2014年6月26日木曜日

「オフィスアワー」を活用して教員と話してみよう!など、最近の話題。



2014.6.18 成績優秀者表彰式

みなさんさんこんにちは。

「最近現法さん記事書いていないんじゃないですか?」

と学生さんに言われました。そうかな・・・?決して楽をしてるわけじゃないんです。

言い訳は置いておき、今回は担当して、いくつか話題を取り上げてみました。

-------------------------------
壱:そろそろ定期試験ですね。

 気づけば来週で6月も終わり、7月の初旬から臨時試験が始まります。
そしていよいよ「前期末試験」が始まります。試験期間は7月23日(水)~31日(木)です。

 1年生のみなさんは、「テストってどんな感じなんだろう・・・」と戦々恐々としているのでは。

 もう少しすると、「TKUポータル」の画面に「試験時間割」というボタンが出るので、それを押すと、自分が受けなければならない試験の日程のみが表示されます。それを指定された時間に受けるだけです。

TKUポータル画面

 【試験時間割】を開くとこういう画面になります



 注意としては、定期試験の時間は通常の授業時間と違うということです。例えば1限は通常は9:00からですが、定期試験の1限は9:25からです。間違えないでくださいね。

 あと、授業内試験だと学生証が不要の場合がありますが、期末試験は必ず学生証が必要です。忘れてしまうと300円支払って受験許可証を発行する必要がありますので要注意です。

 
 「臨時試験」は、TKUポータル「授業情報」で確認することができます。

定期試験が終わると、終わった人から夏休みが始まります。夏休み中の9月1日(月)に成績発表が行われます。TKUポータルで必ず成績を確認してくださいね。

---------------------------

弐:「法学検定ベーシック講座」の申し込みが来週の月曜までです。

 「法学検定ベーシック講座」の申し込みが6月30日(月)までです。2年生から「法プロフェッショナルプログラムに入ろう!」と思っている学生は、是非この講座を受講して、試験に合格してください。
法プロについては過去の記事を読んでください。その中で亀山さんも下山くんも書いていますが、

少しでも

「勉強したい」
「もっと私は頑張れるはず」

と思う学生は、所属することをお勧めします。きっと道が開けるはずです。

【過去の記事へ】「法プロがあるから頑張れる!」輝く現代法学部生~第1回~亀山さん
【過去の記事へ】「みんなで立ち向かえばいいんだ」輝く現代法学部生~第3回~下山くん

また、資格試験に合格すると、単位認定を受けることができますよ。是非チャレンジしてみてください。


【東経大CSCのページへ】法学検定ベーシック

申込方法はこちら。(CSCのページへ飛びます)

----------------------------

参:オフィスアワーの活用を。


「オフィスアワー」とは何ぞや?という人に説明しますと、先生が「自分はこの時間はここにいますよ、何かあったらぜひ来てくださいね」と公表している時間です。

先生によってはメールアドレスや電話番号まで公表している場合があります。「不定期」と記載している先生もいます。

その情報がどこに載っているのかというと、「TKUポータル」です。
5月15日の「お知らせ」を見てください。ほとんどの現法の先生が公表しています。

「授業のここが分からない」というのはもちろんですが、
「法科大学院に進学したい」「公務員になりたい」「家族のことで・・・」「友人関係で・・・・」
いろいろ悩んでいることがあると思います。、第3者の意見を聞いてみることはすごく重要です。オフィスアワーを活用してみてください。

また、もうすぐ定期試験ですし、分からないことなどがあればぜひ利用してください。
 



-----------------------------

四:成績優秀者表彰式

6月18日に、成績優秀者表彰式が行われました。2年生25名、3年生18名を表彰しました。

大会議室で、一人一人に礒野学部長が賞状を手渡します。現法の先生のほとんどが出席して、みんなでお祝いします。

さて、「どうしたら表彰されるか」ですが、

2年生は、1年生の時のGPAで表彰を行います。
3年生は、ちょっと計算式が複雑なので省きますが、現代法学部の専門科目の成績評価の比重が高くなっています。
4年生は、卒業式の日に表彰します。上記2つの方法の平均値プラス、卒論を書いているか、ゼミで頑張ったか、などの項目を含めて、表彰対象者を選びます。

来年は表彰されるぞ!と頑張ってください。


今年のお弁当はこんな感じでした。来年は一緒に食べましょう。


---------------------------

五:ちょっとした幸せごと。(3年生以上対象)

 昨年、成城大学に移られた、松田浩先生がご結婚されたそうです。おめでとうございます。左手薬指に指輪がキラリ。先生幸せ太りをしたそうです。また、先生は現法ブログの愛読者とのことです。


松田浩先生(真ん中)
懐かしの羽生先生もいます。
経営の先生と。

----------------------------

いかがでしたか?
ちょっと手抜き感がある???ご容赦を。

夏休みまであと1カ月、体調を崩さないように頑張ってくださいね。

ではまた次回!

2014年6月20日金曜日

「刑法」ってどう学んでいけばいいの?
~若手教員 中村悠人先生に聞く~


中村 悠人 先生

みなさんこんにちは。

みなさんは、『現代法学部の若手教員』というと、だれが浮かびますか?

