2014.5 震災ボランティア(気仙沼) |
みなさんこんにちは。
週末に梅雨も明け、毎日暑いですね。今週で第一学期の授業が終わり、いよいよ定期試験に突入です。
今月を乗り切れば、楽しい!?「夏休み」が始まります。
旅行、BBQ、海水浴・・・楽しいことを想像しながら、テスト勉強を頑張ってくださいね!
さて、今日は【学問のミカタ】シリーズです、テーマは海。
【 学問のミカタ:テーマ『海』】
経済学部:海外からの訪日観光客の増加で景気は変わる?
経営学部:「海」では紫外線対策を忘れずに!
コミュニケーション学部:あなたの海と、私の海と。
現代法学部:~海と兵士~ボランティア活動を通じて知る 『絆』
全学共通教育センター:産んでちょうだいサンゴさん
経営学部:「海」では紫外線対策を忘れずに!
コミュニケーション学部:あなたの海と、私の海と。
現代法学部:~海と兵士~ボランティア活動を通じて知る 『絆』
全学共通教育センター:産んでちょうだいサンゴさん
西下彰俊先生が記事を寄せてくれました。
西下先生は現代法学部の6プログラムのうちの1つである「福祉法プログラム」の先生で、過去にもボランティア活動について記事を書いてくださっています。ではどうぞ。
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2014ゼミ合宿恒例の腕相撲大会 |
海と兵士
現代法学部の西下彰俊です。福祉論と社会調査を教えています。私は、社会学の方法論をベースに外国や日本の高齢者ケア政策を比較分析するという「福祉社会学」的研究を行っています。ゼミでは、スウェーデン・韓国・日本の高齢者ケア政策を勉強しつつ、夏休み中には、仙台の仮設住宅の高齢入居者へのボランティア活動を行っています。この夏からは明治大学のゼミとコラボしながらボランティア活動を行う予定です。
学生の皆さんは、定期試験が終わった後に、海に行こうとかキャンプしようとか、いろいろ相談しながら計画を練っていることでしょう。7月は、試験のために精神を集中させるモードとレジャーに向けて精神を弛緩させるモードのダブルモードが交錯するというユニークな特徴を持った月であると言えます。もっとも受験生の皆さんは、勉強モード1本かも知れませんが、たまには息抜きもしてください。
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さて、お題の「海」。タイトルは、海と兵士としていますが、決して物騒な内容ではありません。
海は、ロマンチック。「名も知らぬ遠き島より 流れ寄る椰子の実一つ 故郷(ふるさと)の岸を離れて 汝(なれ)はそも波に幾月(以下略)」という島崎藤村が詠んだ「椰子の実」を思い出します。中学1年の夏、伊良湖岬の恋路が浜のキーホルダーをもらったことも良い思い出です。ただし男友達からですが。
海は、残酷。金子みすゞの「波」という詩を思い出します。
「波は子供、手つないで、笑って、そろってくるよ。
波は消しゴム、砂の上の文字を、消してゆくよ。
波は兵士、沖から寄せて、一ぺんに、どどんと鉄砲うつよ。
波は忘れんぼ、きれいなきれいな貝がらを、砂の上においてくよ。」
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2011年3月11日。津波という途轍もない数の兵士が一度にやってきて、多くの人の命を奪い、多くの家を壊していったのです。あれから4年4か月。あまりに時間がかかり過ぎました。家屋の全壊や半壊で自宅に住めなくなった被災者は、避難所や親戚の家に一時的に身を寄せた後、みなし仮設住宅(空き部屋のある賃貸アパートや市営住宅など)やプレハブ仮設住宅に住み続けました。
やっと終の棲家としての「復興公営住宅」が完成し始め、被災者が入居し始めています。しかしまだまだ、「復興公営住宅」の建設は遅々たる歩みです、全部完成したとしても被災者の数には見合っていません。
実は、「復興公営住宅」に入居するということは、家賃が発生するということです。決して安くない家賃を払えない被災者はどうすれば良いのでしょうか。特に高齢の被災者の場合、ますます劣化しつつあるプレハブ仮設住宅に経済的な理由から住み続けなければなりません。しかし、自力で自宅再建された方や復興公営住宅に移転される方が徐々に増えて来て、各仮設住宅は入居率がますます低くなっていきます。仮設住宅で作られた自治会が解散しつつあります。自治会主催のイベントもなくなり、被災という被害の後の「社会的孤立という被害」が生じつつあります。
今後、どうあればいいのでしょうか。仙台市内の仮設住宅3か所でのボランティア活動を通じて、ゼミ生達とこうした答えの見つからない問題を考え続けています。そうした問いを考え続け、苦闘すること。これも社会科学という学問の一つの姿ですね。そうそう、先に紹介した金子みすゞについては、別の詩「私と小鳥と鈴と」を福祉論の授業でも取り上げています。
さて、事例としては少ないのですが、被災された方の中には、すでに自力再建して新しい戸建ての家が完成しているにもかかわらず、仮設住宅に住み続けておられる方もいます。何故でしょうか。そこには、合理的な判断を超えた情緒的な絆が存在するようです。こうした事例にはさらに驚くことがあります。同じ仮設住宅に住んでおられる住民さんには、秘密にしておられるのです。同じ被災者なのに、自身が恵まれていることへの気まずさを感じておられるのでしょう。被災した人々のこうした気持ちを理解できるようになることも、継続してボランティア活動をしていることの一つの成果と言えるかも知れません。
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西下先生ありがとうございました。
海はいろいろな顔を持っていますね。震災から4年4ヶ月が過ぎてもいまだに解決しない問題…西下ゼミはこれからもボランティア活動を通じて答えを模索し続けます。
ではまた次回!