2015年5月27日水曜日

「行政法」ってどう学んでいけばいいの?
~若手教員 金崎剛志先生に聞く~

2015.5.20  現代法学部 金崎先生歓迎会

皆さんこんにちは。

毎日本当に暑いですね、5月とは思えない!朝、大学まで来る道のりがつらいです。
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さて、今日は少しブログのお話から。

「現代法学ブログ」は今回の記事で68本目となりますが、この1年のあいだ常に閲覧数がトップ10に入る、隠れた人気記事があります。それは、この記事です。

【過去のブログ記事へ】「刑法」ってどう学んでいけばいいの?
                      ~若手教員 中村悠人先生に聞く~

検索キーワードを見ると
 「刑法 学習方法」
 「刑法 好き」

などでこの記事にたどり着いているようですので、東経大の現代法学部生だけではなく、法学を学んでいる学生さんに広く閲覧されているのかなぁと思います。

今回は、「行政法」について、この春に着任された金﨑剛志先生に質問してみました。金崎先生には昨日お願いしたばかりなのですが、昨日のうちに書き上げてくれました。助かりました。あの【おっとり】とした話し方から想像もできない【仕事のはやさ】にびっくりです。また、小学生のころ国会中継が大好きだったとか、話しているといろいろ「不思議」な先生です。

ではどうぞ。

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2014.12 「ゼミ研究報告会」にお手伝いに来てくれました。

Q1:「行政法」とは一言でいうと、どのような法律ですか?
 行政法とは何かというのは、一言でいえば行政に関わる法律ということになります。
 刑法には刑法という名前の法律があり民法には民法という名前の法律があります。これに対し、行政法には行政法という名前の法律がありません。

 行政というのは、市役所や都庁、あるいは国の省庁で日々行われている活動です。生活に困っている人がいれば生活保護を与える。道路上に自転車が放置されていては危険なので、放置自転車を撤去し、持ち主がとりにくるまで保管する。家庭ゴミを放置していては生活環境が悪くなってしまうので、ゴミを回収して処分する。実は、こうした活動はすべて行政が行っている。この行政に関わる様々な法律を、行政法と呼んでいるわけです。

2:「行政法」を理解するために必要なことは何ですか?
 行政法というのは、Q1で説明した通り、様々な法律をとらえて行政法と呼んでいます。したがって、他の法律科目と比べても、とてもマイナーな法律を扱うことが多いということになります。しかも、それぞれの法律の書き方も複雑で、難しい言葉が用いられていることが多い。ここで、多くの人がつまずいてしまうということになります。

 このように、一見するととても複雑で条文を読むことすら断念してしまいそうな行政法ですが、条文を一つ一つ丁寧に読むということに慣れるということが行政法の理解には必要です。条文を一つ一つ丁寧に読むというのも難しいことのように思われます。日常の行政を行う職員の立場に立って、あるいは行政サービスを受ける一般国民の立場に立って、われわれに身近な行政はどうあるべきか、ということを考えながら辛抱強く法律に向き合うということも必要です。

3:「行政法」の効率の良い勉強方法を教えてください。
 Q2で説明しましたように、行政法が難しいように思われるのは、法律の条文が読みづらいというのが一つの原因です。しかし、なぜそれぞれの法律が必要なのか、ということを理解できれば、だんだんと条文を読むことに慣れてきます。

 例えば、情報公開法は、行政で行われていることを国民が知るということによって、国民が行政について理解したり批判したりするということができるようにする。このことによって、行政が公正かつ民主的に行われる。情報公開というのはそのためにある制度です。だとするならば、情報の開示によって行政の公正を妨げるようなことがあれば、それは法律の本来の目的と違うということが分かる。だから、法律は開示しない情報というのも定めている。そのことを理解すれば、法律がいくつかの情報について開示しないこととしている条文も読みやすくなるといったことです

 その法律がなぜ必要なのかという根本を理解することが、行政法を効率的に学習するコツであると思います。

4:先生はなぜ大学の教員になったのですか?先生が行政法の教員になった「きっかけ」があれば教えてください。
 私は、もともと法律の制定ということに関心がありました。行政法もそうですが、世の中のありとあらゆることは法律が定めています。森には森林法があり、川には河川法がある。道には道路法がある。海には海洋基本法があり、空には大気汚染防止法といった大気に関わる法律がある。そういった法律の制定に関わることができたら面白いな、というのがはじめにありました。そういった法律の制定に関わるというのは、国会議員や国家公務員ということになります。国会議員などもちろんなれませんから、国家公務員を目指そうかということになる。しかし、国家公務員というのは自分の判断でできる活動というのが非常に限られている。それは窮屈だろうなと思いました。