今回は、現法で2番目に若い、中村 悠人先生にインタビューしてみました。

中村先生は、1年生2期科目「刑事法基礎」や、2年生~科目「刑法」を担当されています。そこで、まずは「刑法の学び方」について聞いてみようと思いました。

また、先生は東経大に来て1年ちょっとですので、まだ「謎」な部分が多いと思います。ご自身の「進路をどのように考えたか」「休日の過ごし方」などについてもあわせて聞いてみました。

ではどうぞ。

------------------------------------

1:先生はなぜ大学の教員になったのですか?先生が刑法の教員になった「きっかけ」があれば教えてください。 

 私が大学の教員、より正確には研究者を目指したのは、「よくわからん」ことが多かったからです。
 
 それで色々と調べていくうちに面白くなり、研究者を志望するようになりました。もっとも、最初から刑法を研究しようと決めていたわけではなく、法学部に入学した当初は司法試験か公務員を目指そうと考えていました。それが、法律系の討論サークル(インカレで法律討論会を行っていた)に入り、先輩や友人、後輩と議論をしていくなかで、法学をもっと学びたいと考えるようになりました。
 
 そんな折、先の法律討論会で刑法の問題が出題されたのですが、なかなか難しい問題でして(薬害エイズ事件を元にした事例)、今思うと問題の本質をきちんと理解できなかった。それで、興味を持って刑法のゼミに進んだのが最初です。そこで、刑法は、論理性、体系性と具体的帰結の妥当性を確保することが求められるのだということがわかり、研究をしてみたいと思うようになり、今に至ります。
 

2:「刑法」について興味が持てません。何か興味が持てる方法はありませんか?

 やや一般論的になりますが、興味が持てないという場合、学んでいない食わず嫌いの場合と、やったけれども良くわからない場合のどちらなのかによって、対応は変わると思います。
 
 食わず嫌いの場合、きっかけはいろいろあるのですが、ふとしたことから(単位を取得するための「勉強」であっても)興味を持つことがあるので、まずは触れてみることが重要となるように思います。
 
 他方、触れてみて良くわからなかったという場合、わからないということで興味をなくしてしまったのであれば、もう少し続けてみることをおすすめします。
 
 それというのも、刑法は一つの部分だけを切り取ってもよくわからないものでして、他の部分との繋がり、様々な問題との関係を理解してはじめて色々とわかってきて、体系的なものとして面白くなってくるからです。どうしても「勉強」ですと長く続かないものですから、自主的な「学習」を目指してください。
 

3:「刑法」の効率の良い勉強方法を教えてください。

他のことにも共通していると思いますが、「急がば回れ」が一番効率の良い学習方法です。
 
特に、刑法の場合、犯罪体系を意識してはじめて見えてくるというものが多々ありますので、一通り教科書を読み講義を聴いて、もう一度読み直す、講義のノートで復習するという過程がとても大事になってきます。その意味では、すぐに芽が出るタイプのものではなく、こつこつやっていたらあるときに繋がりがわかって理解できるようになる、というものです。この点では、語学に少し似ているかもしれません。
 

4:先生が今一番注目している事件があれば教えてください。

 具体的な事件というわけではありませんが、現在は本来の研究テーマである刑事制裁論を研究しつつ、行刑と社会的援助の問題、また、司法と福祉の横断的な検討にも関心があります。

 
5:先生はご出身が静岡で、大学が関西、東経大の教員になられて初めて東京に出てこられたと思いますが、東京生活はどうですか?休日は何をされているのですか?

 東京の生活も1年ちょっとたち、慣れてはきました。ただ、電車等での人の多さと歩くスピードの遅さは難儀しますね。

 休日は、研究者には土日も研究会や学会、シンポジウム等があるので休みではないので、主に平日の時間がある日に作るのですが、なかなか丸一日休むことはないです。できれば、旅行に行ったりしたいですね。


6:東経大現代法学部の学生に最後に何か一言お願いします。

 自戒の念もこめてということになりますが、周りの人が言うからというのではなく、自分で考えて答えを出してください。
 
 そのためには、まず、周りの意見を鵜呑みにすることをやめ、自分の意見や他人の意見ときちんと向かい合うということが必要になります。そして、自分と異なる考え方をもっている人と、感情的にならずに冷静に議論をすることが重要です。
 
 どうしてその意見に至ったのかをきちんと知れば、反対に自分の考え方の良い部分と悪い部分の両方が見えてくるものです。そうしたなかで、自分の意見が本当に正しいのかを常に疑いつつも、自分なりの考えをきちんと表明できるようになってください。
 
 
-----------------------
 
いかがでしたか?
先生って忙しいんですね。

学生のみなさんと年齢が近め(?)ということで、親近感を持って読んでもらえたのでは。分からないことがあったら、是非中村先生を訪ねてくださいね。






ではまた次回!

2014年6月11日水曜日

「高齢期の福祉向上をめざして」 
~福祉、西下彰俊先生にインタビュー~


西下 彰俊ゼミ 新規生歓迎コンパ
 
みなさんこんにちは。
 
今日は、ブログ初登場、西下 彰俊先生にインタビューしてきました。
 
西下先生は、1年生の時に「福祉論」の授業でお世話になった学生は多いのではないでしょうか?先生はスウェーデン、韓国の福祉について研究されています。また、学生と一緒に東北でのボランティアにも熱心に活動されている先生です。西下ゼミは「卒業研究」を書く学生が多いことでも有名です。ではどうぞ。
 
---------------------
現法さん:西下先生先生は、スウェーデンや韓国に行かれたり、学内GPで仙台にボランティアに行かれたり毎年精力的に活動されていますが、こうした活動はご専門に関連しているのでしょうか。あ、少し失礼な聞き方になったかもしれませんが。。。
 
西下先生:まあ、そうですね。確かに、動き回っていますね。一見すると、何か相互の関連がなく、バラバラにやっているように見えるかもしれませんね。でも、一本の<糸>でつながっているんですよ。
 
現法さん:柱でなく、糸ですか。
 
西下先生:柱と言いたいところですが、一応控えめに糸としておきましょう。
 
現法さん:どんな柱ですか?糸ですか?
 
西下先生:一言で言えば、「高齢の福祉向上」です。高齢ではなく、高齢です
 
現法さん:高齢期ですか?
 
