら、続きを話せますが。次回は、本論から入りましょうね。 
 
現法さん:承知しました。楽しみにしています!
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いかがでしたか?次回の西下先生の記事、「福祉と法」についても楽しみですね。

先生は「大学教授キョトンCのスウェーデン・ラーゴム便り!!」というブログを10年近く続けていらっしゃいます。とても軽快な文章で読みやすいです。ご自身のアルコール数や血圧まで公表されている、とってもオープンな先生です。
 
ではまた次回!

2014年6月6日金曜日

週末をつかって、ちょっと学習。
『集団的自衛権』について学ぼうその2 ~憲法 加藤先生に聞く~

 

 
加藤 一彦 先生
みなさんこんにちは。
 
今日は「週末を使ってちょっと学習~集団的自衛権~」第2弾です。

前回のブログでは、政治学、藤原修先生の切り口から「集団的自衛権」について解説してもらいました。

 今回は、憲法の加藤一彦先生に、「憲法と集団的自衛権」問題について、お話を伺ってきました。タイムリーな話題ですので、一緒に考えてみましょう。

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1.安倍さんが首相になって、「憲法を改正します!」と公言していましたが、この頃「解釈改憲だ!」とか言っています。高校の「政治経済」の授業で、憲法改正について習いましたが、「解釈改憲」という言葉、初めて聞いたような気もします。「解釈改憲」とは、どんなことを言うのでしょうか?

 日本国憲法の改正とは、憲法96条及び憲法改正手続法に準拠しながら、憲法の法文を削除・増補することです。その範囲は、一部条文の場合、全文に及ぶ場合、双方を含みます。自由民主党HPに掲載されている「日本国憲法改正草案」は、日本国憲法の全面改正版です。将来、憲法改正をする場合、最後の場面では、有権者(18歳以上の日本国民)の国民投票が必要です。主権者国民が憲法改正権者として、「この国の将来の形」を決めるわけです。

 安倍首相は、改憲論者です。自由民主党のDNAを確実に受け継ぎ、「自主憲法制定」を自己の使命と考えて、これまで行動してきました。安倍首相は、特に憲法9条の平和主義条項を敵視しています。そこで、前回の首相就任の時から、憲法9条の改正を主張していました。ただ、憲法改正をするには、憲法改正条項のハードルが高く、そこでこの96条自体改正し、ハードルを下げようと考えていました。

 しかし、この計画の評判はよくありませんでした。憲法改正賛成論者からも「邪道」といわれ、敵に回してしまいました。昨今、「安倍首相は保守主義者なのか?」と疑問視されているのは「保守」=「オーソドックスへの敬意」が首相には見えず、保守主義者が一番嫌う「強固な国家主義者としての政治家」のように映るからでしょう。

 質問は、「解釈改憲」の言葉でしたね。これは、学術用語ではありません。法文(言葉)には、定義が必要です。定義をすること、これを法解釈と言います。法解釈には制限があります。「解釈の枠」です。これは「法の賢慮」を習得した者だけが――現代法学部のみなさんは、今その学習をしているのですよ――認識できる枠です。ある解釈が「枠」の内にあるか否かの判断は、最終的には、最高裁判所の判例によって定まります。安倍首相の言う政府解釈は、裁判所による判断前の一応の法解釈です。もっとも、政府の法解釈は、一切の法令に意味を与え、この意味が国と自治体の行政機構を拘束します。特に、政府による憲法解釈は、国会が作る法律の解釈とあいまって、国民生活まで及びます。

 「解釈改憲」とは、「これまでの憲法の法文の政府解釈に新たな別の意味を加えて再定義すること」といえます。つまり、憲法の言葉をそのままにしておき、その言葉の意味を「これからこの言葉は、このように定義します」というに変えていくのです。これは、憲法改正によって言葉を変えたような効果を発揮します。安倍首相は、さしあたり、憲法9条の法文はそのままにしておいて、憲法9条の言葉の意味を変えようと考えています。一国の首相の資質として、大変、コソクな手法だと思います。
 