 次に考えたのが、法律実務家です。弁護士、検察官、裁判官ですね。ロースクールというところに行って司法試験も受験しました。実は、法律実務家には、全く興味がなかったわけではありませんが、それほど興味もありませんでした。それは、法律実務家というのは当然のことながら現行法を運用するというのが仕事になるわけです。したがって、かりに悪法であったとしても、法律に忠実でなければならない。そういった活動の制約が存在する。その制約の範囲内で自分のやりたいことをやるというのも、一つの面白さ、あるいは法律家の腕の見せ所かもしれませんが。

 現行法の枠組みにとらわれないで、もう少し自由に考えたり発言したりすることのできることは無いか、そこで法律学者というところに行き着きました。

 ロースクールで最初に受けたゼミが、行政法のゼミでした。ゼミの先生の考え方に魅力を感じたというのが行政法を専攻しようと思った要因の一つです。それから、最初に説明したことですが、世の中のありとあらゆることが法律に定められているということが、法律を扱う仕事に就こうとしたきっかけです。世の中のありとあらゆることを定めている法律の多くが、実は行政法です。これが、行政法を専攻しようとした二つ目の要因です。

5:先生が今研究していることを教えてください。
 私がいま研究しているのは、地方公共団体に対する国の関与です。

 関与というのは聞き慣れないものかもしれません。例えば、海を埋め立ててテーマパークを作りたい事業者がいる。しかし、勝手に埋め立ててもらっては困るわけです。生態系が破壊される、お魚が捕れなくなるといったことを考えれば分かると思います。そこで、法律上、海を埋め立てるときには知事の免許を受けなければならない。知事がこの免許を行う際に、国土交通大臣の認可が必要な場合がある。この場合の、知事が活動する際の国土交通大臣の認可が、関与であるということになります。

 そもそも、なぜ知事が埋め立ての免許を行うということになっているかといえば、防災や環境といった観点から埋め立ての是非を判断することができるのが知事だからです。だとすると、国がそれに関与するということの意味は何なのか、というのがずっと考えているテーマです。

 このテーマは、法律の分野でいえば地方自治法ということになります。このテーマに至ったきっかけというのは、大学院の時の指導教員の影響が大きかったと思います。その先生は、行政法の教科書ばかりではなく地方自治法の教科書も書いていますから。

5:休日は何をしていますか?
 休日は、読書をしていることが多いです。

 どのような本を読むかというと、本屋で目についた本は何でも読んでいます。職業柄といいますか、社会に関するものが多いです。さいきん読んだ本で面白かったのは、増田寛也さんの『地方消滅』という本です。日本の人口がどんどん減っていってしまうというテーマで、とても有名な新書だと思います。

 しかし、それ以外の本でも面白そうだなと思ったものは何でも読んでいます。例えば、さいきん読んだ本だと、山根明弘さんの『ねこの秘密』です。これは、猫と人の関わりとか、猫と一生がどういうふうになっているかなどをテーマにしている新書です。猫のかわいい写真も載せられています。その他に小説も読みます。小説で一番好きなのは夏目漱石の『道草』です。漱石の小説は、人間に対する観察がとても鋭くて面白いと思います。

Q6:広島に観光に行くとしたらどこがおススメですか?