西下先生:そうなんです。ここが重要です。アンダーライン引いてください。
 
現法さん:先生、それ、口癖ですね。久しぶりに聞きましたよ。
 
西下先生:そうそう、癖になっていますね。高齢というと他人事に感じてしまいますが、我々もやがて迎える「高齢」です。他人事ではなく、「自分事」としてとらえてほしいので、この概念にこだわっています。
 
現法さん:その高齢期の福祉向上と、ご活動の関連について、もう少し説明していただけますか。
 
西下先生:はい、はい。説明しますよ。スウェーデンについては、16年ほど研究していますが、世界の代表的な福祉国家としてのスウェーデンが高齢期の福祉向上、とりわけ介護の質向上に対してどのような国家戦略を構築し実行しているか、基礎自治体であるコミューンが、それぞれに独自色を打ち出しながら介護の質向上に腐心しているかを調査研究しています。研究方法にも、私なりの「色」を出しています。
 
現法さん:ですか。分かりやすく説明していただけますでしょうか。
 
西下先生:はい、はい。説明しますよ。どの社会でもそうですが、介護政策としてうまく成功している部分もあれば、そうでない部分を必ず持っています。スウェーデンというと、何でもうまくいっている国と日本人は勝手に持ち上げてしまいますが、それは間違いですね。スウェーデンの介護政策にも問題点が少なからずあります。私の表現で言えば、「光と影の両面」から、対象国を研究分析していることになります。
 
現法さん:韓国はどうですか。
 
西下先生:7年ほど研究しています。日本の介護保険制度を2008年に導入していますが、
     まだまだ問題点が多いですね。ただ、不思議なことに、認知症ケアに限定すると、日本より進んでいる部分もあったりするので、韓国は興味深いです。
 
現法さん:スウェーデンや韓国は分かりましたが、仙台での活動はいかがでしょうか。
 
西下先生:仙台では、夏休みに、ゼミ生や他学部一般学生と一緒に、仮設住宅の高齢者の皆さんを訪問しバーベキュ-をやったり、流しそうめん、かき氷で交流したりしていました。夜には、集会所でカラオケ大会をしていました。私は、こうした活動をコミュニケーション型ボランティアと呼んでいます。翌日には、退去して空き家になったところの雑草を刈っていました。環境整備型ボランティアと言えますね。こうしたボランティア活動と並行して、入居者の方にアンケート調査を行い、仮設住宅での生活状況や今後入居される「復興公営住宅」への思いについて回答していただきました。こうした調査も、被災地における高齢期の福祉向上という私の研究テーマにつながっています。
 
現法さん:この夏休みも仙台にいらっしゃるのですか。
 
西下先生:去年と一昨年は、学内GPに採択され、大学からの補助金を得てしっかり活動してきました。その様子は、報告書にまとめています。今年も、学内GPの募集があると思い込んで(思い込むのが、私の特徴ですが)、昨年の応募フォーマットに新しい企画について書き込んでいたのですが、どうもこの制度、廃止になったようですね。この全国的に見てもユニークな制度は、また復活させてほしいですね。で、今回は補助金はゼロなのですが、顔馴染となった仮設住宅に、ぼぼ全員のゼミ生と卒論ゼミ生(ゼミOBOG)有志を連れて8月下旬に行ってきます。
 
現法さん:さて、ここからが本題なのですが。
 
西下先生:えーーー!いままでのは、前振り?
 
現法さん:先生は、現代法学部ですよね。先生のご研究と、「法律」との関連はお有りなのでしょうか。
 
西下先生:もちろん、ありありなんだけど。あのねー、実は、卓球部の練習時間に入っているので、今日はこれで終わっていいですかね。
 
現法さん:卓球ですか。そういえば先生今年から「卓球部」の部長に就任されていましたね。2部昇格おめでとうございます!では、来週続きをうかがってもいいですか。
 
西下先生:来週はちょっと…。来月なら、続きを話せますが。次回は、本論から入りましょうね。 
 
現法さん:承知しました。楽しみにしています!
--------------------

いかがでしたか?次回の西下先生の記事、「福祉と法」についても楽しみですね。

先生は「大学教授キョトンCのスウェーデン・ラーゴム便り!!」というブログを10年近く続けていらっしゃいます。とても軽快な文章で読みやすいです。ご自身のアルコール数や血圧まで公表されている、とってもオープンな先生です。
 
ではまた次回!

2014年6月6日金曜日

週末をつかって、ちょっと学習。
『集団的自衛権』について学ぼうその2 ~憲法 加藤先生に聞く~

 

 
加藤 一彦 先生
みなさんこんにちは。
 
今日は「週末を使ってちょっと学習~集団的自衛権~」第2弾です。

前回のブログでは、政治学、藤原修先生の切り口から「集団的自衛権」について解説してもらいました。

 今回は、憲法の加藤一彦先生に、「憲法と集団的自衛権」問題について、お話を伺ってきました。タイムリーな話題ですので、一緒に考えてみましょう。

---------------------------------
1.安倍さんが首相になって、「憲法を改正します!」と公言していましたが、この頃「解釈改憲だ!」とか言っています。高校の「政治経済」の授業で、憲法改正について習いましたが、「解釈改憲」という言葉、初めて聞いたような気もします。「解釈改憲」とは、どんなことを言うのでしょうか?

 日本国憲法の改正とは、憲法96条及び憲法改正手続法に準拠しながら、憲法の法文を削除・増補することです。その範囲は、一部条文の場合、全文に及ぶ場合、双方を含みます。自由民主党HPに掲載されている「日本国憲法改正草案」は、日本国憲法の全面改正版です。将来、憲法改正をする場合、最後の場面では、有権者(18歳以上の日本国民)の国民投票が必要です。主権者国民が憲法改正権者として、「この国の将来の形」を決めるわけです。

 安倍首相は、改憲論者です。自由民主党のDNAを確実に受け継ぎ、「自主憲法制定」を自己の使命と考えて、これまで行動してきました。安倍首相は、特に憲法9条の平和主義条項を敵視しています。そこで、前回の首相就任の時から、憲法9条の改正を主張していました。ただ、憲法改正をするには、憲法改正条項のハードルが高く、そこでこの96条自体改正し、ハードルを下げようと考えていました。

