2015年6月29日月曜日

【学問のミカタ】ちょっと借りよう!
~とある雨の日の、傘事件~

20150627 夕焼け

皆さんこんにちは。

今日は【学問のミカタ】シリーズです。テーマは「梅雨」。

【 学問のミカタ:テーマ『梅雨』】

「法学部」で「梅雨」ってどんな記事になるのかな?と楽しみにしていたところ、中村 悠人先生が、雨の日に起こりそうな、「傘」にまつわるとある事件を想定して記事を書いてくださいました。ではどうぞ!

【過去の記事へ】「刑法」ってどう学んでいけばいいの?~若手教員中村 悠人先生に聞く~

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刑事法基礎2014

梅雨。雨がしとしと、時にはざあざあと降り、天気もさえない五月雨の季節である。

室内から眺める雨は好きだけれど、雨の中外に出るのは億劫だ、そんな人もいるだろう。ちょっとコンビニまで行くくらいだから大丈夫だろうとたかを括っていると、雨に降られた経験をした人はいるだろうか。もしくは、きちんと傘を持って出かけたのに、傘立てに置いていた傘が誰かに持って行かれた、こんな経験をした人もいるかもしれない。
今回は、こんな梅雨の時期に起こりそうな事例から、法学(特に刑法)に触れていきたい。


Hさんは10年来の友人Kさんと映画を見に行こうと約束し、Kさんの家に11時に集合することにした。ところが、Kさんは病気で倒れたバイト仲間の代わりで仕事をすることになった。Hさんが11時にKさんの家に着いたとき、「ごめん!!急なバイトで遅れる。1230分には家に帰れると思う。」とメールが来た。Hさんは、仕方なく近くの喫茶店で時間をつぶすことにした。けれども、喫茶店に向かおうとしたら、雨が降り出してしまった。傘を忘れたHさんが、さてどうするかと考えていると、Kさんの玄関前の傘立てに傘が置いてあるのを見つけた。Hさんは、「今バイト中だろうし、いちいち言わないでも貸してくれるだろう」と考え、Kさんに無断で傘を持ち出し、喫茶店に向かった。

このHさんは、実際にKさんに傘を貸してくれと頼み、OKをもらっているわけではない。それでは、このような無断での傘の持ち出しは、窃盗罪になってしまうのであろうか。これを考えるために、まず、実際に本人に断りを入れて同意を得ていた場合を考えてみよう。

HさんがKさんから傘を使用する同意を得ていた場合、一般にはHさんがKさんの傘を利用しても窃盗罪にはならないとされている。何故なら、窃盗罪が成立するには、持ち主(占有者)の意思に反して、財物に対するその占有を排除し、その財物を自己の占有下に移すという「窃取」行為がなければならないとされるからである。同意を得ている場合、占有者の意思に反してはいないので、そもそも「窃取」ではないとされるのである。

 この①の事例では、現実に相手Kさんの同意を得ていないので、「窃取」には当てはまってしまいそうである。では窃盗罪であろうか?ところが、HさんとKさんは10年来の友人であって、Hさんは「いちいち言わないでも貸してくれるだろう」と考えていた。つまり、Kさんが仮に事情を知っていたなら同意したであろう、という余地がある。
このように、現実には同意をしていないが、仮に被害者が事情を知っていたなら、同意をしただろうという場合には、犯罪が成立しないことがある。これを推定的同意という。(一般には正当化事由とされる)

 この推定的同意は、他にも、救急患者として病院に担ぎ込まれた交通事故の被害者が意識を失っていたが、生命を救うために応急措置として手を切断する必要があった場合のときも問題となる。

 ところで、①ではHさんとKさんの関係から、推定的同意が認められそうだが、これが認められなかった場合には、やはり窃盗罪になってしまうのかHさんはKさんの傘を借りたわけであって、自分の物にしようとしわたけではない。これを、次の②の事例とあわせて考えてみよう。

Aさんは雨の中コンビニにお菓子を買いに来た。お目当てのお菓子を見つけてほくほく顔で帰ろうとすると、傘立てに置いた傘がない。Aさんがコンビニに入ってすぐ後に、傘を忘れたTさんがその傘を借りて自宅まで帰ってしまったのであった。Tさんは10分後に、自分の傘をさしてAさんの傘をコンビニの傘立てに返しに来た。しょんぼりしながら、傘を新しく買うか買うまいか悩んでいたAさんは、傘立てに自分の傘を見つけ、無事に帰宅した。

