2019年3月13日水曜日

【学問のミカタ】旅先で見つける海外法律事情

今回の【※学問のミカタ】ブログは、現代法学部の永下 泰之からお届けします。


今回、永下は出張でシアトルに行き、ワシントン大学ロースクールを訪問しました(研究調査のためです)。


University of Washington, School of Law(ワシントン大学ロースクール)

ワシントン大学は、ワシントン州シアトル市にある州立大学です(ワシントン州には、ワシントン州立大学(Washington State University)という州立大学もありますが、別物です)。州立大学のトップ校群(いわゆる「パブリック・アイビー」)の一つである、非常に著名な大学です。非常に広大なキャンパスで(所有総面積は約200万平方フィートもあるそうです。)、また非常に美しい大学でもあります。







さて、本題に戻りましょう。

1.シアトルたばこ事情
大学の周囲を散策していると、写真のようなサインをしばしば見かけます。
  



 東京オリンピックをひかえて、東京都では「受動喫煙防止条例」が成立しました。同条例は、受動喫煙を防止するために、敷地内を禁煙とし(屋外喫煙所の設置も不可)、原則として屋内禁煙(ただし、専用喫煙室の設置は可)とするものです。
ワシントン州でも同様の条例があり、レストラン、バー、飲み屋、ボウリング場、野球場を含む公共の建物や職場は、全面禁煙となっています。しかし、東京都とは若干異なった規定も設けられています。ワシントン州の条例には次のような規定があります。

Smoking prohibited within twenty-five feet of public places or places of employment—Application to modify presumptively reasonable minimum distance.


上記規定により、建物の出入り口・窓・換気口から25フィート(約7.5メートル)以内も禁煙となっています。上の写真はバス停ですが、バス停も「公共の建物(public place)」に該当するため、25フィート以内禁煙のサインが設置されているわけです。そのためか、日本のコンビニでよく見られるような灰皿などは一切ありません(日本ではセブン・イレブンが灰皿の撤去に向けて動き出しています)。25フィートといえば約7.5メートルですので、かなりの範囲をカバーすることになるため、町中は事実上禁煙となっています(とはいえ、シアトルの道路は広いのでカバーされない範囲も多くありますし、歩きタバコ自体を禁止する条例はありませんので、それほど多くはありませんが、ちらほら見かけます)。ちなみに、同条例に違反すると、100ドルの罰金が課されます。

このように、受動喫煙に関する規定をみても、考え方の違いがあり、法律を研究する者としては、非常に興味深いものです。海外旅行に行かれる際には、こうした条例などにも関心を持ってみてはいかがでしょうか?むしろ、条例を知らないと上述のように罰金が課されるおそれがありますので、ぜひ調べてみてください。



2.シアトル最低賃金
現在、アメリカは生活費が高騰しており、シアトルも例外ではありません。シアトルの住宅価格(中央値)は、753,600ドル(約8,400万円)となっており、全米でも3番めに高いそうです(とても筆者には購入できません)。また、家賃も高額です。シアトルのアパートで1ベッドルームを借りると、(中央値で)1,650ドル(約18万円)かかります。
このように、シアトルで生活するには、住宅費だけで莫大な費用がかかります。

そこで、最低賃金が問題になります。
東京都の現在(2019年)の最低賃金は、時間額985円です。
では、シアトルはどうでしょうか。日本とは条件が異なりますので、軽々に比較することはできませんが、次のようになっています。

・従業員数501人以上の企業
時間額16ドル(約1,800円)

・従業員数500人以下の企業
時間額15ドル(約1,700円)。ただし、個々の従業員の医療給付制度に最低3ドル拠出し、さらに/または従業員がチップで1時間あたり最低3ドルを得る場合、最低賃金は時間額12ドル(約1,300円)。したがって、事実上最低賃金は15ドル(約1,700円)。

業種・従業員数にもよりますが、東京都と比べると、約1.6倍以上です。非常に高額だと思われるかも知れませんが、先に見た住宅事情等に鑑みると、シアトルではそれほど高額だとはいえません(ちなみにシアトルでは住宅費のほかの生活費も比較的高額です。)

こうした最低賃金からもわかるように、現在、日本は相対的に所得が低く抑えられています。海外旅行をしたことのある方はわかると思いますが、現在の状況で、日本で所得を得ている人がシアトル等の都市に行くと、多くの者が現地では「相対的貧困」層に該当します(筆者も実感しました。お金が飛ぶように消えていきます)。

日本国内では、現在、「相対的貧困」が問題となっています。わずか1週間の滞在でしたが、自分がその立場になってみて、実感し、見えてくるものもありました。今回の出張は、研究以外にも、色々と知ることができ、有意義なものであったと思います。

みなさんも、法律問題を通じて、社会を観察してみてはいかがでしょうか?


3月の【学問のミカタ】
・経済学部「東京一極集中とは
・経営学部「
ピークですね (T_T) 
・コミュニケーション学部「「コミュニケーション学」の海へ漕ぎだすために
・全学共通教育センター「論文執筆と翻訳と