 しかし、この計画の評判はよくありませんでした。憲法改正賛成論者からも「邪道」といわれ、敵に回してしまいました。昨今、「安倍首相は保守主義者なのか?」と疑問視されているのは「保守」=「オーソドックスへの敬意」が首相には見えず、保守主義者が一番嫌う「強固な国家主義者としての政治家」のように映るからでしょう。

 質問は、「解釈改憲」の言葉でしたね。これは、学術用語ではありません。法文(言葉)には、定義が必要です。定義をすること、これを法解釈と言います。法解釈には制限があります。「解釈の枠」です。これは「法の賢慮」を習得した者だけが――現代法学部のみなさんは、今その学習をしているのですよ――認識できる枠です。ある解釈が「枠」の内にあるか否かの判断は、最終的には、最高裁判所の判例によって定まります。安倍首相の言う政府解釈は、裁判所による判断前の一応の法解釈です。もっとも、政府の法解釈は、一切の法令に意味を与え、この意味が国と自治体の行政機構を拘束します。特に、政府による憲法解釈は、国会が作る法律の解釈とあいまって、国民生活まで及びます。

 「解釈改憲」とは、「これまでの憲法の法文の政府解釈に新たな別の意味を加えて再定義すること」といえます。つまり、憲法の言葉をそのままにしておき、その言葉の意味を「これからこの言葉は、このように定義します」というに変えていくのです。これは、憲法改正によって言葉を変えたような効果を発揮します。安倍首相は、さしあたり、憲法9条の法文はそのままにしておいて、憲法9条の言葉の意味を変えようと考えています。一国の首相の資質として、大変、コソクな手法だと思います。
 
2.自民党と公明党が「集団的自衛権」の勉強会をしていていますが、集団的自衛権とは、何なのでしょうか?集団的自衛権の記事がイッパイあるのですが、難しくて、さっぱりわかりません。
 
 藤原教授が、細かく前回のブログで書いていますね。参考にして下さい。簡単に言えば、集団的自衛権は、国際連合憲章51条において、初めて認められた国際法上の権利です。従来政府は、集団的自衛権について、日本国は有するが、これを行使することは、憲法9条に違反するという立場をとっていました。というのも、日本国が他国より武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカ軍に対する攻撃があった場合、この攻撃をもって、日本国に対する攻撃があったと見なし、アメリカ軍とともに自衛隊が相手国に対し、武力攻撃することになるからです。日本の自衛隊に攻撃をしていない相手国からすれば、日本の武力行使は、日本政府による宣戦布告と同じです。そうしたことが起きるから、憲法9条は、集団的自衛権行使を禁じているのです。
 アメリカは軍事大国であり、アメリカ軍は世界規模で展開しています。どこかの国がアメリカに攻撃したからといって、日本政府が、集団的自衛権を自動的に行使するということは、さすがに無理でしょう。こんなことは、日米安保条約も想定していません。そこで、自民党と公明党間で、集団的自衛権行使の場面を話し合っている最中です。公明党は、集団的自衛権行使に慎重ですので、「従来より憲法上、認められてきた個別的自衛権行使の拡大化」で、日米安保体制の深化を求めてくるでしょう。自民党は、集団的自衛権行使認容を前提に、自衛隊をアメリカ軍への「他衛隊」として活動できるように、新規立法を目指すと思います。ちなみに、「自衛隊/他衛隊」では格好悪いので、自民党の「日本国憲法改正草案」では、「国防軍」に変えられています。「自衛」という言葉すら、外されていることに注意して下さい。
 
3.集団的自衛権を行使できるようになるということは、戦争が出来る国になると言うことでしょうか?そうすると、私たちも「いざ、覚悟!」とか、「心の準備」が必要な気もします。とりあえず、何をしておいたらいいのでしょうか。
  ちょっと、勘違いしていますね。「地震に備えて、家具を固定しましょう」、「非常食は1週間分用意しましょう」というレベルのお話ではありません。地震、台風は自然災害です。人知では避けられません。天の定めです。しかし、戦争はどうでしょうか?人間が起こすのです。「人を殺してみたい」という人間の邪悪さが心を支配したとき、しかも多くの人々がこれに同調したとき、戦争が始まります。
 「いざ、覚悟」は、自然災害のための心構えの話です。私たちは、知恵を出し合い、「人間の幸福な条件」を作っていかなければならないはずです。
 
 こう考えたらどうでしょうか
「日本には戦争オプションは存在しない。だからこそ、一切の紛争は、日本人の叡智を結集して解決するのだ」。
 
 「心の準備」は、「平和な国際社会を作るには、私はどんな人間でなければならないのか」から始めるといいと思います。莫迦な人ほど、破壊/暴力を好むもんです。では、現法さん、みなさん、宿題を出します。「君は作ることと、壊すこと、どちらが好きですか?」。
 
------------------------


加藤先生ありがとうございました。
2回にわたって「集団的自衛権」について解説してもらいました。読んでみてみなさんどうでしたか?
「現代法学部」は「現代社会の諸問題」を通じて法律を学んでいく学部です。世界中で起きているどんな問題でも「法律」が絡まない問題なんてないですよね。現法にはニュースで見る最新の問題について答えてくれる先生がたくさんいます。みなさんとても良い環境にいるんですよ。せっかく現法に入ったのですから、是非、先生に質問してみてください(注:自分なりに少しは勉強してみてからにしましょう!)。
 
最後の加藤先生の質問を一緒に考えましょう。
「君は作ることと、壊すこと、どちらが好きですか?」
 
ではまた次回!