 この事例のTさんは、他人の傘を一時的に借りて、自身の傘をとりに行き、その後すぐに傘を返している。そのため、TさんにはAさんの傘を自分の物にするつもりはなく、あくまで一時的に(勝手に)使わせてもらったというわけである。
このような無断の一時使用の場合、窃盗罪の成立が否定されることがある。一般に、窃盗罪が成立するには、他人の占有する財物を奪う(そしてそのことを分かっている)だけでは足りず、他人の所有物を勝手にわが物にする意思も必要とされている(これを不法領得の意思と言う)。

 この不法領得の意思は、一般に、権利者を排除して他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従いこれを利用もしくは処分する意思とされている。後で返還するつもりで傘を一時的に無断で借りる場合は、あくまで借りただけであり、権利者を排除して自分のものにする意思はないとされるのである。
そのため、①のHも②のTも、この不法領得の意思が認められず、窃盗罪にはならないと言えそうである。

 ところで、どんなものでも「一時的に借りただけだから」として窃盗罪が否定されるわけではない。裁判例では、娯楽等の目的で他人の自動車を4時間あまり乗りまわした場合や、盗品の運送に使用する目的で他人の自動車を長時間乗りまわした場合に、不法領得の意思があるとしたものがある。

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 以上、梅雨の季節にちなんで、身近に起こり得る問題を扱ってみた。自分の周りに目を向けただけでも、法に関わる出来事はあふれている。現代法学ブログでも、この記事でボクシングが例に挙げられていた。皆さんも、ぜひ様々なことから法学に触れていただきたい。

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いかがでしたか?なんだか身近にありそうな事例ですね。身近な事例から、法について考える「現代法学部」ならではの記事になりました、中村先生ありがとうございました。

読んでみて「こんな場合は?」「こんな主張も出来るのでは!!」なんて思った皆さんは、ぜひ中村先生を訪ねてみてください。

ではまた次回!


2015年6月23日火曜日

皆さんおめでとうございます
~笑顔いっぱいの成績優秀者表彰式~

2015.6.17 成績優秀者表彰式

みなさんこんにちは。

梅雨真っ只中、天気が不安定ですね。折り畳み傘を持って大学に来るのがおススメです。

さて、そんなジメッとした時期に毎年開催される、「成績優秀者表彰式」。表彰式は笑顔がいっぱいです。いいですね。

【東経大ホームページへ】「学業成績優秀者表彰式」実施。現代法学部からは40名が受賞!

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今年は、6月17日(水)のお昼休みに開催し、2年生21名、3年生19名を表彰しました。先生方もほとんど出席され、皆さん楽しそうに、会話に花を咲かせていました。

今年のお弁当はこれ。

「今年はおかずが多い!去年はご飯が多かったですよね~」

とのことでしたが、そんなに変わらないかな。ご飯を混ぜご飯にしたからカラフルですかね。実は「人参をお花の形に切ってもらう」とか、そんなちっちゃなことも業者さんに要望しています。

今年の特徴としては、ゼミごとに集合写真を撮っているゼミが見られました。去年は島田ゼミだけでした。看板を大きくしたからかな。

橋爪ゼミが始めたところ、
西下ゼミ
桜井ゼミ
藤原ゼミ と続きました。

「順位が知りたい!」そんなことも聞かれました。

順位ですか、表彰されただけでも十分すごいと思いますが、どうしても知りたいなら、「何番目に名前が呼ばれたかなぁ」と思い出してください。上位から順番にお名前を呼んで表彰状を授与しています。






2年生のみなさん、来年度も表彰されるように頑張ってください。今年は惜しくも表彰されなかった人も、「来年こそ!」と頑張ってくださいね。

3年生のみなさん、4年生の表彰は「卒業式当日」になります。表彰人数は上限10名と決まっているので、狭き門となります。

単なる成績基準ではなく、ゼミを頑張ったか、卒論を書いたか、そんなことも基準になってきますので、頑張ってみてくださいね。1位の学生さんは「総代」として、現代法学部を代表して学長から「学位記」を授与されます。

こっちのほうが重要情報かな。副賞が2,3年次の額の「4倍」になります(笑)。

ではまた次回!