 私の実家は、広島の東の端っこの福山市というところにあります。その福山市から近いところでいえば、まず挙げておきたいのが鞆の浦です。鞆の浦には、港町としてとても古い歴史があります。ジブリの映画『崖の上のポニョ』の舞台になったことでも有名です。鞆の浦を埋め立てて県道バイパスを作るという問題で訴訟になったことで、環境法的にも有名です。ちなみに、訴訟になったことで埋め立ては見送られています。


 それから、福山市のとなりに尾道市というところがあります。ここも海の眺めのきれいな町で、おすすめしたいと思います。福山からは電車で20分程度の距離です。古いお寺が多く、一日中観て回ることができます。ここも多く小説や映画の舞台になっています。

Q7:東経大現代法学部の学生はどうですか?最後に何か一言お願いします。
 とても素直な学生が多いと思います、というのが着任してからいままで授業をしてみての感想。
 
 素直なことは良いことですが、いろいろ疑ってみるということも、大学の授業では必要です。授業で先生が行った説明など、なるほどとそのまま受け入れるのではなく、何か納得のいかないことが無いかということをよく考えてみてください。その問題を発見する力というのは、大学を卒業してから役立つと思います。


 それから、答えをすぐに求めるのではなく、答えに至る過程を大切にしてください。なぜその答えに至るのかという根拠をよく考えてみるということです。逆にいえば、根拠の無い答えを簡単に受け入れないことです。特に法律の世界はそうですが、物事には必ず根拠が存在します。重要なのは適法か違法かといった結論の部分ではなく、なぜそのような結論になるのかという理屈の部分です。大学の授業では、その理屈の部分を説得的に自分の言葉で表現することができるかどうかが問われます。

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金崎先生ありがとうございました。

いかがでしたか?

難しい条文も、その立場に立って、なぜ必要なのか考えながら読めばだんだん慣れてくる、とのことです。また、先生はゼミの先生との出会いが最終的な進路に結びついたようです。皆さんにも、教員に限らず、同級生、先輩後輩、職員、カウンセラーなど、東経大でそんな出会いがあるといいなぁと思います。

金崎先生は実務家を目指した際に、新司法試験にも合格されていますので、行政法に関心がある学生だけでなく、将来実務家を目指している学生さんもぜひ金崎先生に相談してみてください。

ではまた次回!

2015年5月18日月曜日

【学問のミカタ】「スポーツが好きだから、現代法学部」だって、いいじゃない!

久保 健助ゼミ ゼミ合宿

皆さんこんにちは。

今日は【学問のミカタ】シリーズです。今回から全学共通教育センター所属の先生も参加です。

(※全学共通教育センターというのは、語学、コンピュータ、スポーツ科目や、教養科目の授業を担当する先生方が所属するグループです。)

【 学問のミカタ:テーマ『スポーツ』】

現代法学部は、久保健助先生が寄稿してくださいました。
テーマは【スポーツ】。

前回の記事と偶然にも!?コラボしました。
ではどうぞ~!

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 先日、両国の江戸東京博物館に「大関ヶ原展」を見に行ってきました。こんな渋い企画に人が集まるんだろうか?と余計な心配をしながら現地に向かいました。しかし、到着してビックリ仰天。昼過ぎの入場券売り場前にざっと見ただけでも1000人近くの老若男女が並んでいるのでした。戦国時代を扱ったアニメの影響もあって、若い人たちの間でもかなりの戦国ブームなんだそうですね。

 中学・高校での日本史の授業とはひと味違うアニメの魅力がこれだけの若いファンを作り出したようです。「好きこそ物の上手なれ」。好きであればこそ、飽きずに(あるいは楽しみながら)努力するから、ついにはその道での上達が得られるということですね。
久保ゼミ ゼミ研究報告会 2014
テーマ[外国人労働者への差別][いじめ問題について]

 さて、スポーツのお話でした。授業履修の様子から、現代法学部の学生がスポーツ方面の授業に強い関心を寄せているらしい、とこのブログで知りました。そうであれば、何となくとっつきにくい法学に、スポーツの方面からアプローチするのも大いに「あり」だなと感じました。

 以前、ある体育大学が学生募集のキャッチフレーズに「スポーツが得意でなくても、スポーツが好きだから、○○体育大学」とやったら、実技の授業に四苦八苦する「得意じゃないけどスポーツ好き」の学生が増えて一苦労した、という話を聞きました。実技の世界はちょっと別かも知れませんが、社会科学の分野では「スポーツが好きだから、現代法学部」でも少しも困らないのではないでしょうか。例えば、領土問題に興味があって国際法を学びたいと思う人があるように、また、差別問題についての関心から人権について学びたいと思う人があるように、スポーツに関わる何かしらの興味から、その分野の法的知識を学ぶ人がいてもいいでしょう。

 一例を挙げれば、先日のボクシング「世紀の一戦」パッキャオ対メイウェザーなどは、スポーツイベントを越えて、法学的興味をあれこれ刺激してくれましたよ。
 まずは、“アジアの英雄”パッキャオと“完全無欠の天才”メイウェザーに支払われるファイトマネーは計330億円だったそうです(朝日新聞デジタル広告特集WOWOWより)。いったいこのビッグビジネスをめぐって、関係者の間でどのような《契約》が結ばれていたのでしょうか。勝者と敗者の取り分は?前日に一方がお腹をこわして試合がお流れになった場合の《責任》は誰がどう取るのか?