2014年5月30日金曜日

「みんなで立ち向かえばいいんだ」 輝く現代法学部生! 第3回~下山くん~

左が下山くん、右が高橋くん
 
「最近僕変なんです・・・」
------------------------------------------------------
突然面白い告白をしてくれた、彼の名前は下山君。

現代法学部2年生で藤原ゼミに所属しています。今年から「法プロフェッショナルプログラム」に所属しました。

今年の「法プロ」2年生はすごいんです!既に「勉強会」を始めています。
オンとオフの切り替えをきちんとすれば勉強も遊びもどちらも楽しめる、とのこと。

旅行が好きで、つい最近も近畿地方を一人で回って来ました、今は夏の旅行を計画中。
横浜育ちで、横浜のことならなんでもござれ!の下山君に聞いてみました。
-----------------------------------------------------


下山くん :気づくと勉強しているんです。バイトの休憩時間も「予習でもするか」と思いますし、授業と授業の間の空き時間があると、「図書館にでも行って勉強するか」と思うんです。いつの間にか予習復習の習慣がつきました。予習復習しないで授業に出ても、ただ「いるだけ」になってしまうので、しっかり授業をモノにできるようにしています。
 


現法さん :勉強が好きなんてすごいですね。いつからですか?

 
下山くん :験勉強を始めてからです。高校時代はただ遊んでいました。いざ志望校を決めるぞという時に、担任の先生から「お前本当に行くとこないぞ」と真顔で言われて、「これはまずい」とやっと気付き、あわてて勉強を始めました。

現法さん :大学進学を意識したのが人より遅かったんですね。
 
下山くん :そうなんです。慌てて塾に入りましたが、皆が進んでいるところまで追い付くのに苦労しました。しかし勉強をしているうちに「これは面白いぞ」と思い始め、今に続いています。大学に入ったら更にそれに拍車がかかりました。
 
現法さん :2年生になって、法学の専門授業が始まりました。一番面白いと思う授業は何ですか?
 
下山くん :刑法が面白いですよ。あ、あと民法・・・「民法(契約法)」も、民法(不法行為法)」も、民法科目全部法プロ独自の科目(「法チュートリアル」「リーガルリーディング」「ケーススタディ」)も面白いです。あの科目、みんなで意見を自由に言い合えるのがいいですね。藤原先生のゼミに入っているので、国際系の科目も面白いです。それと・・・・・(話は続く)
 
現法さん :全部の授業が面白いんですね。
ところで、法プロの2年生はどうして「勉強会」を始めたのですか?




下山くん :法チュートリアル初回の授業で、チューターの村本武志先生要求水準が高くてびっくりしました。「これは一人では立ち向かえない」と思っていたところ、他のメンバーも同じ気持ちで、自然と「みんなで一緒に学ぼう」という気持ちになりました。池永君が、「新図書館の学習室が使えるぞ」ということを提案し、毎週1回集まって学習会を行っています。
 
現法さん :村本武志先生は知っているんですか?
 
下山くん :知らないです。言わないでくださいね、なんか悔しいじゃないですか
        (注:直接先生に言わないならブログには書いていいと了解をもらいました)
 
現法さん :みんなで学び始めてどうでしたか?
 
下山くん :一人で立ち向かえないことも、みんなで考えればいろんな意見も出るし、違った見方もでき、参考になることが多いです。自分以外の同じ目標を持って頑張っている人が近くにいることは、刺激にもなります。1年生の時に「法学検定ベーシック」の受験をした時も、友人の家に泊まりこんで、みんなで勉強しました。今は法律の知識があまりないので、この方法がベストだと思います。もっと勉強して、いろいろなことを学んだあとで一人立ちします。

 
下山くん
村本先生

 

 現法さん :噂を聞いて読むかもしれない
村本先生に一言
 
下山くん :もっと難しい問題を出されても
負けません!
どんどん出してください!

 
 

 

現法さん :勉強の息抜きはしているんですか?
 
下山くん :横浜のランドマークが家から近いので、よく行きます。あ、最近も行きましたよ、ここのジェノベーゼパスタがおすすめです。(といって、レシートを見せてくれました)。元町中華街で食べ歩いたり、ショッピングもします。オンとオフの切り替えが重要だなと思います。大学に入って旅行にも目覚めました。夏休みは広島か沖縄に行こうかと考えています。

現法さん :今後の抱負をお願いします。
下山くん :資格試験に向けてどんどん法律の知識を深めていきたいと思います。

-----------------------
 
なるほど、時間をうまく使って、有意義な学生生活を送っているんですね。

下山くんありがとうございました。
 
村本先生への挑戦を語った後、「しまった、法プロのメンバーに怒られるかも」と言っていたのがちょっとおもしろかったです。
 
「もっと意見出して!」
「数出せば当たるかもしれないから!」
活発な意見交換がされていました。
「20才になったので、球場でビールを飲んでみたい」といっていましたが、法プロの学生さんが全員20才になったらぜひみんなで実現しましょう!

-------------------------
 
1年生のみなさん、「法プロフェッショナルプログラム」に所属するには、「法学検定ベーシック」に合格している必要がありますCSC講座を受講するなら、申込は、月30日までです、まだ申し込んでいない人は急いで申し込んでください!

【東経大ホームページへ】法学検定ベーシック講座
 
 
 
ではまた次回!


2014年5月23日金曜日

週末をつかって、ちょっと学習。
『集団的自衛権』について学ぼうその1 ~政治学 藤原先生に聞く~


「国際関係論a」 藤原 修先生
 
みなさんこんにちは。

今日は文章が長いので、前置きなしでいきます。

『「集団的自衛権」について先生に解説してもらいたい』

と言う意見を何人かからもらいました。さすが現法生。今回は政治学の藤原 修先生に、下の3つについて質問してみました。

-------------------------------
Q1:集団的自衛権の誕生の経緯と定義を教えてください。

Q2:これまでの集団的自衛権に基づく武力行使の実例を教えてください。   

Q3:日本が集団的自衛権を行使した場合、どんな結果が待ち受けるのでしょうか。
-------------------------------

 現法さんは、一足先に先生の解説を読みました。Q1、Q2は、ちょっと難しいので、挫折しそうな人は、Q3から読むといいと思います。

 Q1、Q2は、原本をリンクしておきますので、それを印刷する⇒マーカーを引いたり、自分でノートにまとめてみる。をすると、「なるほど~」と思うと思います。週末を使って是非読み説いてください!