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追記

大出先生から祝辞があったことを書き忘れてました。
「なぜ選挙権が18歳に引き下げられたかを考えてください」とのことでしたね。あれ?祝辞...

2015年6月12日金曜日

働く元現代法学部生! 
~大学職員になった浅岡くん~


2015.6.11 仕事をする浅岡くん


皆さんこんにちは。

6月ですね。今年の半分が過ぎようとしています。
2015年度の授業が始まって、2ヶ月が過ぎました。みなさん頑張っていますか?

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さて、現法さんの職場に、『ニューフェイス』が配属されました。

4月から2ヶ月間管財課で研修を受け、この6月1日付で本配属された彼の名前は浅岡君。
なんと、この春卒業した皆さんの【先輩】なのです。

2年前はこんなだったのに。。。


2013 ゼミ研究報告会にて

 【過去のブログ記事へ】ゼミ研究報告会写真館【その2・・・懇親会編】

去年のクリスマスは、男2人でサイクリングをしていたのに、、、今では大学のために頑張ってます。


浅岡くん、何で大学職員になったんですか?

⇒もともと『公務員』志望で、地元で公務員になろうと思い、CSC講座を利用して勉強を進めていました。しかし、CSC、キャリアセンターのスタッフや、現代法学部の現法さんなどの仕事を見ているうちに、僕も大学職員になって学生支援を行いたいと考えるようになり、東経大の職員採用試験を受けて合格しました。


合格までの道のりは?

⇒倍率がすごいと聞いていたので、気持ち的にとても焦りました。大学時代は成績がいいほうではなかったので、この成績で大丈夫かなぁとも思いました。
 最初の筆記試験は、日ごろから公務員試験対策の勉強をしていたのでそんなに苦労はしませんでした。グループディスカッション、グループ面接、作文を経て、個人面接、役員面接があり、合格にいたりました。面接はとても緊張しました。


何で合格したと思いますか?

⇒緊張しながらも、自分の考えや思いを素直に話すことが出来たと思います。事前にOB訪問をしたり、大学のことをよく調べたりして、自分なりの「大学職員像」を描きながら面接に臨めたことが合格につながったのだと思います。


浅岡くんありがとうございました!

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浅岡君が配属された課は、学生や親御さんの学習相談に乗ったり、教授会を開催したり、先生たちと来年度の授業を決めたり、カリキュラム改革を行ったり・・・、と、大学内でも評判の忙しい部署です。

先ずはカリキュラムを覚え、教員の顔を覚え、システムを覚え・・・とやらなきゃいけないことは目白押しで、とても苦労すると思いますが、「現代法学部生はこんなに頑張れるんだ!」というところを見せてくださいね。今日は「教務委員会」デビューですが頑張ってください。

ちなみに現代法学部出身の職員は、現在2名です。

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6月2日から、大学のHPに「職員募集のお知らせ」が配信されていますので興味のある人はぜひ見てみてください。新卒・既卒ともに採用があるようです。

【大学ホームページへ】教職員募集のお知らせ

この春卒業した現法生の顔が浮かんできます・・・みんな元気に頑張っているかな?たまには大学に顔を出してくださいね。先生方も現法さんも楽しみにしています~

ではまた次回!

2015年5月27日水曜日

「行政法」ってどう学んでいけばいいの?
~若手教員 金崎剛志先生に聞く~

2015.5.20  現代法学部 金崎先生歓迎会

皆さんこんにちは。

毎日本当に暑いですね、5月とは思えない!朝、大学まで来る道のりがつらいです。
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さて、今日は少しブログのお話から。

「現代法学ブログ」は今回の記事で68本目となりますが、この1年のあいだ常に閲覧数がトップ10に入る、隠れた人気記事があります。それは、この記事です。

【過去のブログ記事へ】「刑法」ってどう学んでいけばいいの?
                      ~若手教員 中村悠人先生に聞く~

検索キーワードを見ると
 「刑法 学習方法」
 「刑法 好き」

などでこの記事にたどり着いているようですので、東経大の現代法学部生だけではなく、法学を学んでいる学生さんに広く閲覧されているのかなぁと思います。

今回は、「行政法」について、この春に着任された金﨑剛志先生に質問してみました。金崎先生には昨日お願いしたばかりなのですが、昨日のうちに書き上げてくれました。助かりました。あの【おっとり】とした話し方から想像もできない【仕事のはやさ】にびっくりです。また、小学生のころ国会中継が大好きだったとか、話しているといろいろ「不思議」な先生です。

