今年の『中秋の名月』は 9月27日です。 |
1年生の皆さんは1限目から履修必修「刑事法基礎」の授業がありましたね。2年生の皆さんも、2限目に履修必修「キャリアデザイン基礎」の授業がありました。初日から第2期のスタートを切った現代法学部生は多かったのでは。
「シルバーウィークは授業がありますか?」この質問、多いです。「連休=授業がありそう」という考えが浸透していますね。現法さんも一瞬考えてしまいましたが、今回は祝日授業はありません!!連休ですので、ご安心を。
さて、今月の【学問のミカタ】、テーマは『月』です。今回は、教務主任の桜井健夫先生が記事を寄せてくださいました。『へぇ~』と思う内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください!ではどうぞ。
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桜井 健夫ゼミ風景 |
現代法学部でビジネス法、消費者法を担当している桜井健夫です。今月のテーマは月。日本文学、天文学、金融工学、法学の4題話をします。
1 日本文学(俳句の月、和歌の月)
江戸時代には、月にまつわる句がたくさんつくられました。有名なところでは・・
「名月を 取ってくれろと 泣く子かな」 一茶
「名月や 池をめぐりて 夜もすがら」 芭蕉
「岩鼻や ここにも一人 月の客」 去来
さらにさかのぼると、こんな和歌があります。
「月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月」 詠み人知らず
この和歌では、月がmoonとmonthの2つの意味で使い分けられています。どれがmoonでどれがmonthか考えてみてください。諸説あります。その上で問題。
「この月の月」とは、何月(なんがつ)のこと?
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答えは、「月の数を数えてごらんなさい。8月です。」と不思議なものとなります。確かにこの和歌には、月が8コありますが・・・。
8月。旧暦の8月15日が中秋の名月です。旧暦(太陰暦)は月の満ち欠けを基準にした暦で、15日前後が満月になります。今年の太陽暦では9月27日となります。なぜ旧暦8月15日の月を中秋の名月といって鑑賞するのでしょうか。それは気候に加えて、このころの白道(はくどう)の角度も関係があります。
2 天文学(天体としての月)
桜井 健夫ゼミ |
http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C3E6BDA9A4CECCBEB7EEA4C8A4CF2FB7EEC2D4A4C1A4CFBDA9A4CBB8C2A4EB.html(黄道と白道のずれは小さいので無視)
月面はウサギがもちつきをしている姿に見えるというのが日本古来の見方。望遠鏡ではクレーターが見えます。1969年7月20日、この月にアポロ11号が着陸し、アームストロング船長が月面に立って一言。「この一歩は小さいが、人類にとっては偉大な一歩である」でも人類は一歩で止まっています。火星はめざしませんでした。
3 金融工学(ロケットが 月で止まれば デリバティブ栄える)
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。風が吹く⇒ほこりが飛ぶので失明する⇒失明した人は見えなくてもできる三味線演奏をする⇒三味線を作るのには猫の皮が必要⇒三味線用に猫が捕獲されて減るとねずみが増える⇒増えたネズミは桶をかじる⇒桶屋が儲かる、という、何とも遠回りの因果関係です。因果関係がなさそうなものを無理にこじつける、という意味で使われます。
これと比べると、「ロケットが 月で止まれば デリバティブ栄える」という言葉は、少しましな因果関係がありそうです。月面着陸後、米国の宇宙開発は1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故で止まりました。スペースシャトルの打上計画は約2年間延期。これにより、当時スペースシャトル開発プロジェクトに携わっていた優秀な技術者は、仕事がなくなりました。そこで彼らは、金融界に転身し、デリバティブをいじり始めたのです。その結果、デリバティブ取引が栄え、複雑な仕組商品も蔓延しました。宇宙開発計画が順調に火星を目指すものだったら、こうはならなかったかもしれません。
これと比べると、「ロケットが 月で止まれば デリバティブ栄える」という言葉は、少しましな因果関係がありそうです。月面着陸後、米国の宇宙開発は1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故で止まりました。スペースシャトルの打上計画は約2年間延期。これにより、当時スペースシャトル開発プロジェクトに携わっていた優秀な技術者は、仕事がなくなりました。そこで彼らは、金融界に転身し、デリバティブをいじり始めたのです。その結果、デリバティブ取引が栄え、複雑な仕組商品も蔓延しました。宇宙開発計画が順調に火星を目指すものだったら、こうはならなかったかもしれません。
4 法学(月は誰のもの? 期間としての月)
天体としての月(moon)に関する法律の話。月面の土地は誰のものでしょうか。これに関係する条約があります。「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」(1966年12月13日採択、第21会期国際連合総会決議2222号、1967年10月10日発効)2条には、「月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。」
http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_1/1-2-2-5_j.html
と規定されています。月は誰のものでもない、ということです。
http://www.jaxa.jp/library/space_law/chapter_1/1-2-2-5_j.html
と規定されています。月は誰のものでもない、ということです。
なお、国家による取得の対象とならないという表現を反対解釈すると、民間会社は月面に所有権を取得できることになるとして、誕生日や記念日のサプライズギフトとして「月の土地」を販売している会社があります(アメリカ・ネバダ州の会社。1エーカー(約1200坪)2700円)。
最後に、期間としての月(month)に関する法律の話。
1か月後に支払う、という約束を9月15日にしたら、支払日は10月何日?
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民法によれば、初日は算入しない(140条)、期間は起算日に応当する日の前日に満了する(143条2項)。これに当てはめると、起算日は9月16日、これに応当する翌月の日は10月16日、その前日は10月15日、ということで、支払日は10月15日。回りくどいだけだって? では、1月30日の1か月後はいつ? 1月29日の1か月後は? 民法143条2項但し書きを見てください。そのうえで、1月31日の1か月後と比べてみましょう。
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桜井先生ありがとうございました!
法律だけではなく、いろいろな分野から月を眺めてくださいました。月の土地を販売しているのは何故だろうと思っていた人も多いのでは?解決しましたね。最後は先生の専門分野からの質問でした。分からない人は桜井先生のところまで。
高校生の方でブログを読んでくれている人は、桜井先生はオープンキャンパスにいますのでぜひ質問してみてください!
ではまた次回!