藤原先生からの回答(pdfファイル)へ

現法さんもノートにまとめて考えてみました。
ではどうぞ↓↓↓



Q1:集団的自衛権の誕生の経緯と定義を教えてください。                
 
 集団的自衛権という言葉は、国連憲章第51条の自衛権規定の中にあります。国連憲章は、加盟国の安全を集団的に守ることを大原則としています。これを一般に集団安全保障といいます。これは、国際連盟・国際連合が発足する前にひろく行われていた伝統的な攻守同盟(軍事同盟=特定の仮想敵国を念頭に、攻撃や防御を2国以上で共同して行うもの)に対立する安全保障体制で、両者は「集団」という点では同じですが、軍事同盟がいくつかの特定の国家集団で行われるのに対して、国連などの集団安全保障は、国際社会全体による普遍的な安全保障体制である点が異なります。集団安全保障に対して、個別国家による防衛や軍事同盟による安全保障体制を、個別的安全保障といいます。集団的自衛権は、もともとは軍事同盟を基礎づけるもので、個別的安全保障体制の枠内にあるものです。国連憲章は、原則として、個別的安全保障に対して集団安全保障をより望ましいものとして採用しています。その背景には、各国の安全を個別的安全保障体制にゆだねた結果、第1次世界大戦および第2次世界大戦という2つの大戦争を起こしてしまったという反省があります。
 
 しかし、国連の集団安全保障は、国連安全保障理事会の決議がなければ機能しません。そして国連安保理の決議には5常任理事国(米英仏ロ中)の拒否権が認められていて、この5カ国の1カ国でも反対すれば不成立となります。第2次世界大戦後の米ソ冷戦の時代には、集団安全保障に関してこの両超大国の足並みがそろうことがなく、国連の集団安全保障は事実上空文化しました。冷戦後になって、湾岸戦争の時など、集団安全保障実現についての若干有望な兆候がみられるようになりましたが、重大な国際的安全保障問題につき、その後も5常任理事国の足並みがそろうことは難しく、国連の集団安全保障は、今日に至るまで、うまく機能していないのが実情です。
 
 こうした事態、少なくとも、加盟国への武力攻撃に対して直ちには国連による有効な集団的措置がとられない可能性を想定して設けられたのが、国連憲章第51条自衛権規定です。すなわち、本則であるはずの国連の集団安全保障措置がとられるまでの暫定的措置として、加盟国は個別的・集団的自衛権(=個別的安全保障)を行使することができるということを、この条項は規定しています。こうして、国連憲章上、本則であるはずの集団安全保障が機能しないことから、国連発足から今日に至るまで、国連憲章第51条で本来暫定的措置として認められているはずの個別的安全保障体制(各国別の防衛および集団防衛体制)が、世界的にむしろ「本則」となっているわけです。
 
Q2:これまでの集団的自衛権に基づく武力行使の実例を教えてください。           
 
 20世紀前半までの、軍事同盟がひろく行われ発動されたていた時代に比べ、第2次世界大戦後の世界においては、一見軍事同盟と同じように見える、集団的自衛権にもとづく集団的自衛の例は、実は、あまりありません。20世紀前半までの世界では、大国とは戦争を遂行する能力のある国であり、現実に大国間で戦争が行われており、これを想定して大国間に同盟関係が結ばれました。1902年に結ばれた日英同盟はその典型的なものです。これに対して、第2次世界大戦後は、米ソという超大国が世界でぬきんでた軍事力を持ち、それぞれが「ブロック」と呼ばれる陣営を組織化します。このブロックは軍事同盟の性格を持ちますが、アメリカと、アメリカ陣営のその他の国々とは大きな力の格差があり、かつそうした同盟の発動による戦争は、大規模な核戦争という破滅的な結果をもたらす危険性が高く、このブロック=同盟は、戦争を効果的に行う手段というよりも、むしろ戦争をしないための手段という性格を持つようになります。さらに、このブロックは、政治経済体制において基本的価値観を共有することを基盤にしており、かつての軍事同盟のように、その時々の国益の必要に応じて、組んだり解消したりする便宜的な同盟とは性格が異なります。すなわち、第2次世界大戦後の集団自衛体制は、仮想敵をもつ軍事同盟という点では、国連の想定する普遍的集団安全保障体制とは異なるものですが、単なる軍事同盟とも言い難く、永続性を持つ安全保障共同体としての性格を持っています。この点において、個別国家を集団で守るという国連の集団安全保障に近いものがあるのです。そこが、現代の集団防衛体制の理解と評価を難しくしています。国連による集団安全保障がもはや現実的な選択肢にならない中で、軍事同盟の形態をとる集団防衛体制が、集団安全保障に類似した機能を果たすようになってきているのです。
 
 主に米欧諸国を加盟国とする北大西洋条約機構(NATO)は、第2次世界大戦後の典型的な集団防衛体制で、もともとソ連を仮想敵としてつくられたものですが、ソ連が存在していた冷戦時代には一度も軍事行動を起こしたことはありません。逆にソ連が消滅した冷戦後になって、たとえば、2001年の米同時多発テロ事件に端を発したアメリカのアフガニスタンに対する「自衛戦争」(この戦争がはたして「自衛」と言えるかどうかについては異論がある)において、NATOは集団的自衛権を発動しています。しかし、これは、北大西洋諸国という本来NATOで想定された条約適用地域での軍事行動ではなく、むしろアメリカの主導するグローバルな対テロ戦争への参加という性格を強く帯びています。他方で、この頃からアメリカは、条約上の集団防衛体制よりも、「有志連合」とよばれる、問題事案ごとにアドホックに軍事的に協力し合う関係を重視するようになりました。こうして現代の集団防衛体制は、アメリカやその同盟国の利害を強く反映するという意味で、国際社会全体の総意を体しているとはいえませんが、なお、特定国・地域の利害をこえる国際秩序全体の維持という、普遍的集団安全保障に準じるような大義名分を掲げるようになってきています。
 
