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2017年11月21日火曜日

【学問のミカタ】「できる」と思うか、「できない」と思うか?~障害者雇用政策のあり方~

2017.11.21 火2限 「障がい児・者と法」 中川 純教授

みなさんこんにちは。
11月も後半になりました。あと40日で今年も終わりらしいです。

皆さん心配してくれるので、そろそろご報告とお礼を。。。
2017.9.25ブログ【学問のミカタ】より
これを見て心配して連絡してくれた卒業生もいました。
ありがとうございました。

思い起こせば夏休み、8月下旬の出来事でした。
2017.8.7 ブログ「良い夏休みを!」より

「学生の皆さんも旅行をするときなど十分に注意してください」

なんて書いたのに....

 現法さんが交通事故に遭ってしまいました(@大阪)。あああぁ、恥ずかしい。。。

 突然右折してきたプリウスのタイヤが足の上を通ったため、全責任は轢いた側にあるのですが、くるぶしや足の甲の骨など5箇所を骨折してしまいました。2週間ほど入院し、手術をしてワイヤーで骨を固定するなどを経て現在に至ります。来年の夏休みにまた入院してワイヤーを抜きます。

 松葉杖って結構大変なんですね。両腕は筋肉痛だし結構滑ります。また、何も持つことが出来ません。10月は雨ばかり降っていたのに、傘もさせずに道端でタクシーを待つ羽目に。雨の日のタクシーはつかまり難いのですが、合羽を着ていると余計止まってもらえずスルーされるので、合羽は着ずに「そんなに降っていないよ」的な涼しい顔をしながら道に立っていました。台風のときは、意味不明な濡れている人だったでしょう。書き出すともう本当にいろいろと困ったことや悔しいことがありました。

 しかし一方で周りの方の優しさも感じました。特に学生の皆さん。
お昼を「持ちましょうか」と学務課まで運んでくれた学生さん、雨の日に傘をさしてくれた学生さん、混んでいた1号館のエレベーターから降りてくれた学生さん、こちらも挙げればきりがないほど沢山の皆さんにお世話になりました。現代法学部だけではなく、他学部の学生の皆さんにもお礼が言いたいです。本当にありがとうございました。

 先週からようやく松葉杖が1本になり、だいぶ生活しやすくなりました。年内に松葉杖から卒業できるようリハビリを頑張ります。

 そうそう、現代法学部の先生達にもお世話になりました。会議の荷物を運んでくださったり、大阪の警察署の方が東京に出張してきて「調書」を取られるときも、どんなことをやるのか説明してくれました。轢いた人との話し合いの進め方などもアドバイスしていただき、ありがとうございました。現法担当でよかったです。

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さて、今日は【学問のミカタ】。
今回は中川 純先生に寄稿いただきました。

中川先生は今年現代法学部に着任された先生です。
専門は社会法学で、現法では主に「労働法」「障がい児・者と法」を担当されます。今回は障がい者の雇用政策についてご寄稿くださいました。
ではどうぞ!


【学問のミカタ11月】

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「できる」と思うか、「できない」と思うか?
~障害者雇用政策のあり方~

2017.6 成績優秀者表彰式

*「適材適所」って何?
 「適材適所」という言葉を知っているでしょうか?
 能力や特性などによって、その人にふさわしい地位や仕事を配置することをいいます。「適材適所」とは、簡単にいえば人材と仕事のマッチングをうまく図ることです。うまくできれば仕事の効率性が高まるなど、いいことがあります。こう聞くと、「適材」の本来の意味を「人材」と受け取ってしまうかもしれません。ところが、元々の意味は、木材です。木造の日本家屋をつくるときに、土台には水に強く、狂いの少ないヒノキやヒバを、内装には木目の美しいスギを、天井を支える梁には頑丈なマツを使い分けていました。このような木材の使い方を語源としています。

*障害者が働くことを支援する政策は「適材適所」的?
 わが国の障害(障がい)者の就労を支援する政策は、障害者の働く能力に応じて、ふさわしい就労の場を用意するものとなっています。その意味では「適材適所」的であるといえるかもしれません。障害がありながらも働くことができる人については、企業に一定割合の障害者を雇用する制度(障害者雇用義務制度)が就労の機会を得やすくしています。また、すぐに一般企業で働くことはできませんが、将来そうしたいと考えている障害者には就労移行支援事業(以下、移行支援事業)が、その希望をかなえようとします。一般企業で採用されるのは難しいのですが、労働契約を締結して働くことができるほどの労働能力がある障害者に対しては、就労継続支援事業A型事業が、最低賃金(最低賃金法に基づき都道府県ごとで決められた金額)が支払われる就労の場を提供します。一方、一般企業で働くことが難しいと考えられる障害者には、就労継続支援事業B型事業所(以下、B型事業所)が訓練を提供しています。ただし、B型事業所や移行支援事業所で就労する障害者には、最低賃金法が適用されないので、就労による所得だけでは生活するのが困難なほどの金額しか支払われていません。1時間あたりの工賃は、100150円(B型事業所)、250300円(移行支援事業所)あたりが相場となっています。