 実際、敗者となったパッキャオが試合後に、「実は試合前に右肩を怪我していた」と告白したため、「負傷を知らされないままチケット料金や有料放送、賭け金を支払い、損害を被った」として500万ドル(約6億円)以上の《損害賠償》を求める集団《訴訟》が起こされた」そうです(201557日付毎日新聞より)。
 あるいはもっと基本的なところで、そもそも衆人環視の中で大男同士が殴り合いを続けているのに、誰も警察に通報しないのは何故なんだろうとか、今回はそれほどでもなかったようですが、相手の顔が腫れ上がるほどに殴り、ときには流血を見てさえ、《犯罪》として罰せられないのは何故なのだろう、と。

 上記の《 》で囲った言葉はいずれも、法学の世界における重要な論点に関わるものばかりです。

 大学を目指すにあたって、どの学部を選ぼうか迷っている高校生諸君、入学はしてみたものの、さていったい何を手がかりに専門とすべき方面を決めようかと思いあぐねている学生諸君。自分の《好き》をキャリアデザインに結びつけることが出来たら、こんな素晴らしいことはないと思いませんか。

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久保先生ありがとうございました。

いかがでしたか?
スポーツが好きだから、スポーツから法律にアプローチしてみる、そんなキッカケも良いですね!

久保先生は「スポーツ法学」の分野にも精通されていますので、いつか現代法学部で特別講義をやってくれないかなぁと、現法さんはひそかに期待しています。


ではまた次回! 


2015年5月15日金曜日

現法生はスポーツがお好き!?
~卒業生の単位取得動向~

2015.5.14大学風景
皆さんこんにちは。

毎日暑い日が続きますね。体調を崩していませんか?土日はゆっくり休んで、無理をしないようにしてくださいね。

5月になり、大学内は色とりどりの花々が咲いています。東経大はとても緑豊かな大学です。
仮設校舎跡地も芝生が育ってきました。

ちなみにほんの2ヶ月半前はこんな感じでした。

ガリガリガリ~ッ
2015.2.27 AM9:45
 い、、痛いっ。
2015.2.27 PM14:22
 3月初旬には、仮設校舎はなくなりました。
2015.3.5
 そして今。
2015.5.14

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さて、ちょっと調べ物をしていて、今年度卒業した11Lの学生が、どんな科目を単位修得して卒業したのか集計してみました。

その中で、ちょっと驚いたのが、現代法学部の「スポーツ科目」の単位修得者割合です。
皆さん、どのくらいの現法生がスポーツの単位を修得して卒業したと思いますか?

答えは「68%」です。100人いれば、うち68人が単位取得したことになります(当然ですが)。

他学部は、おおよそ経済学部が45%、経営学部が35%、コミ学部が42%です。面白いですね。
若者らしく体を動かし、勉強も頑張る!良いじゃないですか。


逆に、他学部と比べて単位修得していない科目はいくつかありました。そのうち一番違いがあると思ったのは「コンピュータ」科目の選択科目かな、と思います。

経営とコミは50%越え、経済も35%ですが、現法生は「13%」。学部の違いが出るものなのですね。

ではまた次回!