2.自民党と公明党が「集団的自衛権」の勉強会をしていていますが、集団的自衛権とは、何なのでしょうか?集団的自衛権の記事がイッパイあるのですが、難しくて、さっぱりわかりません。
 
 藤原教授が、細かく前回のブログで書いていますね。参考にして下さい。簡単に言えば、集団的自衛権は、国際連合憲章51条において、初めて認められた国際法上の権利です。従来政府は、集団的自衛権について、日本国は有するが、これを行使することは、憲法9条に違反するという立場をとっていました。というのも、日本国が他国より武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカ軍に対する攻撃があった場合、この攻撃をもって、日本国に対する攻撃があったと見なし、アメリカ軍とともに自衛隊が相手国に対し、武力攻撃することになるからです。日本の自衛隊に攻撃をしていない相手国からすれば、日本の武力行使は、日本政府による宣戦布告と同じです。そうしたことが起きるから、憲法9条は、集団的自衛権行使を禁じているのです。
 アメリカは軍事大国であり、アメリカ軍は世界規模で展開しています。どこかの国がアメリカに攻撃したからといって、日本政府が、集団的自衛権を自動的に行使するということは、さすがに無理でしょう。こんなことは、日米安保条約も想定していません。そこで、自民党と公明党間で、集団的自衛権行使の場面を話し合っている最中です。公明党は、集団的自衛権行使に慎重ですので、「従来より憲法上、認められてきた個別的自衛権行使の拡大化」で、日米安保体制の深化を求めてくるでしょう。自民党は、集団的自衛権行使認容を前提に、自衛隊をアメリカ軍への「他衛隊」として活動できるように、新規立法を目指すと思います。ちなみに、「自衛隊/他衛隊」では格好悪いので、自民党の「日本国憲法改正草案」では、「国防軍」に変えられています。「自衛」という言葉すら、外されていることに注意して下さい。
 
3.集団的自衛権を行使できるようになるということは、戦争が出来る国になると言うことでしょうか?そうすると、私たちも「いざ、覚悟!」とか、「心の準備」が必要な気もします。とりあえず、何をしておいたらいいのでしょうか。
  ちょっと、勘違いしていますね。「地震に備えて、家具を固定しましょう」、「非常食は1週間分用意しましょう」というレベルのお話ではありません。地震、台風は自然災害です。人知では避けられません。天の定めです。しかし、戦争はどうでしょうか?人間が起こすのです。「人を殺してみたい」という人間の邪悪さが心を支配したとき、しかも多くの人々がこれに同調したとき、戦争が始まります。
 「いざ、覚悟」は、自然災害のための心構えの話です。私たちは、知恵を出し合い、「人間の幸福な条件」を作っていかなければならないはずです。
 
 こう考えたらどうでしょうか
「日本には戦争オプションは存在しない。だからこそ、一切の紛争は、日本人の叡智を結集して解決するのだ」。
 
 「心の準備」は、「平和な国際社会を作るには、私はどんな人間でなければならないのか」から始めるといいと思います。莫迦な人ほど、破壊/暴力を好むもんです。では、現法さん、みなさん、宿題を出します。「君は作ることと、壊すこと、どちらが好きですか?」。
 
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加藤先生ありがとうございました。
2回にわたって「集団的自衛権」について解説してもらいました。読んでみてみなさんどうでしたか?
「現代法学部」は「現代社会の諸問題」を通じて法律を学んでいく学部です。世界中で起きているどんな問題でも「法律」が絡まない問題なんてないですよね。現法にはニュースで見る最新の問題について答えてくれる先生がたくさんいます。みなさんとても良い環境にいるんですよ。せっかく現法に入ったのですから、是非、先生に質問してみてください(注:自分なりに少しは勉強してみてからにしましょう!)。
 
最後の加藤先生の質問を一緒に考えましょう。
「君は作ることと、壊すこと、どちらが好きですか?」
 
ではまた次回!