Q3:日本が集団的自衛権を行使した場合、どんな結果が待ち受けるのでしょうか。
 
 さて、では日本と集団的自衛権との関わりですが、これはさらにわかりにくい構造になっています。冷戦期にアメリカが全世界で築いた集団防衛体制の1つに、現行の日米安全保障条約があります。したがって日本もまた、紛れもなく集団防衛体制の中に組み込まれています。ところが、アメリカ中心の集団防衛体制は、NATOにせよ米韓同盟にせよ、一般に相互防衛条約の形をとっており、加盟国がすべて集団的自衛権を行使できることになっています。ところが、日米安保条約では、アメリカは日本防衛のために集団的自衛権を行使することが想定されていますが、日本側は、集団防衛体制に一般に見られるような意味では、アメリカ防衛のための集団的自衛権の行使が想定されていません。ここで注意してほしいのは、「集団防衛体制に一般に見られるような意味では」という留保です。日本では、日本国憲法第9条の関わりで、日本は集団的自衛権を保持しているが行使できないとのこれまでの政府解釈があって、およそ日本の集団的自衛権の行使は全く想定されてないかのように言われていますが、日米安保条約の条文趣旨からは、必ずしもそうとは言えないのです。
 
 日本国憲法第9条のこれまでの政府解釈および日米安保条約の条文規定からは、例えばアメリカ領のグァムが攻撃を受けたとき、自衛隊が集団的自衛権に基づいてアメリカとともに反撃する、というようなことはできません。「集団防衛体制に一般に見られるような意味では」というのは、そのような場合における集団的自衛権です。この意味で日米安保体制は、アメリカが関与している他の集団防衛体制とは異なります。そのことをとらえて、日米安保体制は、アメリカが日本を一方的に守る形になっており、「片務的」だとよく言われます。安倍首相をはじめ、日本の集団的自衛権行使を熱心に主張する人は、それによって日米安保体制をより「双務的」なものにすることができると言います。一方的に守られているだけで、いざというときに相手を助けることができないのでは、真の同盟関係は成り立たないというわけです。
 
 しかし、現行の日米安保条約はすでに50年以上存続していますが、そのようにアメリカが一方的に義務を負い、日本に恩恵を与えるだけの集団防衛体制が、これほど長期にわたって続くわけはありません。そこには独特の「双務性」があります。日米安保条約第5条は、「日本の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め・・・共通の危険に対処するように行動する」と規定しています。この条文の「日本の施政の下にある領域における」という規定によって、グァムのようなアメリカ領に対する日本の防衛支援は条約上想定外となります。ところが、「いずれか一方に対する武力攻撃」という文言は、「日本またはアメリカが攻撃を受けた場合」という意味で、このとき日本はアメリカのために「行動する(反撃する)」のですから、この条文は集団的自衛の趣旨を表現していることになります。しかし、この場合の「アメリカ」は、「日本の施政下にある領域におけるアメリカ」です。これは、具体的には、日本にある米軍あるいは米軍基地を意味します。同条約第6条によって、アメリカは日本に陸海空軍の基地を置くことができるようになっており、実際に沖縄をはじめ日本には米軍の巨大な専用基地がいくつも存在します。米軍基地は「日本の中の異国」とも言うべき存在で、一種の治外法権区域であり、日本の警察権などは及びません。そして、在日米軍基地は、湾岸戦争やイラク戦争を含め、アメリカの世界戦略の重要な拠点として利用されています。この日本の中の「アメリカ」に対する防衛義務を、日本は日米安保条約第5条で負っているのです。そういう意味でこの条約は、アメリカにとって十分に「双務的」なのです。またそのような「日本の施政下にある領域」という条件付きで、日本は「集団的自衛権」にコミットしているとも言えるのです。
 
ただし、「日本の施政下にある領域」におけるアメリカ防衛は、当然ながら日本の領土防衛そのものですから、厳密な法的意味での集団的自衛権行使には当たりません。したがって、日本の集団的自衛権行使は不可という日本国憲法第9条解釈とも法的には矛盾しません。しかし、政治的・軍事的意味においては、日米安保体制には集団的自衛権の要素が日米双方に認められるのです。これは、海外での武力行使を禁じる日本国憲法と、本質的に加盟国すべての集団的自衛権に基づいて成立する集団防衛体制を、日本・東アジアの政治的・歴史的現実に即して両立させる、一種の「トリック」とも言えます。
 
 ではなぜ、日本の集団防衛体制には、そのような「トリック」が仕掛けられるようになったのでしょうか。戦後、ソ連を中心とする社会主義陣営との対立の中で、アメリカは世界各地に集団防衛体制を築き、ソ連などを「封じ込め」ようとしました。東アジアでは、中国も共産化し、1950年には共産主義者の支配する北朝鮮が南の韓国に侵攻し朝鮮戦争が始まります。この頃日本はまだ占領下にあり、非武装の状態に置かれていました。アメリカは、日本を東アジアにおける社会主義陣営に対する防波堤とみなし、アメリカの集団防衛体制に組み込もうとします。しかし、通常の集団防衛体制の場合、相互防衛の方式をとりますから、日本を再軍備させる必要があります。しかし、まだ第2次世界大戦が終わって間もない頃であり、日本軍のかつての侵略の苦々しい記憶を持つオーストラリアやフィリピンなどから、日本の再軍備を警戒する声が上がります。これらの国は、アメリカにとり重要な同盟国・友好国ですから、アメリカも無視できません。また、日本自体、終戦以来の経済的困難からまだ抜け出しておらず、再軍備を行う財政的余裕はありませんでした。そしてなにより、平和憲法を手にした国民には、もう戦争はこりごりという気持ちが強くありました。こうした中で、独立後の日本の安全は主に米軍が担い、日本自身は平和憲法の枠内で徐々に自衛力を整備していくということになります。こうして、平和憲法・日米安保・自衛隊という、今日まで続く日本の安全保障体制が形成されたのです。
 