*「適材適所」的政策はワールドスタンダード
 障害者の労働能力に応じて階層的に就労の場を設定する政策は、わが国に限ったことではなく、他の国にもみられます。たとえば、フランス、オーストラリア、台湾なども同じような政策を採用しています。世界的にみても一般的なものであるといえるでしょう。

*アメリカ・カナダでは違った政策?
 これに対し、アメリカ・カナダでは違った政策が採用されています。階層的に就労の場を設けるのではなく、障害者も一般企業で働いてもらおうという考え方です。その特徴は、B型事業所のような福祉的就労の場をなくし、障害者に、非障害者(健常者)と一緒に働くことができる職場で、就労の機会を与え、最低賃金を保障しようとするものです。アメリカ・カナダでもこのような政策が完全に実現しているわけではありませんが、そうすることを目指しています。

 このような政策に対しては、「障害者は働く能力に制約があるから、一般企業で就労するのは無理なのではないか?」、「そんな夢みたいな話はありえない」という人がいるかもしれません。しかし、日本では働くことが難しいだろうと思われる障害者が、アメリカ・カナダでは一般企業で働き、最低賃金を超える金額を受け取っています。ひとつの例として、カナダだけでなくアメリカにも進出しているファストフード店で働く20代の自閉症のカナダ人女性を紹介しましょう。彼女は、入社当時は他人の顔をみることも、あいさつもすることができませんでした。しかし、時間をかけて職場や仕事に慣れることで少しずつ能力を発揮し、現在はキッチン部門マネジャーとして働いています。賃金もその職責に応じているので、最低賃金を超える金額をうけとっています。かつて得意ではなかった接客も、現在は肩に力が入ることなく、自然にこなすことができていました。

*「できる」力を信じるアメリカ・カナダ
 アメリカ・カナダと日本は何が違うのでしょうか?それは、政策をつくり、実行する人、障害者を支援する人が、障害者の「できる」力を信じている、少なくとも信じようとしていることです。ロサンゼルスの国際会議で会ったアメリカ連邦政府の労働省の高官も、「(支援があれば)どんなに重度の障害があっても、働けない障害者はいない」とあたり前のように言っていました。

*「できない」部分をみてしまう日本
 それに対し、日本では、政策をつくる人、福祉的就労で障害者を支援する人、特別支援学校の先生、障害者の親も、障害者の「できない」部分をみる傾向にあります。そして、障害者に無理をさせるよりも、安心で、安全で、安定した環境を提供しようとする意識が強いように思います。障害者が階層のどこで働くか、どの学校に進学するかを決めるときに、このような見方が強くでてしまいます。このような中で、障害者本人も自分の能力や希望に気づくことができなくなります。そのせいか、階層的な就労の場の間での移動はあまりみられません。つまり、福祉的就労の場から一般企業で働くことができるようになった障害者はあまり多くありません。最初から一般企業で働けるなんて思えなくなるのです。これは日本に限らず、他の国でも同じことが言えます。合理的に見える「適材適所」モデルにも落とし穴があったのです。

*少しの違いでも、結果は大違い
 今回はアメリカ・カナダのいいところを紹介しましたが、別にアメリカ・カナダの政策が常にすばらしいなどといいたいわけではありません。日本やそのほかの国の政策もすぐれているところがたくさんあります。知ってほしいのは、少しの考え方の違いで、政策のあり方が大きく変わってくることです。「できる」と思うか、「できない」と思うかというわずかなことが、大きな違いを生み出しています。



 みなさんも日ごろから「できる」と思えば、これまでとはまったく違った学生生活が送れるかもしれませんね。

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中川先生ありがとうございました!