次回は久保 健助先生による【学問のミカタ】です!共通テーマは【スポーツ】(笑)



2015年4月30日木曜日

【学問のミカタ】 現在の選挙制度で民主主義といえるのか。 
~選挙について政治学藤原先生に聞く~



授業「国際関係論a」 藤原 修教授

皆さんこんにちは。
今日は【学問のミカタ】シリーズです。

お題は『選挙』。先週末に統一地方選がありましたね、20歳以上の学生の皆さんは、投票に行ったことと思います。タイムリーなこの話題について、各学部の観点から、記事を書きます。今回から経済学部も参加することになり、これで4学部から【学問のミカタ】を発信することになります。

【 学問のミカタ:テーマ『選挙』】


現代法学部は、過去にも選挙について記事を寄稿してくださった、藤原 修先生の登場です。

【過去のブログ記事へ】週末をつかって、ちょっと学習。『集団的自衛権』について学ぼうその1~政治学藤原先生に聞く~
【過去のブログ記事へ】「わたしたちにできることがある。」選挙に行こう~東京都知事選~

藤原先生は政治学者ですので、ずばり「選挙」について書いてくださいました。ではどうぞ。


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選挙

藤原 修
 選挙は民主主義の基本とされている。しかし、いま、選挙が問題だ。

 今月、全国各地で地方議会と首長の選挙が2回に分けて一斉に行われた。しかし、投票率は極端に低い。知事選、道府県議会選は50%を下回り、市長選、市町村議会選も同程度に低い。さらに、市長選では3割が無投票当選となり、地方議会選でも無投票のケースが相次いだ。地方選投票率は史上最低記録を更新しつつあり、無投票を含めて、地方選の空洞化が指摘されている。

 同様の問題は国政選挙でもみられる。衆議院で圧倒的多数を占める自民党も、有権者全体での得票率を見れば、50%をはるかに下回る票しか得ていない。また、各種世論調査では、政府与党が推進する原発再稼働や集団的自衛権行使をはじめとする安保法制改革は、おおむね反対が賛成を上回っているにもかかわらず、反対の声を無視して強引な政策がすすめられている。それどころか、自衛隊の海外での武力行使の機会を拡大することになる重大な安保法制改革は、前回の衆議院選挙でも主要争点に取り上げられず、今回の統一地方選でも、これに並行して国会審議を行うことを避けるというふうに、重要な争点であるがゆえにむしろ選挙で争点化することを避けるという、国民主権の原則に反する政治運営が行われている。

 要するに、選挙が機能していない。これをどう解すればよいのだろうか。どうすればよいのだろう。

 そもそも選挙は民主主義において必要不可欠なのだろうか。民主主義とは、突き詰めれば、集団の政治行動の自己決定である。平たく言えば、自分たちのことは自分たちで決める、誰か特定の人に勝手に決めさせない。だから、そもそも少数の人々を選んで、彼らに集団の意思決定を託するというのは、本来の民主主義ではない。実際、少人数のグループであれば、みんなで決めるということは日常的に行われている。しかし、これが国家規模、小さくても数百万人、大きければ数億人という単位で、「みんなで」決めるというのは実際上不可能である。加えて国家規模になると、決定すべき重要な政治案件は非常に多数に上り、また簡単には決められない複雑で専門的な事項がむしろ普通である。そこで、「みんなで決める」直接民主制に代えて、代表を選挙して彼らに決めさせる代表民主制が民主主義の一般的な制度となる

 しかし、政治の行方を最終的に決める主権者は、あくまで国民すべてであり、その国民の意思を離れては、代表民主制はあり得ない。だから、選ばれた代表が国民意思を離れた決定を行うことがないように、代表と国民をつなぎ止める工夫や制度が欠かせない。例えば、重大な案件の意思決定、特に戦争と平和に関わるような安全保障上の問題、戦争に匹敵する重大災害につながりかねない原発などは、住民投票、国民投票などの直接民主主義的手法が活用されるべきであろう。また、政治的に独立した自由なメディアの存在は、政府・議会の監視において不可欠であるし、メディアに限らず広く国民に情報を公開することも重要である。

 他方、みんなで決めたから必ず民主主義になるというものでもない。みんなが誤った情報に基づき、誤った判断をすることもある。したがって、間違った判断をしても、これをただす機会が保障されているという、やり直しのきく意思決定を工夫しなければならない。例えば、戦争や原発事故など、取り返しのつかない重大な結果をもたらしうる意思決定は、どれほど慎重であっても慎重過ぎることはない。さらに言えば、みんなで決めるという時の「みんな」とは、100年後200年後に生まれてくる子孫たちも想定されていなければならない。人間が生きていくのに必要な良好な自然環境や資源が、何百年かの後には消滅しているようなものの決め方は、世代を超えた意味で民主主義的ではないのだ。