ではどうぞ。

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2014.12 「ゼミ研究報告会」にお手伝いに来てくれました。

Q1:「行政法」とは一言でいうと、どのような法律ですか?
 行政法とは何かというのは、一言でいえば行政に関わる法律ということになります。
 刑法には刑法という名前の法律があり民法には民法という名前の法律があります。これに対し、行政法には行政法という名前の法律がありません。

 行政というのは、市役所や都庁、あるいは国の省庁で日々行われている活動です。生活に困っている人がいれば生活保護を与える。道路上に自転車が放置されていては危険なので、放置自転車を撤去し、持ち主がとりにくるまで保管する。家庭ゴミを放置していては生活環境が悪くなってしまうので、ゴミを回収して処分する。実は、こうした活動はすべて行政が行っている。この行政に関わる様々な法律を、行政法と呼んでいるわけです。

2:「行政法」を理解するために必要なことは何ですか?
 行政法というのは、Q1で説明した通り、様々な法律をとらえて行政法と呼んでいます。したがって、他の法律科目と比べても、とてもマイナーな法律を扱うことが多いということになります。しかも、それぞれの法律の書き方も複雑で、難しい言葉が用いられていることが多い。ここで、多くの人がつまずいてしまうということになります。

 このように、一見するととても複雑で条文を読むことすら断念してしまいそうな行政法ですが、条文を一つ一つ丁寧に読むということに慣れるということが行政法の理解には必要です。条文を一つ一つ丁寧に読むというのも難しいことのように思われます。日常の行政を行う職員の立場に立って、あるいは行政サービスを受ける一般国民の立場に立って、われわれに身近な行政はどうあるべきか、ということを考えながら辛抱強く法律に向き合うということも必要です。

3:「行政法」の効率の良い勉強方法を教えてください。
 Q2で説明しましたように、行政法が難しいように思われるのは、法律の条文が読みづらいというのが一つの原因です。しかし、なぜそれぞれの法律が必要なのか、ということを理解できれば、だんだんと条文を読むことに慣れてきます。

 例えば、情報公開法は、行政で行われていることを国民が知るということによって、国民が行政について理解したり批判したりするということができるようにする。このことによって、行政が公正かつ民主的に行われる。情報公開というのはそのためにある制度です。だとするならば、情報の開示によって行政の公正を妨げるようなことがあれば、それは法律の本来の目的と違うということが分かる。だから、法律は開示しない情報というのも定めている。そのことを理解すれば、法律がいくつかの情報について開示しないこととしている条文も読みやすくなるといったことです

 その法律がなぜ必要なのかという根本を理解することが、行政法を効率的に学習するコツであると思います。

4:先生はなぜ大学の教員になったのですか?先生が行政法の教員になった「きっかけ」があれば教えてください。
 私は、もともと法律の制定ということに関心がありました。行政法もそうですが、世の中のありとあらゆることは法律が定めています。森には森林法があり、川には河川法がある。道には道路法がある。海には海洋基本法があり、空には大気汚染防止法といった大気に関わる法律がある。そういった法律の制定に関わることができたら面白いな、というのがはじめにありました。そういった法律の制定に関わるというのは、国会議員や国家公務員ということになります。国会議員などもちろんなれませんから、国家公務員を目指そうかということになる。しかし、国家公務員というのは自分の判断でできる活動というのが非常に限られている。それは窮屈だろうなと思いました。

 次に考えたのが、法律実務家です。弁護士、検察官、裁判官ですね。ロースクールというところに行って司法試験も受験しました。実は、法律実務家には、全く興味がなかったわけではありませんが、それほど興味もありませんでした。それは、法律実務家というのは当然のことながら現行法を運用するというのが仕事になるわけです。したがって、かりに悪法であったとしても、法律に忠実でなければならない。そういった活動の制約が存在する。その制約の範囲内で自分のやりたいことをやるというのも、一つの面白さ、あるいは法律家の腕の見せ所かもしれませんが。