いかがでしたか?
現法さんは足を折ったくらいでこれだけ生活が大変なのだから、障がいを抱えている人はもっとずっと大変なのだと思います。しかし「できる力を信じる」という方法で応援することも出来ますね。周囲の考え方の転換が必要なんだろうなと思います。

ではまた次回。

2017年6月30日金曜日

演技派現法生!~裁判傍聴演習2017~

2017.6.30 裁判傍聴演習

みなさんこんにちは。
毎日梅雨を感じさせる天気が続きますね。今日で6月も終わり、1年間の半分が終わります。何だか1年って早いですね。

そして、現代法学部恒例「裁判傍聴演習」も、民事裁判が終わりました。今日からいよいよ刑事裁判です。

【過去のブログ記事へ】今年もやってます!模擬法廷で裁判を体験

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民事裁判の様子(2017.6.16)

被告が欠席の場合、原告が欠席の場合など
どのように行われるか、木本先生監修のもと
模擬弁論が行われました。




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2015年からスタートした新カリキュラムでは、この「裁判傍聴演習」は、「総合法プログラム生」2年次生の履修必修科目です。他のプログラム生は、3年次から履修することが出来ますよ。

新カリキュラムでは、1年2期に「社会・法学入門」(ゼミ)を1年生全員が受講します。大出ゼミ、中村ゼミ、木本ゼミ、水野ゼミは実際に「裁判傍聴」に行くので、今年の「裁判傍聴演習」履修者の中には、既に1年生のときに裁判見学に行った学生が多くいるのではないかと思います。

【大学ホームページへ】現代法学部案内

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今年の刑事裁判は、国分寺のあさがお亭(注:もちろん架空の居酒屋ですよ)で起きた傷害致死事件です。OBのみなさんは「あ、あれか!」と懐かしいのでは。

簡単に説明しますと・・・

被害者と被告人は仕事の同僚で飲み仲間。

事件当日はひまわり亭(注:もちろんこちらも架空)⇒あさがお亭と”はしご酒”をしたところ、酔いつぶれ病院に運ばれ被害者死亡。しかし死因は小腸腸間膜破裂の出血性ショック死で、暴行されたことが明らかとなるわけです。

さて、暴行したのは被告人なのかはたまた別の人なのか、どのようなことが起きたのか、事件は法廷で争われていくのです。

*模擬法廷前
 大出先生の説明~注意事項を言います。


*裁判長
 それでは開廷します。被告人はその証言台の前に立ってください。
 (裁判長は女子学生さんです。ハキハキしていて、とてもかっこよかったです)

<全体風景>

*被告人
 酔っ払っているか「確かめるため」に顔をたたいたけど、決して暴行はしていません!!
 (裁判員(履修学生)の気持ちをつかむよう頑張って演技してくださいね)
 *検察官
 証拠によって明らかにしようとする「事実」をこれから説明していきます。

*弁護人
 皆さんもお酒に酔っていて覚えていない、でも「お前がやったんだ」と言われたらそんな気になってしまう、そんな経験ありませんか?(・・・・ドキッ)


 *大出先生説明
 フロアの裁判員の皆さん、裁判長から指示があれば証人に質問してもいいです。
 *証人尋問(検察官)
 検察官:あなたが病院に連れて行ったほうが良いといったら被告人はなんと?
 証 人:飲酒運転がばれたらヤダと言っていました。
 検察官:あなたが車で迎えに行ったら被告人は何をしていましたか?
 証 人:心臓マッサージ、押したり、人工呼吸か息を吹きかけていました。
 検察官:病院に向かっているときに、被告人は何か言っていましたか?
 証 人:2・3回蹴ったかもしれない、しかしこれで死んだら大変なことになるので警察には言わないでくれ、と言われました。

*証人尋問(弁護人)
 弁護人:あなたは迎えに行った場所について嘘を言ったわけですね。これは被告人から言われたのですか。
 証 人:いえ、私が話を作りました。
 弁護人:蹴ったかもしれない、と言う話も、あなたが被告の気持ちを忖度して勝手にこの話は伏せておこうと思ったんじゃないですか。
 証 人:違います。


*大出先生

 今日はここまで。
 各グループの裁判長は全体の意見を確認して中間協議の結果を提出してください。ここまでの裁判員の評価も併せて提出すること。




 余談ですが、このシナリオは現物が見当たらず、毎年大出先生が赤入れしたものを使っていました。
 大出先生が最後の今年「現法さん、お願いがあるんだけど・・・」と打診があり「来たな」と思いました。定年退職の前に綺麗にしておきたい、大出先生の「想い」ですね。
 
 また、この科目は現代法学部の「想い入れ」の強い科目なのです。良くぞここまでシナリオに赤入れして学生が分かりやすいように年々作り変えてくれたなぁと思いました。そして、学務課のみなさんの手を借り、分担してどうにか模擬裁判に間に合うよう打ち込んだわけです。

 そんな、現代法学部の大切な模擬裁判です。是非頑張ってください!

