奥山ゼミ夏合宿 お年寄りに聞き取り調査をしている風景 |
皆さんこんにちは。
学生の皆さんは今日から定期試験が始まりましたね。頑張ってください!
今日は【学問のミカタ】シリーズです。
もうだいぶ過ぎてしまいましたが、今月のテーマは【お正月】。奥山先生が記事を寄せてくれました。
”お餅”は日本人が大好きな食べ物のひとつです。もちろん年をとっても食べたいわけで、そんな思いに応えようとする、福祉施設職員の取り組みを通して優しさが伝わってきます。ではどうぞ。
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奥山ゼミ夏合宿集合写真 |
十二月の大みそかが過ぎて正月を迎えたと思ったら、あっという間に今年も1月の終わりに差しかかろうとしています。「光陰矢のごとし」とはうまく言い当てた諺ですが、われわれの歳になると、年ごとに月日の過ぎる感覚は早まるようです。
今回は、「正月」と「おせち料理」や「お雑煮」の由来、さらには私の専門である「高齢者福祉」の中で、福祉サービスとか援助技術とかいわれている分野(福祉施設に入所しているお年寄りとおもち)についてお話ししたいと思います。
日本人の文化として、お正月のおせち料理やお餅を食べないと1年が始まらないという方も多く、特に年取った方には多いような気がいたします。
「おせち料理」とはもともと季節の変わり目の節句(節供)に、神様にお供えした食べ物を「お節料理」と呼んでいたようです。その後、節句の中でも、もっとも重要な正月の料理のことを「おせち料理」と呼ぶようになったとのことです。
「おせち料理」はお正月の神様、年神様に供える料理であり、五穀豊穣、家族の安全と健康、子孫繁栄の祈りを込めた、海の幸、山の幸を豊富に盛り込んだ料理であることから、その食材には、ひとつひとつおめでたい意味やいわれがあります。以下では、代表的な正月の食品や料理をあげてみます<文末に掲載しています>。
奥山ゼミ コペンハーゲンでのゼミ研修 |
ところで、お年寄りが入所している福祉施設では、行事や季節感を大切にし、おせち料理やお餅を入所しているお年寄りにも食べてもらい、正月気分を味わってもらいたいという気持ちが介護職員の間で強いようです。特にお年寄りは嚥下障害(飲み込む力が弱いこと)を起こしやすいので、お餅はいろいろな福祉施設で大方気をつけて食べてもらっているようです。
高齢者は唾液の分泌も少なく、歯が抜けて揃っていなかったり、入れ歯が多かったりするため、咀嚼機能(噛む力)や嚥下機能の低下がみられます。
毎年、新聞記事やテレビのニュース等でお餅を喉に詰まらせて、救急車で運ばれたり、死亡したケースを目にします。東京消防庁によると、今年は正月の三が日に、都内では、餅をのどに詰まらせて、19人が救急搬送され、7人が死亡しており、そのほとんどがお年寄りであるという。お餅は、体外では50~60度で最も伸びて柔らかくなり、口の中に入れると固くなり、詰まりやすくなるということのようです。
では、お餅を詰まらせないようにするためにはどのような点に注意したらよいのか、以下のことが必要とのことです。
•小さく切って食べやすくする。
•電子レンジにかけて中まで軟らかくする。
•お茶などの水分をとって、口の中を潤しながら食べる。
•ゆっくり噛んで、口の中にお餅を入れながら話したりしない。
•お餅を食べるときは誰かと一緒に食べる。
奥山ゼミ ゼミ研究報告会① |
また、多くの福祉施設では、お年寄りでも食べやすい餅(おもち風の)の作り方を考案しているようです。正確にはお餅ではないのかもしれませんが、それでも形はお餅そっくりなので、利用者のお年寄りは喜んでくれるということです。それは、白玉団子と大根餅です。どちらもお餅よりは食べやすく、のどに詰まらせる心配も少ないようです。
特に、大根餅は中国のほうでは正月に各家庭で作っている正月料理の一つで、形もお餅そっくりで味も抜群です。
奥山ゼミ ゼミ研究報告会② |
白玉団子は、白玉粉で作る普通のお団子です。これを、お雑煮などに餅の代わりに入れて提供します。また、片栗粉などでお雑煮にとろみをつけ、食べやすく調理します。お椀の中に白玉団子を入れ、その上からあん仕立てのお雑煮をかけ、その後食べる時に団子を小さく切れば形も崩れないし、見た目は普通のお餅のようで、正月気分を味わえるということです。
このように、ちょっとした工夫で、お正月を楽しんでもらい、一年をスタートさせたいものです。
