みなさんこんにちは。メリークリスマス♪
大学は既に12月22日で今年の授業が終了しています。今日は学内がとても静かです。
そして、今日はクリスマスイブですね。思い思いのクリスマスを過ごすことでしょう。しかし先週のゼミ研究報告会のときに学生さんとお話した感じでは「特に予定なし」「バイト」という人が多かった気がしました(笑)現法さんも普通に忘年会です。
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さて、今日は【学問のミカタ】シリーズ。テーマは【クリスマス】。
【 学問のミカタ:テーマ『クリスマス』】
経済学部:クリスマスの支出はもったいない?それとも賢い?
経営学部:今年のクリスマスは何を買う?
コミュニケーション学部:サンタクロース
現代法学部:聖書にみる「補完性の原理」~まちづくりにも通じます~
全学共通教育センター:フランスのクリスマス
経営学部:今年のクリスマスは何を買う?
コミュニケーション学部:サンタクロース
現代法学部:聖書にみる「補完性の原理」~まちづくりにも通じます~
全学共通教育センター:フランスのクリスマス
今回は羽貝正美先生(行政学)が記事を寄せてくれました。
「補完性の原理」・・・
なるほど、羽貝ゼミはこの原理のもと、先日の「ゼミ研究報告会」では、皆で補い合いながら立派なゼミ報告を行いました!ではどうぞ。
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2015.12.16ゼミ研究報告会 「小規模自治体における少子高齢化と地域活性化 ―山梨県市川美郷町の取り組みを手がかりに―」 |
12月25日。毎年、必ず訪れるクリスマス。この季節に人は何を思うのでしょうか。街のそこかしこに飾られるイルミネーションの美しさに感嘆の声をあげる人もいるでしょう。友人同士、また家族の中で、楽しく語らいながらプレゼントを交換しあう季節の到来を実感する人も多いことと思います。何となく気忙しい師走に、「光陰矢のごとし」の言葉を思い起こしながら過ぎし1年を振り返る人も少なくないでしょう。入試本番を控えて緊張と睡眠不足の続く受験生にとっては、短い時間かもしれませんが、緊張感から解放され英気を養うひと時になるのではないでしょうか。また、そうであることを願いたいと思います。
言うまでもなく、クリスマスは「イエス・キリストの降誕を祝う日」。キリスト教会につながる人々にとっては最も大切な日です。けれども、およそ二千年前のこの出来事は、その後の歴史を通じて、社会全体に重要なメッセージを途切れることなく発信し続けているように思います。そのひとつが「補完性の原理(原則)」というものです。「補完性」を意味するSubsidiarityという英語をカタカナで表記して、「サブシディアリティ」と表現することもあります。
では、この「補完性の原理」とは何を意味しているのでしょうか。この原理は『聖書』の中で繰り返し語られていますが、そのひとつに次のような一節があります。
「体は、一つの部分ではなく、多くの部分から成っています。・・・目が手に向かって「お前は要らない」とは言えず、また、頭が足に向かって「お前たちは要らない」とも言えません。それどころか、体の中でほかよりも弱く見える部分が、かえって必要なのです」。(『新約聖書』、コリントの信徒への手紙一、12章14節、21~22節)
この一節を、現実の社会を念頭に平易な言葉で言い換えるとどうなるでしょうか。「私たちの生きる社会は、互いに補い合って初めて共存・共生が可能となる。小さく、弱い主体が存在することの意味や価値を忘れてはならず、私たちが小さく、弱い存在に気づき、支えようとするとき、私たちもまた小さく、弱い存在に支えられる者になる」。本質的なメッセージはこのようにまとめられるように思います。
この原理あるいはメッセージは、やがてひとつの社会哲学や社会思想となって、現実社会のさまざまな課題を念頭に唱えられ、実践されることになりました。歴史的に早い時期にその意味を考察した論者としては、アリストテレスやトマス・アクィナスといった古代や中世に活躍した哲学者の名前が知られています。また、20世紀前半に、はっきりと「補完性の原理」という言葉を用いて論じた最初の人物として、ローマ教皇ピウス11世の名前も紹介されています。
さらに時を経て、1992年のマーストリヒト条約に象徴されるように、欧州統合を実現するための思想的な基盤となったこともつとに知られるところです。
日本においても、「市町村優先の原則」(市町村が適切に遂行できる事務はいかなるものも、都道府県または中央政府には与えられないという意味において、市町村が第一の優先権をもつ、という原則)を含む『シャウプ勧告』(1949年)や、その理念を継承するかたちで、半世紀後に実現する地方分権改革(2000年)に補完性の原理をみてとることができます。さらに解決すべき課題はあるにせよ、まさに今、私たちが生きている現代社会あるいは国際社会のなかで、この原理が現実に働いているということがわかる事例ではないでしょうか。
2015.12.16ゼミ研究報告会 「都市化社会における少子高齢化の現状と課題 ―東京都江東区の取り組みを手がかりに―」 |
かつて、1960年代の高度経済成長期に「大きいことはいいことだ」というCMがありました。その後、社会も、人々の意識も大きく変化しています。少子高齢化や人口減少という大きな流れの中で、環境、福祉、消費、労働などに関わってさまざまな課題が浮上していますし、国際的な紛争の解決や国際間の連携・協力のあり方なども課題になっています。実に不透明で、出口が見えない状況といってもいいかもしれません。政治、経済、社会のあらゆる側面で、内外に多くの問題を抱える現代日本において、「大きいこと」だけでは解決できないことが多いことも事実です。
2015.12.16 羽貝先生 【ゼミ研究報告会打ち上げにて】 |
小さく、弱い立場にある者(あるいは主体)を他者や社会はどう支えたらよいのか。どのような連携・協力のあり方やルールが必要なのか。いうまでもなく、社会は、置かれている条件も価値観もそれぞれに異なる多数の人々の集合体です。そうした社会の現実を前提にしたうえで、私たちは何を選択し、どのような社会を実現していくことが求められているのでしょうか。答えを見出すことはけっして容易ではありません。けれども、「互いに補う合うこと」がそれを探っていくためのひとつの糸口になることは確かでしょう。
「補完性の原理」というメッセージ。これから大学で広く、深く学ぼうとする皆さんにとって、クリスマスの大きなプレゼントではないでしょうか。
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羽貝 先生ありがとうございました。
ではまた次回!
<次回からいよいよゼミ研究報告会
の写真を掲載していきます>