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今日はここまででした。さて、今後の行方は?
学生の皆さんが演じる模擬裁判で受講生全員が「裁判員」体験です。今年はどんな判決になるのでしょうね。楽しみです。

ではまた次回!

2017年5月25日木曜日

最近の近況
~公務員志望者支援プログラムミーティングなど徒然話~

2017.5.25 大学風景

みなさんこんにちは。

昨日まで暑い日が続いていましたが、今日は雨が降り涼しくなりましたね。気温の差が大きいので体調管理には十分注意しましょう。

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写真は大学のけやきの木です。

「去年と違いませんか?なんかこわい~」と学生さんから。
そうかな。

今日のケヤキ



去年のケヤキ


なんかタテにシュッとした形ですね。
そうだった、今年はケヤキ特有の扇形の広がりがないのです。
この春に大規模な剪定と伐採を行ってました。

例えばクヌギの木。
落ち葉がお隣のお宅に迷惑を掛けていたそうで、伐採していました。

現在残っている切り株です。


どのくらい大きかったか、というと、こんなに大きい木だったのです!職人の方をクレーンで持ち上げて少しずつカットしていました。

南門に降る途中に、伐採したクヌギの木の幹の輪と枝が残っています。尾崎先生が授業で使おうかと考えている模様。この輪だけでも120キロあるそうですよ。

大学のちょっとした近況でした。

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さて、次は現法編。

★おととい、「公務員志望者支援プログラム」3年生ミーティングがありました。今回の担当は金崎先生です。


今回は、「公務員試験の全体的スケジュールの説明」と、「ちょっと勉強コーナー」がありました。
また、「教養試験」と「専門試験」についてや、「勉強進め方」など金崎先生の分析結果がアドバイスされました。

「ちょっと勉強」コーナーでは、行政手続法に関する問題を金崎先生が作成し、審査基準と処分基準について説明していました。

★2年生の皆さんで「公務員志望者支援プログラム」に所属したい学生向けの説明会は、6月2日(金)です。詳細はTKUポータルサイトで確認してください。


★1年生向けの今年度の「社会・法学入門」概要ができました!

「社会・法学入門」はこれから現代法学部で学んでいくための「動機付け」を行う科目です。各教員の専門分野で起こる問題を実際に見学したり、ゲストをお呼びし話を聞くなどして、それを解決するための方策を考えます。考える(法的思考力を身につけ、社会と法を学ぶことの必要性を自ら考える)訓練をする科目です。
SPACE2018より
昨年度は橋爪ゼミが国分寺の児童館に遊びを提案し採用されたと聞きました。今年も多くの先生が見学に行きますし、大学で文献を読むゼミもあります。しっかり「概要」を読んで応募してくださいね。

ではまた次回!

2015年5月27日水曜日

「行政法」ってどう学んでいけばいいの?
~若手教員 金崎剛志先生に聞く~

2015.5.20  現代法学部 金崎先生歓迎会

皆さんこんにちは。

毎日本当に暑いですね、5月とは思えない!朝、大学まで来る道のりがつらいです。
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さて、今日は少しブログのお話から。

「現代法学ブログ」は今回の記事で68本目となりますが、この1年のあいだ常に閲覧数がトップ10に入る、隠れた人気記事があります。それは、この記事です。

【過去のブログ記事へ】「刑法」ってどう学んでいけばいいの?
                      ~若手教員 中村悠人先生に聞く~

検索キーワードを見ると
 「刑法 学習方法」
 「刑法 好き」

などでこの記事にたどり着いているようですので、東経大の現代法学部生だけではなく、法学を学んでいる学生さんに広く閲覧されているのかなぁと思います。

今回は、「行政法」について、この春に着任された金﨑剛志先生に質問してみました。金崎先生には昨日お願いしたばかりなのですが、昨日のうちに書き上げてくれました。助かりました。あの【おっとり】とした話し方から想像もできない【仕事のはやさ】にびっくりです。また、小学生のころ国会中継が大好きだったとか、話しているといろいろ「不思議」な先生です。

ではどうぞ。

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2014.12 「ゼミ研究報告会」にお手伝いに来てくれました。

Q1:「行政法」とは一言でいうと、どのような法律ですか?
 行政法とは何かというのは、一言でいえば行政に関わる法律ということになります。
 刑法には刑法という名前の法律があり民法には民法という名前の法律があります。これに対し、行政法には行政法という名前の法律がありません。

