2016年6月10日金曜日

【学問のミカタ】ベビーカー問題にみる、子育て環境のバリアフリー化について【テーマ:乗り物】

  
  みなさんこんにちは☆
  関東地方も入梅して、毎日蒸し暑く、なかなかシャキッとしない日が続きますね。
  今年の夏は猛暑の予想です><。
  体調管理に気を付けましょう。

  6月の学問のミカタのテーマは、『乗り物』です!
  今回は、橋爪 幸代先生が記事を書いています!

  それではどうぞ!





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      「ベビーカー問題にみる、子育て環境のバリアフリー化」


 
橋爪幸代



 東京の通勤ラッシュは、外国で何万回も動画が再生されるほど有名?ですが、通勤時間帯に、ベビーカーを折りたたまずに乗ったことについて、議論が巻き起こったのを覚えていますでしょうか。

 

 「ラッシュで混雑しているときに、ベビーカーをいれる余裕はない」や「ベビーカーは、乗るときに折りたたむべきだ」といったベビーカー反対の声もあれば、「少子化が問題とされているいま、もっと子育てにやさしい社会をつくるべき」、「荷物を持ちながら、ベビーカーをたたみ、その上、子どもをだっこするのは大変だ」といった声もあがりました。

 

 みなさんは、どう思いますか?

 

 ところで、少子化、少子化と叫ばれて久しいですが、みなさん、いまの日本の合計特殊出生率が、どのくらいなのかご存知ですか?

 

2014年の発表によると、1.42です。「一人の女性が一生のうちに出産する子どもの平均数」を合計特殊出生率といい、人口維持のための合計特殊出生率は2.07から2.08といわれていますから、どんどん人口が減っていきそうな数字ですね。そりゃあ、大声で叫ぶはずです。

 


 

 とはいえ、国のために子どもを産むわけではないわけですから、子どもをもたなくても、みんな幸せなら、それはそれで一つの選択といえるでしょう。ところが、国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、理想的な子どもの数は2.42人、実際にもつつもりの子どもの人数も2.07人だそうです(興味のある方は、こちらをご覧ください⇒http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14/chapter3.html)。

 

 どうやら、本当はもっと子どもが欲しいのに、何らかの事情でもてないという状況がありそうですよね。こうなると、やっぱりみんなの幸せのために、何かしら対策をとる必要がありそうです。

 

 でも、ベビーカー問題一つとってみても、実際、通勤や買い物等で、移動するときにベビーカーが必要なのに、非難の目で見られるとしたら、とても子育てにやさしい社会とはいえそうにありません。

 

そこで、国土交通省が、こんなマークをつくってみました。

 

 


 

 どうでしょう?見たことありますか?「ベビーカーマーク」といって、ベビーカーを折りたたまずに電車やバスなどの乗り物を優先使用できるスペースですよ、という意味です。このマークの貼ってある場所は、ベビーカー用というわけです。

 

 2006年に公布・施行された、いわゆる「バリアフリー法」は、正式名称も「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」というくらいで、高齢者や障害者が主な対象者のようにみえます。

 

でも、そもそも『行きたいところに行くことができる』というのは、生活する上で、誰にとっても必要なことではないでしょうか。子連れで外出すると、他の人の目が怖いから、外に出たくない、そんな環境は、とてもバリアフリーとはいえないでしょう。

 

 ポスター等による啓発活動や、ベビーカーマークの作成等によって、子育て環境のバリアフリー化をすすめようとされていますが、これらがもっと浸透し、「ベビーカーが邪魔」と冷たい視線を投げかけない、心のバリアフリー化が進むといいなと思います。