 このように見てくると、いまの選挙は、民主主義を機能させるためではなく、むしろ、民主主義を掘り崩していくことに「民主主義」の装いを与えるだけのものに成り下がりつつあるようにも見える。では、投票すべき候補者が見あたらないといって、棄権するのがよいのであろうか。積極的に棄権するのも一つの意思表示だという人もいる。しかしそれは、正しくない。選挙という制度から離れてしまうことは、それに代わって民主主義を機能させる制度が確保されていない限り、民主主義の危機を一層深めてしまうことになるからだ。結局、月並みな結論だが、しっかりすべての選挙権は行使し、加えて、主要な政治案件を日頃から学び、判断力を養い、日常の政治監視を怠らないことが、民主主義の王道である。

来年から選挙年齢は18歳に引き下げられる見込みだ。とてもよいことだ。各世代で若者たちの投票率が一番低い。これを機会に、公共政策に関心を持ち、多くの苦難を経てきた日本の民主主義の歴史を学び、一票の重みを感じつつ主権者としての判断力を身につけてほしい。若者たちが真剣に、大挙して選挙に向かうようになれば、きっと日本の政治はよくなると私は信じている。

2015年4月27日月曜日

新入生に向けて その2
~桜井健夫教務主任からのメッセージ~

2014年 桜井ゼミのみなさん
みなさんこんにちは。

待ちに待った!?ゴールデンウィークが始まりますね。
しかし!!4月29日(水)は祝日授業日です。気をつけてくださいね。

さて、今日は前回に引き続き、桜井健夫先生からのメッセージです。桜井先生っぽい文章に、現法さんは思わず笑ってしまいましたが、新入生だけではなく在学生の皆さんにもぜひ読んでもらいたい内容です。

ではどうぞ!

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 前回に引き続き新入生に向けた話です。ただし、2年次生以上の学生にも意味のあることが含まれています。前回項目だけ紹介した「③大学での学び方のポイント」について、新入生ガイダンスでは伝えきれなかったことも含めて書きます。ポイントは3つあります。

1つ目教材の管理を工夫しましょう。高校までは、教科書とノートがあれば足りましたが、大学では、教科書が指定されていない科目がありますし、指定があってもそれとは別に頻繁に教材が配布される科目もあります。教材には紙に印刷されたものと、データのものがあります。データは、TKUポータルで提供されるものと、URLを知らせる形で提供されるものなどがあります。指定された教科書を購入するのはもちろんのことですが、それに加えて、授業期間中に提供されるこれらの教材を、使えるように管理する必要があります。

まず、紙に印刷された教材は、配布されるたびに穴をあけてファイルしましょう。区分されたクリアファイルに入れて保管してもいいですが、取り出せるので散逸のおそれがあり、なかなか管理が難しいものです。データで提供される教材も、印刷して紙の形にし、穴をあけてファイルするのが最も利用しやすい保管方法だと思います。紙の形にすれば、書き込むこともできます。

なお、データで提供される教材は、データのままハードディスクやUSBに保管したり、クラウドに保管したりする方法もあります。頻繁に教材が提供されたり、それに加えて自分でどんどん調べていったりすると、データが大量になってきますので、データのままでの整理が重要になります。このような場合、クラウドで保管すると、紛失しないだけでなく、いつでもどこでもそのデータを見ることができるので便利です。将来、卒業論文を書くときや社会に出て特定のテーマで資料を集めるときなどに役立ちます。他方で、紙ベースでの保管と違い、書き込みがしにくい、「持ち込み可」条件の試験でも持ち込みは紙ベースに限られるのでデータは試験会場に持込めないなどの限界もあります。

2つ目集めて整理した資料を前提に、考えること。これが重要です。資料を集めて整理したところで終わってしまっては、きれいなノートをとったがそれで満足して中身はさっぱり頭に入っていない、というのと同じパターンで、ダメです。集めて整理した資料を見て、考えましょう。ただ見ているだけではうまく考えられないかもしれません。考え方にも技術があります。その技術を身に着けると新鮮な発見があることもあります。1年次1期の「大学入門」や2期の「社会法学入門」がそれを身に着ける機会です。