 行政というのは、市役所や都庁、あるいは国の省庁で日々行われている活動です。生活に困っている人がいれば生活保護を与える。道路上に自転車が放置されていては危険なので、放置自転車を撤去し、持ち主がとりにくるまで保管する。家庭ゴミを放置していては生活環境が悪くなってしまうので、ゴミを回収して処分する。実は、こうした活動はすべて行政が行っている。この行政に関わる様々な法律を、行政法と呼んでいるわけです。

2:「行政法」を理解するために必要なことは何ですか?
 行政法というのは、Q1で説明した通り、様々な法律をとらえて行政法と呼んでいます。したがって、他の法律科目と比べても、とてもマイナーな法律を扱うことが多いということになります。しかも、それぞれの法律の書き方も複雑で、難しい言葉が用いられていることが多い。ここで、多くの人がつまずいてしまうということになります。

 このように、一見するととても複雑で条文を読むことすら断念してしまいそうな行政法ですが、条文を一つ一つ丁寧に読むということに慣れるということが行政法の理解には必要です。条文を一つ一つ丁寧に読むというのも難しいことのように思われます。日常の行政を行う職員の立場に立って、あるいは行政サービスを受ける一般国民の立場に立って、われわれに身近な行政はどうあるべきか、ということを考えながら辛抱強く法律に向き合うということも必要です。

3:「行政法」の効率の良い勉強方法を教えてください。
 Q2で説明しましたように、行政法が難しいように思われるのは、法律の条文が読みづらいというのが一つの原因です。しかし、なぜそれぞれの法律が必要なのか、ということを理解できれば、だんだんと条文を読むことに慣れてきます。

 例えば、情報公開法は、行政で行われていることを国民が知るということによって、国民が行政について理解したり批判したりするということができるようにする。このことによって、行政が公正かつ民主的に行われる。情報公開というのはそのためにある制度です。だとするならば、情報の開示によって行政の公正を妨げるようなことがあれば、それは法律の本来の目的と違うということが分かる。だから、法律は開示しない情報というのも定めている。そのことを理解すれば、法律がいくつかの情報について開示しないこととしている条文も読みやすくなるといったことです

 その法律がなぜ必要なのかという根本を理解することが、行政法を効率的に学習するコツであると思います。

4:先生はなぜ大学の教員になったのですか?先生が行政法の教員になった「きっかけ」があれば教えてください。
 私は、もともと法律の制定ということに関心がありました。行政法もそうですが、世の中のありとあらゆることは法律が定めています。森には森林法があり、川には河川法がある。道には道路法がある。海には海洋基本法があり、空には大気汚染防止法といった大気に関わる法律がある。そういった法律の制定に関わることができたら面白いな、というのがはじめにありました。そういった法律の制定に関わるというのは、国会議員や国家公務員ということになります。国会議員などもちろんなれませんから、国家公務員を目指そうかということになる。しかし、国家公務員というのは自分の判断でできる活動というのが非常に限られている。それは窮屈だろうなと思いました。

 次に考えたのが、法律実務家です。弁護士、検察官、裁判官ですね。ロースクールというところに行って司法試験も受験しました。実は、法律実務家には、全く興味がなかったわけではありませんが、それほど興味もありませんでした。それは、法律実務家というのは当然のことながら現行法を運用するというのが仕事になるわけです。したがって、かりに悪法であったとしても、法律に忠実でなければならない。そういった活動の制約が存在する。その制約の範囲内で自分のやりたいことをやるというのも、一つの面白さ、あるいは法律家の腕の見せ所かもしれませんが。

 現行法の枠組みにとらわれないで、もう少し自由に考えたり発言したりすることのできることは無いか、そこで法律学者というところに行き着きました。

 ロースクールで最初に受けたゼミが、行政法のゼミでした。ゼミの先生の考え方に魅力を感じたというのが行政法を専攻しようと思った要因の一つです。それから、最初に説明したことですが、世の中のありとあらゆることが法律に定められているということが、法律を扱う仕事に就こうとしたきっかけです。世の中のありとあらゆることを定めている法律の多くが、実は行政法です。これが、行政法を専攻しようとした二つ目の要因です。

5:先生が今研究していることを教えてください。
 私がいま研究しているのは、地方公共団体に対する国の関与です。

 関与というのは聞き慣れないものかもしれません。例えば、海を埋め立ててテーマパークを作りたい事業者がいる。しかし、勝手に埋め立ててもらっては困るわけです。生態系が破壊される、お魚が捕れなくなるといったことを考えれば分かると思います。そこで、法律上、海を埋め立てるときには知事の免許を受けなければならない。知事がこの免許を行う際に、国土交通大臣の認可が必要な場合がある。この場合の、知事が活動する際の国土交通大臣の認可が、関与であるということになります。