 現行法の枠組みにとらわれないで、もう少し自由に考えたり発言したりすることのできることは無いか、そこで法律学者というところに行き着きました。

 ロースクールで最初に受けたゼミが、行政法のゼミでした。ゼミの先生の考え方に魅力を感じたというのが行政法を専攻しようと思った要因の一つです。それから、最初に説明したことですが、世の中のありとあらゆることが法律に定められているということが、法律を扱う仕事に就こうとしたきっかけです。世の中のありとあらゆることを定めている法律の多くが、実は行政法です。これが、行政法を専攻しようとした二つ目の要因です。

5:先生が今研究していることを教えてください。
 私がいま研究しているのは、地方公共団体に対する国の関与です。

 関与というのは聞き慣れないものかもしれません。例えば、海を埋め立ててテーマパークを作りたい事業者がいる。しかし、勝手に埋め立ててもらっては困るわけです。生態系が破壊される、お魚が捕れなくなるといったことを考えれば分かると思います。そこで、法律上、海を埋め立てるときには知事の免許を受けなければならない。知事がこの免許を行う際に、国土交通大臣の認可が必要な場合がある。この場合の、知事が活動する際の国土交通大臣の認可が、関与であるということになります。

 そもそも、なぜ知事が埋め立ての免許を行うということになっているかといえば、防災や環境といった観点から埋め立ての是非を判断することができるのが知事だからです。だとすると、国がそれに関与するということの意味は何なのか、というのがずっと考えているテーマです。

 このテーマは、法律の分野でいえば地方自治法ということになります。このテーマに至ったきっかけというのは、大学院の時の指導教員の影響が大きかったと思います。その先生は、行政法の教科書ばかりではなく地方自治法の教科書も書いていますから。

5:休日は何をしていますか?
 休日は、読書をしていることが多いです。

 どのような本を読むかというと、本屋で目についた本は何でも読んでいます。職業柄といいますか、社会に関するものが多いです。さいきん読んだ本で面白かったのは、増田寛也さんの『地方消滅』という本です。日本の人口がどんどん減っていってしまうというテーマで、とても有名な新書だと思います。

 しかし、それ以外の本でも面白そうだなと思ったものは何でも読んでいます。例えば、さいきん読んだ本だと、山根明弘さんの『ねこの秘密』です。これは、猫と人の関わりとか、猫と一生がどういうふうになっているかなどをテーマにしている新書です。猫のかわいい写真も載せられています。その他に小説も読みます。小説で一番好きなのは夏目漱石の『道草』です。漱石の小説は、人間に対する観察がとても鋭くて面白いと思います。

Q6:広島に観光に行くとしたらどこがおススメですか?


 私の実家は、広島の東の端っこの福山市というところにあります。その福山市から近いところでいえば、まず挙げておきたいのが鞆の浦です。鞆の浦には、港町としてとても古い歴史があります。ジブリの映画『崖の上のポニョ』の舞台になったことでも有名です。鞆の浦を埋め立てて県道バイパスを作るという問題で訴訟になったことで、環境法的にも有名です。ちなみに、訴訟になったことで埋め立ては見送られています。


 それから、福山市のとなりに尾道市というところがあります。ここも海の眺めのきれいな町で、おすすめしたいと思います。福山からは電車で20分程度の距離です。古いお寺が多く、一日中観て回ることができます。ここも多く小説や映画の舞台になっています。

Q7:東経大現代法学部の学生はどうですか?最後に何か一言お願いします。
 とても素直な学生が多いと思います、というのが着任してからいままで授業をしてみての感想。
 
 素直なことは良いことですが、いろいろ疑ってみるということも、大学の授業では必要です。授業で先生が行った説明など、なるほどとそのまま受け入れるのではなく、何か納得のいかないことが無いかということをよく考えてみてください。その問題を発見する力というのは、大学を卒業してから役立つと思います。


 それから、答えをすぐに求めるのではなく、答えに至る過程を大切にしてください。なぜその答えに至るのかという根拠をよく考えてみるということです。逆にいえば、根拠の無い答えを簡単に受け入れないことです。特に法律の世界はそうですが、物事には必ず根拠が存在します。重要なのは適法か違法かといった結論の部分ではなく、なぜそのような結論になるのかという理屈の部分です。大学の授業では、その理屈の部分を説得的に自分の言葉で表現することができるかどうかが問われます。

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金崎先生ありがとうございました。

いかがでしたか?