考え方の技術の例をあげましょう。まず、hinzudenken (ヒンツデンケン。ドイツ語です)。付け加えて考える。「ロボット犬は実際の犬に近いほど人気が出る」という命題が正しいかを考えてみます。ぬいぐるみが動くのと、犬そっくりのものが動くのとでは、どちらが欲しくなるか考えてみると、犬そっくりの方が人気が出そうです。先の命題は正しそうな気がしてきます。ここで付け加えます。犬そっくりのロボットが、犬そっくりの臭い糞をするように作ると(作るのは大変ですね)、どうでしょうか。より実際の犬に近づいています。欲しいですか。・・・どうも先の命題は違うようです。

これと逆の方法が、hinwegdenken(ヒンベクデンケン)。 差し引いて考える。考える対象について、ある部分がないとしたらどうか、と考える方法です。入れ替えて考える、というのもあります。官邸にドローンが落ちて威力業務妨害罪の疑い、と報道されています。ドローンが運んだという、福島の土と報道されているものがなかったらどうでしょうか。さらに、落ちたのがドローンでなくラジコン飛行機だったらどうか、紙飛行機だったらどうか、シャボン玉だったらどうか、などと考えていくと、威力業務妨害罪という犯罪の構成要件に対する理解が深まります。
付け加えて考える、差し引いて考える、入れ替えて考える。皆さんも、いろいろな場面で試してみてください。


 3つ目大学は人と接して学ぶ場です。現代では、ネットで有名人の講義を視聴することはいくらでもできます。しかしそれは受け身のものです。これに対し、大学に来れば、教職員とやり取りができますし、クラス、大学入門などのゼミ、サークルなど、友人をつくる機会もたくさんあります。中にはそりの合わない人もいるかもしれませんが、一生つきあえる友もできるかもしれません。大学で接する人たちに積極的に話しかけて、多面的な学びを深めましょう。


最後に「機会費用」について書きます。新入生に限らず学生の皆さんは、高校卒業時に、社会に出て働くことを選択せず大学で学ぶことを選択しました。ですから、皆さんが大学で学ぶことの対価は、支払った入学金や授業料だけではありません。就職すれば年間200万円あるいはそれ以上の収入を4年間得られるし、様々な技能も身に着けることができたはずです。皆さんはこれらを捨てて、大学に来ているわけです。このような、ある行動を選択することで失われる、他の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益のことを経済学では「機会費用」と言います。皆さんが大学進学を選択したことで失われるこれらの利益=「機会費用」を意識すると、大学で学ぶ気持ちがより強くなるのではないでしょうか。意識してもすぐ忘れてしまうかもしれませんから、「機会費用」という言葉だけ覚えて、時々、「機会費用」ってなんだっけ、と調べなおして思い出してください。
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いかがでしたか?ちょっと難しいような、でも納得してしまうような、桜井先生っぽいというかんじだったのでは??

ではまた次回!

2015年4月13日月曜日

新入生に向けて その1
~桜井健夫教務主任からのメッセージ~


桜井 健夫ゼミ風景

皆さんこんにちは。
4月も3週目に入り、大学もだいぶ落ち着きを取り戻してきました。

1年生の皆さん、大学生活はどうですか?順調に進んでいるといいです。
先週末、4月10日(金)に、「アドバンストプログラム説明会」を開催しました。
法プロ 木本先生より説明

公務員志望者支援 羽貝先生より説明
約70名の1年生が説明会に参加しました。これからも積極的にいろいろなことにチャレンジしていきましょう!

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さて、今日は、2015年度から教務主任に就任された、桜井健夫先生から、1年生に向けてのメッセージが届きましたので掲載します。

4年間をイメージしてみてくださいね。ではどうぞ。

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学部オリエンテーションで説明する桜井先生
41日、入学式に引き続いて、現代法学部新入生ガイダンスがあり、教務主任の立場から、289名(ここから欠席者を引く)の新入生相手に話をしました。内容は
① 現代法学部の少人数教育システム
② 用意されている6つのプログラムの概要
③ 大学での学び方のポイント
3点です。今回は、時間の関係で伝えきれなかった部分も含めて①について書きます。

②についてはhttp://www.tku.ac.jp/department/law/idea/を参照してください。総合法、公共政策、ビジネス法、消費者法、環境法、福祉法の6つがあります。③については別の回に書きます。