 そもそも、なぜ知事が埋め立ての免許を行うということになっているかといえば、防災や環境といった観点から埋め立ての是非を判断することができるのが知事だからです。だとすると、国がそれに関与するということの意味は何なのか、というのがずっと考えているテーマです。

 このテーマは、法律の分野でいえば地方自治法ということになります。このテーマに至ったきっかけというのは、大学院の時の指導教員の影響が大きかったと思います。その先生は、行政法の教科書ばかりではなく地方自治法の教科書も書いていますから。

5:休日は何をしていますか?
 休日は、読書をしていることが多いです。

 どのような本を読むかというと、本屋で目についた本は何でも読んでいます。職業柄といいますか、社会に関するものが多いです。さいきん読んだ本で面白かったのは、増田寛也さんの『地方消滅』という本です。日本の人口がどんどん減っていってしまうというテーマで、とても有名な新書だと思います。

 しかし、それ以外の本でも面白そうだなと思ったものは何でも読んでいます。例えば、さいきん読んだ本だと、山根明弘さんの『ねこの秘密』です。これは、猫と人の関わりとか、猫と一生がどういうふうになっているかなどをテーマにしている新書です。猫のかわいい写真も載せられています。その他に小説も読みます。小説で一番好きなのは夏目漱石の『道草』です。漱石の小説は、人間に対する観察がとても鋭くて面白いと思います。

Q6:広島に観光に行くとしたらどこがおススメですか?


 私の実家は、広島の東の端っこの福山市というところにあります。その福山市から近いところでいえば、まず挙げておきたいのが鞆の浦です。鞆の浦には、港町としてとても古い歴史があります。ジブリの映画『崖の上のポニョ』の舞台になったことでも有名です。鞆の浦を埋め立てて県道バイパスを作るという問題で訴訟になったことで、環境法的にも有名です。ちなみに、訴訟になったことで埋め立ては見送られています。


 それから、福山市のとなりに尾道市というところがあります。ここも海の眺めのきれいな町で、おすすめしたいと思います。福山からは電車で20分程度の距離です。古いお寺が多く、一日中観て回ることができます。ここも多く小説や映画の舞台になっています。

Q7:東経大現代法学部の学生はどうですか?最後に何か一言お願いします。
 とても素直な学生が多いと思います、というのが着任してからいままで授業をしてみての感想。
 
 素直なことは良いことですが、いろいろ疑ってみるということも、大学の授業では必要です。授業で先生が行った説明など、なるほどとそのまま受け入れるのではなく、何か納得のいかないことが無いかということをよく考えてみてください。その問題を発見する力というのは、大学を卒業してから役立つと思います。


 それから、答えをすぐに求めるのではなく、答えに至る過程を大切にしてください。なぜその答えに至るのかという根拠をよく考えてみるということです。逆にいえば、根拠の無い答えを簡単に受け入れないことです。特に法律の世界はそうですが、物事には必ず根拠が存在します。重要なのは適法か違法かといった結論の部分ではなく、なぜそのような結論になるのかという理屈の部分です。大学の授業では、その理屈の部分を説得的に自分の言葉で表現することができるかどうかが問われます。

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金崎先生ありがとうございました。

いかがでしたか?

難しい条文も、その立場に立って、なぜ必要なのか考えながら読めばだんだん慣れてくる、とのことです。また、先生はゼミの先生との出会いが最終的な進路に結びついたようです。皆さんにも、教員に限らず、同級生、先輩後輩、職員、カウンセラーなど、東経大でそんな出会いがあるといいなぁと思います。

金崎先生は実務家を目指した際に、新司法試験にも合格されていますので、行政法に関心がある学生だけでなく、将来実務家を目指している学生さんもぜひ金崎先生に相談してみてください。

ではまた次回!

2014年7月4日金曜日

今年もやってます!「模擬法廷」で裁判を体験~授業「裁判傍聴演習」~

2014.7.4 授業「裁判傍聴演習」


皆さんこんにちは。

6月も終わり、なんと、2014年の半分が終了しました。
2014年上半期はどうでしたか?「何もしなかった!」なんて人もいるのでは。

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「何もしなかった」という1,2年生のみなさんにちょっと宣伝。

今年の夏に、「1DAY インターンシップ(企業見学会)」を開催します。現法さんは担当ではないのでちょっとよくわかりませんが、学務課とキャリアセンターで企画しているようです。説明会が7月7日(月)昼休み@F309で開催されますので、これから就職について考えていく「とりかかり」として参加してみてはいかがでしょうか。詳細は、TKUポータルの6月29日「お知らせ」で確認してください。

