2015年4月27日月曜日

新入生に向けて その2
~桜井健夫教務主任からのメッセージ~

2014年 桜井ゼミのみなさん
みなさんこんにちは。

待ちに待った!?ゴールデンウィークが始まりますね。
しかし!!4月29日(水)は祝日授業日です。気をつけてくださいね。

さて、今日は前回に引き続き、桜井健夫先生からのメッセージです。桜井先生っぽい文章に、現法さんは思わず笑ってしまいましたが、新入生だけではなく在学生の皆さんにもぜひ読んでもらいたい内容です。

ではどうぞ!

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 前回に引き続き新入生に向けた話です。ただし、2年次生以上の学生にも意味のあることが含まれています。前回項目だけ紹介した「③大学での学び方のポイント」について、新入生ガイダンスでは伝えきれなかったことも含めて書きます。ポイントは3つあります。

1つ目教材の管理を工夫しましょう。高校までは、教科書とノートがあれば足りましたが、大学では、教科書が指定されていない科目がありますし、指定があってもそれとは別に頻繁に教材が配布される科目もあります。教材には紙に印刷されたものと、データのものがあります。データは、TKUポータルで提供されるものと、URLを知らせる形で提供されるものなどがあります。指定された教科書を購入するのはもちろんのことですが、それに加えて、授業期間中に提供されるこれらの教材を、使えるように管理する必要があります。

まず、紙に印刷された教材は、配布されるたびに穴をあけてファイルしましょう。区分されたクリアファイルに入れて保管してもいいですが、取り出せるので散逸のおそれがあり、なかなか管理が難しいものです。データで提供される教材も、印刷して紙の形にし、穴をあけてファイルするのが最も利用しやすい保管方法だと思います。紙の形にすれば、書き込むこともできます。

なお、データで提供される教材は、データのままハードディスクやUSBに保管したり、クラウドに保管したりする方法もあります。頻繁に教材が提供されたり、それに加えて自分でどんどん調べていったりすると、データが大量になってきますので、データのままでの整理が重要になります。このような場合、クラウドで保管すると、紛失しないだけでなく、いつでもどこでもそのデータを見ることができるので便利です。将来、卒業論文を書くときや社会に出て特定のテーマで資料を集めるときなどに役立ちます。他方で、紙ベースでの保管と違い、書き込みがしにくい、「持ち込み可」条件の試験でも持ち込みは紙ベースに限られるのでデータは試験会場に持込めないなどの限界もあります。

2つ目集めて整理した資料を前提に、考えること。これが重要です。資料を集めて整理したところで終わってしまっては、きれいなノートをとったがそれで満足して中身はさっぱり頭に入っていない、というのと同じパターンで、ダメです。集めて整理した資料を見て、考えましょう。ただ見ているだけではうまく考えられないかもしれません。考え方にも技術があります。その技術を身に着けると新鮮な発見があることもあります。1年次1期の「大学入門」や2期の「社会法学入門」がそれを身に着ける機会です。

考え方の技術の例をあげましょう。まず、hinzudenken (ヒンツデンケン。ドイツ語です)。付け加えて考える。「ロボット犬は実際の犬に近いほど人気が出る」という命題が正しいかを考えてみます。ぬいぐるみが動くのと、犬そっくりのものが動くのとでは、どちらが欲しくなるか考えてみると、犬そっくりの方が人気が出そうです。先の命題は正しそうな気がしてきます。ここで付け加えます。犬そっくりのロボットが、犬そっくりの臭い糞をするように作ると(作るのは大変ですね)、どうでしょうか。より実際の犬に近づいています。欲しいですか。・・・どうも先の命題は違うようです。

これと逆の方法が、hinwegdenken(ヒンベクデンケン)。 差し引いて考える。考える対象について、ある部分がないとしたらどうか、と考える方法です。入れ替えて考える、というのもあります。官邸にドローンが落ちて威力業務妨害罪の疑い、と報道されています。ドローンが運んだという、福島の土と報道されているものがなかったらどうでしょうか。さらに、落ちたのがドローンでなくラジコン飛行機だったらどうか、紙飛行機だったらどうか、シャボン玉だったらどうか、などと考えていくと、威力業務妨害罪という犯罪の構成要件に対する理解が深まります。
付け加えて考える、差し引いて考える、入れ替えて考える。皆さんも、いろいろな場面で試してみてください。


 3つ目大学は人と接して学ぶ場です。現代では、ネットで有名人の講義を視聴することはいくらでもできます。しかしそれは受け身のものです。これに対し、大学に来れば、教職員とやり取りができますし、クラス、大学入門などのゼミ、サークルなど、友人をつくる機会もたくさんあります。中にはそりの合わない人もいるかもしれませんが、一生つきあえる友もできるかもしれません。大学で接する人たちに積極的に話しかけて、多面的な学びを深めましょう。


最後に「機会費用」について書きます。新入生に限らず学生の皆さんは、高校卒業時に、社会に出て働くことを選択せず大学で学ぶことを選択しました。ですから、皆さんが大学で学ぶことの対価は、支払った入学金や授業料だけではありません。就職すれば年間200万円あるいはそれ以上の収入を4年間得られるし、様々な技能も身に着けることができたはずです。皆さんはこれらを捨てて、大学に来ているわけです。このような、ある行動を選択することで失われる、他の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益のことを経済学では「機会費用」と言います。皆さんが大学進学を選択したことで失われるこれらの利益=「機会費用」を意識すると、大学で学ぶ気持ちがより強くなるのではないでしょうか。意識してもすぐ忘れてしまうかもしれませんから、「機会費用」という言葉だけ覚えて、時々、「機会費用」ってなんだっけ、と調べなおして思い出してください。
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いかがでしたか?ちょっと難しいような、でも納得してしまうような、桜井先生っぽいというかんじだったのでは??

ではまた次回!