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<代表的な「おせち料理」>
【紅白蒲鉾】
蒲鉾は「日の出」を象徴するものとして、元旦にはなくてはならない料理。紅はめでたさと慶びを、白は神聖を表しています。
【伊達巻】
江戸時代、長崎から江戸に伝わった「カステラ蒲鉾」が、伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったようです。また、昔は大事な文書や絵は巻物にしていたので、おせち料理には巻いた料理が多くあるそうです。
【錦玉子】
黄身と白身の2色が美しい錦玉子は、その2色が金と銀にたとえられ、正月料理として喜ばれています。2色を錦と語呂合わせしているとも言われています。錦織り成すあでやかさで祝いの膳を華やかにしてくれます。
【栗きんとん】
黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年を願う料理。日本中どこにでもある栗は、山の幸の代表格で、「勝ち栗」と言って、縁起がよいとして尊ばれてきました。
【黒豆】
「まめ」は元来、丈夫・健康を意味する言葉です。「まめに働く」などの語呂合わせからも、おせち料理には欠かせない料理です。
【昆布巻】
昆布は「喜ぶ」の言葉にかけて、正月の鏡飾りにも用いられている一家発展の縁起ものです。おせち料理には、煮しめの結び昆布、昆布巻などがあります。
【田作り】
五穀豊穣を願い、 小魚を田畑に肥料として撒いたことから名付けられた田作り。片口鰯の小魚(ごまめ)を使った田作りは、関東でも関西でも祝い肴3品のうちの1品です。
【数の子】
子宝と子孫繁栄を祈るものとして、数の子はニシンの卵であり、二親(にしん)から多くの子が出るのでめでたいと、古くからおせちに使われました。正月らしい一品です。
【えび】
えびは、長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って正月飾りやおせち料理に使われます。おせち料理には、小えびを串で止めた鬼がら焼がよく用いられます。
【紅白なます】
生の魚介と大根、にんじんと酢で作ったことから、なますの名がつけられました。今は生の魚介の代わりに、干柿や昆布、ゆずの千切りも用いられています。
【ごぼう】
細く長く地中にしっかり根を張るごぼうは縁起のよい食材として様々に使われています。たたきごぼうは、軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだものです。ごぼうの産地である八幡の名をとった、牛肉の八幡巻、穴子の八幡巻も正月らしい巻もの料理です。宮中で正月に配られる花びら餅の芯にも、ごぼうが用いられ、大切に扱われているようです。
【餅(鏡餅と雑煮)】
雑煮は、餅を主として、いろいろな具材を煮た汁物の事で、 古来、「五臓を保護する」という意味あいから「おぞうに」と呼ばれていたようです。12月31日につくのを一夜餅、29日につくのを苦餅といって嫌っていたようです。正月に、年神様に供える餅が鏡餅で、1月11日の鏡開きまで、床の間や各部屋に飾ります。
雑煮は、年神様に供えた餅のご利益をいただくためのお料理で、野菜や鶏肉、魚介類などといっしょに煮込んで作る料理です。地方色豊かな料理であり、主として白味噌仕立ての関西風と醤油仕立て(すまし仕立て)の関東風とに大きく分かれるようです。餅の形も関西及び西日本では丸餅、関東及び東日本では切り餅(のし餅、角餅)が一般的のようで、作り方は地方や家庭によってさまざまです。関東風は焼いた角餅・すまし仕立てのだし汁に、小松菜や鶏肉が入るのが特徴のようです。
このように、われわれが、ふだん疑いもなく正月用として食べている「おせち」や「お雑煮」も大別してみると、関東と関西、またそれぞれの地域や各家庭によってかなり違うようです。
参考資料:出典:日本鏡餅組合:http://www.kagamimochi.jp/saguru/page4-2.html
おせち料理大事典|紀文のお正月 - 紀文食品:.kibun.co.jp/knowledge/shogatsu/osechi/
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奥山先生ありがとうございました。
ではまた次回!