「何もしなかった」という全学年のみなさんにちょっと宣伝。

まだポータルで案内が出ていませんが、夏休み中に2回「震災ボランティア」が行われます。既に今年度2回行われましたので、3回目、4回目です。

【東経大ホームページへ】東日本大震災被災地へのボランティア取り組み

今のところ、8月27日(水)~29日(金)、9月10日(水)~12日(金)の予定です。会議で承認され次第、TKUポータルに掲出しますので、「被災地復興に少しでも役に立てたら」と思う人はぜひ参加してみてください。現法さんは何度も参加していますが、被災地はまだまだ人手を必要としていると感じます。今回もどちらかの日程に参加する予定です。一緒に活動しましょう。

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さて、今日の話題は「模擬裁判」です。

卒業生の方でブログを読んでくださっている人は「懐かしい~」と思うのでは。
模擬法廷を行う「裁判傍聴演習」は開設当初からある科目です。2年生の1期に履修します。

「裁判傍聴演習」は、3人の先生と、宮本先生(元現法教員、弁護士)で担当しています。
今年度の担当は加藤一彦先生、村千鶴子先生、中村悠人先生です。

4月は、加藤先生が裁判制度全体について講義を行います。5月・6月前半に、村先生が民事裁判について、中村先生が刑事裁判について講義を行い、6月末~7月上旬に「模擬裁判」が行われます。

模擬裁判は「キャスト」と呼ばれる学生がステージ上の裁判傍聴セットを使って行います。聴講している学生は「裁判体」と呼ばれるグループを作り議論を行います。


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今年のキャストのみなさんを紹介します。知った顔が多くてビックリ。
事件は、恒例の「ベガス」事件です。


検察側

裁判官 裁判長は今年は橋本君でした。

裁判員

弁護側

被告役

最終陳述が終わると、中村先生から各自で判決を考えるよう指示がありました。


六法を開きながら自分で考えます。

その後、中村先生から、情状酌量や執行猶予に解説が行われました。「これは1年生の刑事法基礎でもやりましたが」とおっしゃっていましたが、実際に裁判を行いながら考えることで、より分かりやすくなったと思います。



つづいて、各裁判体でそれぞれ判決を出すように指示がありました。




 


ここでなんとカメラの充電切れ。残念。

以上、授業リポートでした。
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模擬法廷を使っての授業は今日で終わりましたが、履修生のみなさんには、これから「本番」が待っています。
 
ジャーン

 もう生協で購入しましたか?今年は黄緑色です。
 
夏休み中に、実際に裁判所へ行き裁判を傍聴し、それを「記録帳」にまとめます。授業で学習したことが役に立つ瞬間です。
 
 
びっしり埋めてくださいね。
書き出しは字下げすることを忘れずに。

これを10月初旬に提出して授業が終わります。あとは成績発表を待つのみ。
 「裁判傍聴演習」は第1期の授業ですが、成績発表は第2期になります。

記録帳の返却を希望する人は、裏面に切手を張って、住所氏名を記入しておいてください。

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今回は授業の紹介でした。いかがでしたか?

実はこの科目、新カリキュラムでは廃止する予定でした。先生方の労力が大変だということや、各教員がそれぞれ裁判に連れて行けばよいという意見が出たためです。
しかし議論を深めていく中で
「やっぱりこの科目は現法ならではの科目で重要だ」
ということになり、継続が決定しました。

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7月は試験がありますが、体調を崩さないようにしてくださいね。この1カ月を乗り切れば、楽しい夏休みが始まりますよ。

ではまた次回!

2014年4月23日水曜日

法化社会における人材育成      ~現代法学部15年目の改革~

 

初代学部長 利谷信義 先生
 
 皆さんこんにちは。

新学期が始まり2週間目を迎えています。学内もバタバタしていた空気から、少しずつ落ち着きを取り戻し始めています。
 
現代法学部が2000年4月に「法化社会における人材の育成」を教育目標に掲げ創設され、今年で丸14年、15回目の春を迎えました。これまでに約2,500名の学生を社会に送り出しました。学部長も何代か変わりました。この春から第5代学部長として、礒野弥生先生が就任されました。

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初代学部長 利谷信義先生(20004月~)
第2代学部長 島田和夫先生20024月~)
第3代学部長 宮﨑良夫先生(20064月~)
第4代学部長 大出良知先生20104月~)
第5代学部長 礒野弥生先生20144月~)
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2015カリキュラム改革で行うアクティブラーニング型授業
社会・法学入門(真ん中が礒野先生)
 