① 現代法学部の少人数教育システム
今年から始まった新カリキュラムでは、入学から卒業までの4年間、ずっと少人数ゼミに所属することができます。その構成は次のとおりです。




1年次・大学入門 (1期)、社会・法学入門(2期)
2年次・基礎演習11期)、基礎演習2(2期)
3年次・演習 (通年)
4年次・演習 (+卒業研究)(通年)

1年次前半「大学入門」は、新入生13名前後に1人の教員がつき、大学で学ぶのに必要な技術的なこと(大学・教員と学生との情報やファイルのやり取りの仕方、資料の探し方、レポートの書き方など)、心構え、学問的な思考方法などを伝えます。教材には教員の個性が表れており、中身も興味深いものとなるはずです。少人数なので、ここでずっと付き合える友人ができることも多いでしょう。

1年次後半「社会・法学入門」は、学生の選択を基礎とした少人数ゼミです。アクティブ・ラーニングを取り入れて、社会を深く理解し法学を学ぶ基礎をつくることを目指します。アクティブ・ラーニングと言っても教員により個性があります。大学から外に出て見学や観察をする、発表体験を重視する、問答形式による授業を基本とする、グループワークを取り入れるなど、さまざまな形があり、また、テーマも教員により異なります。そこで、大学では事前に教員別のメニューを示し希望をとります。希望が集中して定員を超過したゼミでは、一定の調整がされることになります。1期に「リーガルリテラシー入門」をしっかり学習すると希望が通りやすい仕組みになっています。原則として全員がどこかのゼミに所属します。

2年次には、1期に「基礎演習Ⅰ」2期に「基礎演習Ⅱ」を履修します。教員は1期と2期で基本的には同じ内容で実施します。これに対し学生は、1期に、A先生の「基礎演習Ⅰ」を履修したら、2期ではB先生の「基礎演習Ⅱ」を履修する、という形で、「基礎演習Ⅰ」と「基礎演習Ⅱ」では異なる教員のゼミを選択します。1年間に2人の教員と身近に接して専門的学習の基礎的な知識及び学習方法を習得することで、3年次以降、自分にあった「演習」(専門ゼミ)を選びやすくなります。

3年次、4年次「演習」では選考があり、それをパスする必要があります。それまでの「大学入門」、「社会・法学入門」、「基礎演習Ⅰ」、「基礎演習Ⅱ」で築いた力を基礎として、3年次に専門的な「演習」を履修し、さらに4年次で「演習」と併せて「卒業研究」(卒業論文作成)を履修することで、大学での学びを完成することができます。


新入生の皆さんは、4年間をイメージしてスタートラインに立ちましょう。

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ではまた次回!

2015年4月2日木曜日

ご入学おめでとうございます! 
~4月1日、2日の様子~

目立ちたがり屋さんも、引っ込み思案さんも、
みんないらっしゃ~い!By落語研究会(佐藤くん)

みなさんこんにちは。

春ですね。桜が咲き誇り、暖かな日差しの中、本日、在校生の皆さんは新入生勧誘に大忙しです。

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昨日4月1日は、入学式が行われました。

【東経大ホームページへ】2015年度入学式挙行~桜満開のキャンパスに新入生集う

今年の「新入生代表挨拶」は、現代法学部生でした。とてもいい挨拶だったと、感想をおっしゃっていた先生がいました。289名の現代法学部新入生をお迎えしました。

入学式終了後に、【現代法学部学部オリエンテーション】を開催しました。

礒野 弥生学部長挨拶

桜井 健夫教務主任から、6つのプログラム説明

現法さんから履修の説明

真剣に聞く新入生の皆さん

本日4月2日と、3日に、毎年恒例の「春の学習相談会」を開催します。

例年、2号館を使って学習相談を行っていましたが、「パソコンがあったほうが便利!」と言うことになり、5号館になりました。5号館4階は、現代法学部の貸切です。
今年からパソコン教室を使って学習相談を行っています。

1年生は、今年度から【学籍番号指定】で全員を呼び出しています(任意ですが)。現法さんと、優しい久保先生が一人ひとり見て回りますので、履修登録が不安な場合は、ぜひ参加してください。

一人ひとり、パソコンを使い履修登録をしてみます。



E408、E409教室は、自由にPCが使えるように開放しています。気軽に参加してください。

ではまた次回!