 現在、安倍首相が集団的自衛権行使に向けて憲法解釈の変更を熱心に推し進めようとしています。その理由は、簡単に言えば、一方で、北朝鮮の核実験やミサイル発射、中国の尖閣諸島領海侵犯など、日本周辺の安全保障環境が悪化しており、日米同盟の一層の強化が必要であるが、アメリカの国際的な力は低下しており、日本側の防衛態勢の強化が望まれる。そのための重要な方策として、集団的自衛権の行使を可能にして、海外での武力行使に道を開くべきである、というものです。
 
 こうした主張に対して適切な判断を行うためには、なぜ、日本がこれまで、通常の集団防衛体制とは異なる、日本自身の武力行使に関して特別に強い制約を課してきたのか、その理由を考えてみる必要があります。理由は大きく2つあります。1つは、日本のかつての大規模侵略戦争および長年わたる植民地支配によって、近隣のアジア諸国を中心に、日本の再軍備や海外での武力行使に対して、国際的に強い不信と不安の念がもたれていたということです。もう1つは、広島・長崎の被爆体験に代表される日本国民の戦争体験から、戦争は非合理であり罪であるという、強い反戦感情が国民の間で共有されてきたからです。
 
 前者の日本の戦争・植民地支配責任に関しては、日本がこれらについて誠実に反省をし、戦後の平和的な歩みの中で周辺諸国の信頼をかちえており、日本が海外で再び戦争をするようになっても、それなりに正当な理由があればかまわない、という国際世論が形成されているのであれば、特に問題はないかもしれません。しかし実際には、第2次安倍政権の発足以来、かつてないほどに日韓、日中の関係は冷え込んでおり、その主たる理由は、従軍慰安婦問題や安倍首相の靖国参拝問題に見られるように、過去の日本の戦争・植民地支配を日本はどう認識しているのかが重大な外交問題になっていることにあります。戦後69年たってもなお、日本は周辺諸国の信頼を得るにはほど遠い状況にあるのが現実です。特に、韓国は、アメリカにとり日本と並んで東アジアで最も重要な同盟国であり、日本が集団的自衛権を行使するに当たって、アメリカとともに重要な協力相手となる国ですが、日韓関係改善の目処が立たないまま、集団的自衛権行使容認を急ごうとする安倍首相の政治姿勢は、対外政策上の整合性を欠いていると言わざるをえません。
 
 もう1つ、日本の自制的防衛体制を支えてきた国民の反戦感情ですが、これは変化してきているのかもしれません。若い世代を中心に、女性も含めて、国際的脅威に対する安全保障上の備え、軍備の強化を求める声は強まっているようです。しかし、なお9条戦争放棄へのこだわりを持つ人々も少なくないように見えます。集団的自衛権行使容認につき、安倍首相は、平和のため、国民を守るため、戦争を避けるためと主張していますが、集団的自衛権の行使によって、これまで憲法によって封印してきた海外での武力行使は解禁となり、日本が戦争に参加する機会は確実に増えます。しかし、戦後長い間、日本国民の多くは、そのように戦争に備え、必要があれば戦争を行うことで「国民を守る」という考え方に懐疑的でした。なぜなら、かつて日本が経験した戦争では、直接戦場となった周辺諸国の人々に多くの苦しみを与えただけでなく、銃後(本来の戦場から遠く離れた場所)にあった日本国民自身―安倍首相が集団的自衛権行使で守られると強調する「お母さん、おじいさん、おばあさん、子どもたち」も、広島・長崎の経験が明白に示すように、全く守られることはなかったからです。日本の安保政策の大きな転換につき、あやまりのない判断を下すためにも、日本の戦争の歴史を正確に学んでおくことはとても重要です。
 
 しかしなお、集団的自衛権行使容認ということになった場合、どうなるのでしょう。これは海外での武力行使に道を開くものですから、そのための法整備、教育・訓練・装備が手当てされ、海外で実際に戦争を遂行できる能力を身につけるための施策が着実に進められていくことでしょう。では、そのようにして日本の戦争能力が向上し、日米同盟が強化されたとして、北朝鮮や中国の脅威は小さくなって、日本国民の安心感は増すでしょうか。
 
敵対する国どうしの一方が、軍事力を強化して他方に対抗しようとするときは、相手方も同じような措置をとって軍拡競争がはじまります。そして、双方ともに安全感はむしろ損なわれていき、最終的には戦争によってしか決着がつかなくなる、というのが国際政治の歴史に繰り返し現れるパターンです。日本の軍事力強化に対しては、中国などはそれをしのぐ軍事態勢の強化に乗り出すことでしょう。軍拡競争の中で軍事優先の政治が行われるようになると、国民の愛国心、国防意識を強化する施策が推し進められ、学校教育だけでなく一般の言論・文化活動でも、そうした方向への統制が強められていくでしょう。秘密保持のための報道統制も当然厳しくなります。これは、軍国日本の「いつか来た道」に連なるものです。
 
 安保論議では、「国民を守る」ということが強調されます。しかし、かごに閉じ込められている鳥を「守られている」とは言いません。鳥は自由に羽ばたき、生存のリスクを負いつつ、生存を確保する術(すべ)を身につけていきます。身を守るとは、どう生きるかということと別ではありません。20世紀に、大津波のような戦争を経験した、そして21世紀も、引き続き同じような経験をしつつある人類にとり、国防、戦争という問題は、人の生き方、国の生き方の根本を問うものです。何のために、どのように生きるのかと。集団的自衛権容認という問題をつきつめていくと、問われているのは、日本の生き方、日本人の生き方そのものである、といえます。
 
-----------------------------
いかがでしたか?
藤原先生はかなり苦労して、文章を短くしてくれました。これでも「はじめの一歩」とのことです。

読んでみて質問がある人、興味を持った人は、直接藤原先生を訪ねてくださいね。

ではまた次回!