難しい条文も、その立場に立って、なぜ必要なのか考えながら読めばだんだん慣れてくる、とのことです。また、先生はゼミの先生との出会いが最終的な進路に結びついたようです。皆さんにも、教員に限らず、同級生、先輩後輩、職員、カウンセラーなど、東経大でそんな出会いがあるといいなぁと思います。

金崎先生は実務家を目指した際に、新司法試験にも合格されていますので、行政法に関心がある学生だけでなく、将来実務家を目指している学生さんもぜひ金崎先生に相談してみてください。

ではまた次回!

2015年5月18日月曜日

【学問のミカタ】「スポーツが好きだから、現代法学部」だって、いいじゃない!

久保 健助ゼミ ゼミ合宿

皆さんこんにちは。

今日は【学問のミカタ】シリーズです。今回から全学共通教育センター所属の先生も参加です。

(※全学共通教育センターというのは、語学、コンピュータ、スポーツ科目や、教養科目の授業を担当する先生方が所属するグループです。)

【 学問のミカタ:テーマ『スポーツ』】

現代法学部は、久保健助先生が寄稿してくださいました。
テーマは【スポーツ】。

前回の記事と偶然にも!?コラボしました。
ではどうぞ~!

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 先日、両国の江戸東京博物館に「大関ヶ原展」を見に行ってきました。こんな渋い企画に人が集まるんだろうか?と余計な心配をしながら現地に向かいました。しかし、到着してビックリ仰天。昼過ぎの入場券売り場前にざっと見ただけでも1000人近くの老若男女が並んでいるのでした。戦国時代を扱ったアニメの影響もあって、若い人たちの間でもかなりの戦国ブームなんだそうですね。

 中学・高校での日本史の授業とはひと味違うアニメの魅力がこれだけの若いファンを作り出したようです。「好きこそ物の上手なれ」。好きであればこそ、飽きずに(あるいは楽しみながら)努力するから、ついにはその道での上達が得られるということですね。
久保ゼミ ゼミ研究報告会 2014
テーマ[外国人労働者への差別][いじめ問題について]

 さて、スポーツのお話でした。授業履修の様子から、現代法学部の学生がスポーツ方面の授業に強い関心を寄せているらしい、とこのブログで知りました。そうであれば、何となくとっつきにくい法学に、スポーツの方面からアプローチするのも大いに「あり」だなと感じました。

 以前、ある体育大学が学生募集のキャッチフレーズに「スポーツが得意でなくても、スポーツが好きだから、○○体育大学」とやったら、実技の授業に四苦八苦する「得意じゃないけどスポーツ好き」の学生が増えて一苦労した、という話を聞きました。実技の世界はちょっと別かも知れませんが、社会科学の分野では「スポーツが好きだから、現代法学部」でも少しも困らないのではないでしょうか。例えば、領土問題に興味があって国際法を学びたいと思う人があるように、また、差別問題についての関心から人権について学びたいと思う人があるように、スポーツに関わる何かしらの興味から、その分野の法的知識を学ぶ人がいてもいいでしょう。

 一例を挙げれば、先日のボクシング「世紀の一戦」パッキャオ対メイウェザーなどは、スポーツイベントを越えて、法学的興味をあれこれ刺激してくれましたよ。
 まずは、“アジアの英雄”パッキャオと“完全無欠の天才”メイウェザーに支払われるファイトマネーは計330億円だったそうです(朝日新聞デジタル広告特集WOWOWより)。いったいこのビッグビジネスをめぐって、関係者の間でどのような《契約》が結ばれていたのでしょうか。勝者と敗者の取り分は?前日に一方がお腹をこわして試合がお流れになった場合の《責任》は誰がどう取るのか?

