2014年2月17日月曜日

「都知事選」を振り返る            ~憲法学者に聞く、今回の都知事選~



昨年度の加藤 一彦ゼミ(先生は前列真ん中)



 29日(日)に東京都知事選がありましたね。皆さん投票に行きましたか?
 
以前のブログで、政治学の藤原 修先生が「どうやって選んだらよいか」という質問に答えてくれました。
選挙の結果、舛添要一さんが都知事に当選しました。「あ、自分が投票した人だ!」と思った人もいれば、「なんで~」と思う人もいると思います。

そこで、今回は加藤一彦先生に、今回の都知事選や、選挙のことなどについて質問してみました。抽象的な質問になってしまったので、加藤先生は答えにくかったと思います。(すみません!)
 他にも質問があれば、加藤先生に直接質問してください。

加藤先生は「憲法」「法学」などを担当されています。また、加藤ゼミでは、必ず毎年度「憲法論集」に掲載する小論文を書かせています。加藤ゼミの学生が遅くまで図書館で調べ物をしている光景は有名です。真剣に勉強する学生に対する加藤先生の熱意は、半端ではありません。「憲法」を真剣に学びたい人はぜひ加藤研究室のドアをノックしてみてください。

Q 舛添要一さんが都知事に当選したのはなぜだと思いますか?

A 複合的要素があります。都民の最大関心事は、景気・雇用問題と福祉政策の充実化でした。「脱原発」も争点だったのですが、「脱原発」賛成/反対という単純な選挙ではありませんでした。加えて、細川さんと宇都宮さん、2人とも「脱原発」候補者だったため、票が分散したことも、舛添さんに有利に働いたといえるでしょう。総じて言えば、舛添さんに「マイナス要素」が見あたらなかったことが、ダブル・スコアの勝利につながったと思います。

Q 大学生は、在学中に成人になり、初めて選挙を経験しますね。選挙をするにあたって、どんな心構えをしておいた方が良いでしょうか。

A まず、選挙年齢を確認しておきましょう。日本では、成人年齢は満20歳です(民法4条)。公職選挙法91項は、「日本国民で年齢20年以上の者」に国政選挙と地方自治体の選挙権を付与しています。成人=有権者と読めますが、成人年齢と選挙権獲得年齢は必ずしも一致しなくても良いのです。18歳から有権者にする計画もあります。私も18歳に引き下げることに賛成しています。18歳といえば、多くの人は高校生です。高校の社会科教育で、「立派な主権者教育」をするようになるからです。

選挙の方法について、身近な市町村長の選挙を例にあげて、説明しましょう。満20際以上の学生さんには、選挙公示日以降、市町村選挙管理委員会から「投票所入場整理券」(葉書)が郵送されます。投票日にこれを持参して、記載してある投票所に行って下さい。受付では、これを提出し、引き替えに「投票用紙」1枚を受け取って下さい。あとは、自分の心に決めている人の名前を書いて下さい。記載台には、候補者名が掲示されていますから、間違わないようにフルネームで記入して下さい。鉛筆も置いてあります。漢字に自信がなければ、全部ひらがな/カタカナでもOKです。その後は、投票箱に入れておしまいです。

Q どんな基準で、候補者の選択をしたら良いのでしょうか

A これには、正解はありません。「祈りにも近い気持ち」としか言いようがありません。AKB48総選挙では、遊び心があってもいいのですが、公職にある者を選ぶ選挙は、民主主義の質をも表します。選挙は遊びではなく、国民の公務という自覚から、選挙を見つめてはどうでしょうか。

20歳になって、初めての選挙の時には、必ず投票しましょう。最初の時に投票しなければ、必ずサボリ癖がつきます。皆さんが、親となり子を持ち、小学生の子供から「お父さん、お母さん、どうして僕の学校で投票しないの?」と聞かれて、自分の子供にどう答えるでしょうか。立派な答えかどうか、私も知りたいところです。

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