礒野新学部長は、現代法学部創設時には島田先生と一緒に、中心となってカリキュラムを設計されたそうです。「現代法学部開設10周年記念講演会」で利谷先生がそのように振り返っています。
 
--(利谷先生講演より)-------------------------
…カリキュラムの原案の作成は、島田和夫教授と礒野弥生教授が中心となり、関係教職員の総力により、その作業はしばしば深更に及んだのです。先ほど島田さんが「当時の職員の方々にご苦労をかけた」と言われましたが、本当に頭の下がる思いでした。
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利谷先生によると、現在のカリキュラムの特徴は[教育目標の達成のために精選された科目群を、効率的な段階学習ができるように]配列されているところです。
 

カリキュラム表について、利谷先生は更に詳しく説明を述べられています。みなさん、カリキュラム表を思い出しながら読んでくださいね。

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①先ず、総合教育科目とコア科目中の導入科目により、現代的な課題への関心を喚起します。喚起といっても相手のあることですが、喚起しようと先生方が頑張っておられたのです。

 
 
②次に憲法・民法・刑法などの基本科目において、法律に関する基礎学力を養成し、その上で展開科目に進みます。将来の進路に即して、行政法群と企業法群のいずれかを選択するのです。

 
③さらに現代的課題について、現実に即した解決手法を修得するためにコア科目を学習します。これは先ほど申しましたように、環境法群・消費者法群・福祉法群のいずれかを選択しますが、他に及んでも差し支えありません。

④以上と併行し、基礎科目において外国語とコンピュータ技術を修得して情報収集力を開発し、さらに法社会学や法史などの基礎法学および経済学・政治学など隣接諸科学の学習によって幅広い視野を養ってもらいます。

 
⑤学習は、その方法の特色として少人数による双方的な学習を基本とし、現実対応能力の育成を目指しました。したがって演習形式が重視されています。また、特色ある学習として、以下のものがあります。 
 

⑥先ず、入学期学習です。入学期には、学生の多様化に伴い高校と大学を繫ぐ導入教育が重要です。「リーガルリテラシー入門」と「文献講読」がこれに対処します。両者とも、単なるユニバーシティスキル、アカデミックスキルに止まらないで、積極的な法識字を身につけてもらう。法の読み書きだけでなく使いこなす、受身じゃなくて積極的な態度を身につけてもらいたいと思ったのです。
 

⑦それから体験学習です。裁判傍聴演習では司法の実情に触れてもらいます。さらに、オフキャンパスワークショップによって、実務の一端に触れる機会を得てもらうのです。


裁判傍聴演習 ロールプレイ
(現4年生の、2年生の時)

 
 
⑧ さらに問題対応学習としてのプロブレムスタディにおいて、現代的課題に対する総合分析・問題発見・解決・提案をする能力を養成するのです。



 
⑨以上を総括してみると、教育目標の明確化と体系的具体化において一貫性が認められるでありましょう。現代法学部のカリキュラムは、新大学設置基準が求める教育目的達成に必要な授業科目による、体系的教育課程の編成という基準をクリアしたのではないかと思います。
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始まりはこのようなカリキュラムでした。
 しかしカリキュラムは常に時代の変化に即応して、生成発展すべきものです。

この後、更にキャリア教育の重視に伴い、キャリア系科目が設置されました。また、資格を目指す学生への支援として、「法プロフェッショナルプログラム」がまず設置され、続いて「ビジネス法プログラム」「国際学プログラム」が設置されました。


 
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  これから社会はどんどんスピードを増して変化するでしょう。現代的課題の解決能力はますます必要となり、解決するだけではなく、改善、改革していく人材も必要とされています。

 来年2015年、現代法学部は時代の変化に応えるべく更なるカリキュラム改革を行います。今回の改革は、創設時に1教員として初代カリキュラム設計に携わった礒野先生が、今度は学部長として取り組まれています。2015年度の現代法学部カリキュラムはどのようになるでしょうか。今大学であれやこれやと最終的な調整を行っています。結構大変な作業です。決定したら、また礒野先生にインタビューしてみようと思います。

 みなさんもぜひ、「現代法学部開設10周年記念講演会」の利谷先生の講演を読んで、現代法学部の名前の 由来等知ってください。
【現代法学部開設10周年記念講演会へ】法化社会における人材育成―現代法学部の10年―利谷信義先生

 さらに、10周年パンフレットを見て、現代法学部の15年間に想いを巡らせつつ、2015年カリキュラムをお待ちください。(先ほど島田先生に「パンフレットの写真若いですね」と言ったら 「今と変わらないだろ!」と怒られました)
 
 

 ではまた次回!