 実際、敗者となったパッキャオが試合後に、「実は試合前に右肩を怪我していた」と告白したため、「負傷を知らされないままチケット料金や有料放送、賭け金を支払い、損害を被った」として500万ドル(約6億円)以上の《損害賠償》を求める集団《訴訟》が起こされた」そうです(201557日付毎日新聞より)。
 あるいはもっと基本的なところで、そもそも衆人環視の中で大男同士が殴り合いを続けているのに、誰も警察に通報しないのは何故なんだろうとか、今回はそれほどでもなかったようですが、相手の顔が腫れ上がるほどに殴り、ときには流血を見てさえ、《犯罪》として罰せられないのは何故なのだろう、と。

 上記の《 》で囲った言葉はいずれも、法学の世界における重要な論点に関わるものばかりです。

 大学を目指すにあたって、どの学部を選ぼうか迷っている高校生諸君、入学はしてみたものの、さていったい何を手がかりに専門とすべき方面を決めようかと思いあぐねている学生諸君。自分の《好き》をキャリアデザインに結びつけることが出来たら、こんな素晴らしいことはないと思いませんか。

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久保先生ありがとうございました。

いかがでしたか?
スポーツが好きだから、スポーツから法律にアプローチしてみる、そんなキッカケも良いですね!

久保先生は「スポーツ法学」の分野にも精通されていますので、いつか現代法学部で特別講義をやってくれないかなぁと、現法さんはひそかに期待しています。


ではまた次回! 


2015年5月15日金曜日

現法生はスポーツがお好き!?
~卒業生の単位取得動向~

2015.5.14大学風景
皆さんこんにちは。

毎日暑い日が続きますね。体調を崩していませんか?土日はゆっくり休んで、無理をしないようにしてくださいね。

5月になり、大学内は色とりどりの花々が咲いています。東経大はとても緑豊かな大学です。
仮設校舎跡地も芝生が育ってきました。

ちなみにほんの2ヶ月半前はこんな感じでした。

ガリガリガリ~ッ
2015.2.27 AM9:45
 い、、痛いっ。
2015.2.27 PM14:22
 3月初旬には、仮設校舎はなくなりました。
2015.3.5
 そして今。
2015.5.14

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さて、ちょっと調べ物をしていて、今年度卒業した11Lの学生が、どんな科目を単位修得して卒業したのか集計してみました。

その中で、ちょっと驚いたのが、現代法学部の「スポーツ科目」の単位修得者割合です。
皆さん、どのくらいの現法生がスポーツの単位を修得して卒業したと思いますか?

答えは「68%」です。100人いれば、うち68人が単位取得したことになります(当然ですが)。

他学部は、おおよそ経済学部が45%、経営学部が35%、コミ学部が42%です。面白いですね。
若者らしく体を動かし、勉強も頑張る!良いじゃないですか。


逆に、他学部と比べて単位修得していない科目はいくつかありました。そのうち一番違いがあると思ったのは「コンピュータ」科目の選択科目かな、と思います。

経営とコミは50%越え、経済も35%ですが、現法生は「13%」。学部の違いが出るものなのですね。

ではまた次回!

次回は久保 健助先生による【学問のミカタ】です!共通テーマは【スポーツ】(笑)



2015年4月30日木曜日

【学問のミカタ】 現在の選挙制度で民主主義といえるのか。 
~選挙について政治学藤原先生に聞く~



授業「国際関係論a」 藤原 修教授

皆さんこんにちは。
今日は【学問のミカタ】シリーズです。

お題は『選挙』。先週末に統一地方選がありましたね、20歳以上の学生の皆さんは、投票に行ったことと思います。タイムリーなこの話題について、各学部の観点から、記事を書きます。今回から経済学部も参加することになり、これで4学部から【学問のミカタ】を発信することになります。

【 学問のミカタ:テーマ『選挙』】


現代法学部は、過去にも選挙について記事を寄稿してくださった、藤原 修先生の登場です。

【過去のブログ記事へ】週末をつかって、ちょっと学習。『集団的自衛権』について学ぼうその1~政治学藤原先生に聞く~
【過去のブログ記事へ】「わたしたちにできることがある。」選挙に行こう~東京都知事選~

藤原先生は政治学者ですので、ずばり「選挙」について書いてくださいました。ではどうぞ。


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選挙

藤原 修
 選挙は民主主義の基本とされている。しかし、いま、選挙が問題だ。

 今月、全国各地で地方議会と首長の選挙が2回に分けて一斉に行われた。しかし、投票率は極端に低い。知事選、道府県議会選は50%を下回り、市長選、市町村議会選も同程度に低い。さらに、市長選では3割が無投票当選となり、地方議会選でも無投票のケースが相次いだ。地方選投票率は史上最低記録を更新しつつあり、無投票を含めて、地方選の空洞化が指摘されている。

 同様の問題は国政選挙でもみられる。衆議院で圧倒的多数を占める自民党も、有権者全体での得票率を見れば、50%をはるかに下回る票しか得ていない。また、各種世論調査では、政府与党が推進する原発再稼働や集団的自衛権行使をはじめとする安保法制改革は、おおむね反対が賛成を上回っているにもかかわらず、反対の声を無視して強引な政策がすすめられている。それどころか、自衛隊の海外での武力行使の機会を拡大することになる重大な安保法制改革は、前回の衆議院選挙でも主要争点に取り上げられず、今回の統一地方選でも、これに並行して国会審議を行うことを避けるというふうに、重要な争点であるがゆえにむしろ選挙で争点化することを避けるという、国民主権の原則に反する政治運営が行われている。

 要するに、選挙が機能していない。これをどう解すればよいのだろうか。どうすればよいのだろう。

 そもそも選挙は民主主義において必要不可欠なのだろうか。民主主義とは、突き詰めれば、集団の政治行動の自己決定である。平たく言えば、自分たちのことは自分たちで決める、誰か特定の人に勝手に決めさせない。だから、そもそも少数の人々を選んで、彼らに集団の意思決定を託するというのは、本来の民主主義ではない。実際、少人数のグループであれば、みんなで決めるということは日常的に行われている。しかし、これが国家規模、小さくても数百万人、大きければ数億人という単位で、「みんなで」決めるというのは実際上不可能である。加えて国家規模になると、決定すべき重要な政治案件は非常に多数に上り、また簡単には決められない複雑で専門的な事項がむしろ普通である。そこで、「みんなで決める」直接民主制に代えて、代表を選挙して彼らに決めさせる代表民主制が民主主義の一般的な制度となる

 しかし、政治の行方を最終的に決める主権者は、あくまで国民すべてであり、その国民の意思を離れては、代表民主制はあり得ない。だから、選ばれた代表が国民意思を離れた決定を行うことがないように、代表と国民をつなぎ止める工夫や制度が欠かせない。例えば、重大な案件の意思決定、特に戦争と平和に関わるような安全保障上の問題、戦争に匹敵する重大災害につながりかねない原発などは、住民投票、国民投票などの直接民主主義的手法が活用されるべきであろう。また、政治的に独立した自由なメディアの存在は、政府・議会の監視において不可欠であるし、メディアに限らず広く国民に情報を公開することも重要である。

 他方、みんなで決めたから必ず民主主義になるというものでもない。みんなが誤った情報に基づき、誤った判断をすることもある。したがって、間違った判断をしても、これをただす機会が保障されているという、やり直しのきく意思決定を工夫しなければならない。例えば、戦争や原発事故など、取り返しのつかない重大な結果をもたらしうる意思決定は、どれほど慎重であっても慎重過ぎることはない。さらに言えば、みんなで決めるという時の「みんな」とは、100年後200年後に生まれてくる子孫たちも想定されていなければならない。人間が生きていくのに必要な良好な自然環境や資源が、何百年かの後には消滅しているようなものの決め方は、世代を超えた意味で民主主義的ではないのだ。

 このように見てくると、いまの選挙は、民主主義を機能させるためではなく、むしろ、民主主義を掘り崩していくことに「民主主義」の装いを与えるだけのものに成り下がりつつあるようにも見える。では、投票すべき候補者が見あたらないといって、棄権するのがよいのであろうか。積極的に棄権するのも一つの意思表示だという人もいる。しかしそれは、正しくない。選挙という制度から離れてしまうことは、それに代わって民主主義を機能させる制度が確保されていない限り、民主主義の危機を一層深めてしまうことになるからだ。結局、月並みな結論だが、しっかりすべての選挙権は行使し、加えて、主要な政治案件を日頃から学び、判断力を養い、日常の政治監視を怠らないことが、民主主義の王道である。

来年から選挙年齢は18歳に引き下げられる見込みだ。とてもよいことだ。各世代で若者たちの投票率が一番低い。これを機会に、公共政策に関心を持ち、多くの苦難を経てきた日本の民主主義の歴史を学び、一票の重みを感じつつ主権者としての判断力を身につけてほしい。若者たちが真剣に、大挙して選挙に向かうようになれば、きっと日本の政治はよくなると私は信じている。